ビスケット通信
小説(とたまに絵)を書いてるブログです。 現在更新ジャンルは本館で公開した物の再UP中心。 戦国BASARAやお題など。
はらわた様/ベルツナ
- 2009/02/25 (Wed)
- 宝物庫 |
- CM(0) |
- Edit |
- ▲Top
【サイダーの泡と青春についての関係性】
コンビニに行った。
特に何も用事はなかったけれど、なんとなく、だ。
自動ドアを潜り、コンビニ特有の雰囲気を肌で体感する。
そういえばもうあの雑誌は発売されているはず。
今はお金ないし、立ち読みしていこう。
そうして
おれはドアのすぐ横の雑誌コーナーに足を向けた。
予想もしない人物が、そこにいた。
(な、なななな何であのひと、ここに、)
雑誌コーナーで立ち読みしている人物の中、とても目立っていて。異様で。
おれが見たのは、きれいな金髪に銀の冠を乗せて、真っ黒いコートにボーダーシャツ。
ただいまおれとみんなが激戦中の暗殺部隊、ヴァリァーのひとりの、
そこまで考えておれはゆっくりと進行方向を転換した。
関わらない方がいいんだ。近くにすら行きたくない。
コンビニをすぐ立ち去ろう。
瞬間、
「ね、何してんの。」
肩を捕まれる感触。そして耳にはあまり馴染まない、静かな声。
誰かなんて見なくてもわかる。振り向きたくない。
店内の視線が向けられるのがわかって、痛い。
「あ、あの」
恐る恐る出した声は震えて情けない。
でも、仕方ないのだ。
だって怖い。
ホラー映画によくある、後ろを向いたらおばけでしたーってアレ。
あんな感じ。
「―――ま、いいや。ちょっと付き合ってよ。」
「ふぇ?」
少しの沈黙のあと、後ろからの声はえらく過程を飛ばしていて、意味のわからない言葉。
あまりにもわけがわからなくて、思わず振り向いてしまった。
後悔しても、もう遅かった。
そこにいたのは確実にあのとてもとても怖い暗殺部隊の中の一員であったわけで。
「ししし、ちょっと外で待ってて。あー逃げたら、まぁ」
そこで言葉を切ると、ポケットに手を入れてちらりと光る何かをちょっとだけ出す。
ナイフだ。
脅されてしまえば、小心者で臆病なおれは逃げられるはずもなく。
ただ言われた通りに店外で彼を待つことにした。
最良の選択なのだ。多分。
数分ほどして、彼は店の中から出てきた。小さな袋を手に提げている。
できればこのまま帰ってくれないかなと思ったがそううまくいくわけがない。
彼は一直線にこちらへと歩を進めた。来るなよ。
「ふぅん、ちゃんと待ってたんだ。」
「いや、あなたが待ってろって言ったじゃないですか…」
脅しまでかけて。
恐々と俯きながら話せば、彼は少しの吹き出した。
「なっ何が、おかしいんですか、」
「あははは、いやー偉い子だねぇー」
内心超びびりながら俺は反論したが、彼はまだわらっている。
「ししっ、逃げたら本当に殺すと思ったの?」
「え、だって」
「そんなことするわけないじゃん。今はリング争奪戦中だろ?手出しは禁止なわけ。やったら確実に俺ボスに殺されるっつーの。」
「そ、そうなんですか…」
しまった。だったら逃げればよかった。
しかしその事実は知らなかったわけで、例えどんなことがあろうとちょっと前のおれは絶対に逃げなかっただろう。
ぼうっとしているおれを見て彼はまだおかしそうにわらっていた。
なにがそんなにおかしいのかはわからない、おれは彼を殆ど知らないからだ。
つか、名前すら覚えてない。昨日聞いたような気はするが。
「それじゃ、つなよし、行こっかー。」
「へ?」
しかし彼はおれの名前を知っていたらしい、と認識すると同時に、彼がわらい顔のままおれの手首を強引に掴んで歩き始めた。
その力は強くて微かに痛い。
どこに向かう気だこの人は。
そのまま歩いて、コンビニが見えなくなったあたりで、彼がぽつりと呟いた。
「…どこに行こう。」
「決めてなかったんですか!?」
思わずいつものようにつっこんでしまう。
おれはやってしまったと思ったが、彼は特に気にした風もなく覇々と答えた。
「だってつなよしと話したかったんだよねー。」
何故に、とは思ったが、しかし別に殺されるとかそういう感じはしなかったし、それにどんな話をしたいのかも気になるしということで、おれはある一つの提案をした。
「……あの、公園行きます?案内しますが。」
一瞬彼はきょとん、とした。
おれから話しかけてきたのがめずらしかったのだろうか。
その後顔をデフォルトのわらいより一層明るくわらって、
「じゃあお願い。」
と一言だけ言った。
公園はそんなに遠くなくて数分しないうちに着いた。
その間捕まれた手はまだ離されていなかった。だけれど会話は一つもしなかった。
彼には新鮮であるらしく、きょろきょろと全体を見渡していた。
「どこに座りますか?」
自分でめびっくりするぐらいに最初の恐怖は殆ど消えていて、割と普通な感じです彼に聞くことが出来た。
「あれがいいな、おもしろそう。」
彼が指差した先には風で小さく揺れているブランコ。
「わかりました。」
何だか彼が子供のように見えて、おれは自然に小さく微笑んだ。
彼は驚いたような顔をして、そして足早にブランコの方へと向かった。
当然ながら手首を捕まれているおれも釣られて行くわけで。
ちらりと見えない彼の顔を伺えば、少しその頬に赤みが差していた。
どうしてかは、おれにはわからなかった。
ブランコにゆっくりと腰掛ける。隣にはもちろん彼の姿。
きぃ、と小さくブランコが揺れた。
「はい。」
と彼がおれに何か手渡す。
それはサイダーのペットボトル。
日の光を受けてちらちら泡が輝いていた。
「…もらって、いいんですか?」
「何のためにふたつ買ったと思ってるんだよー」
見れば、確かに彼の手には同じものが握られていた。
「ありがとうございます。」
彼の好意を素直に受け取り、そして蓋を開けて一口飲んだ。
それはしゅわっと口の中ではじけ、おれの喉を潤した。
口の中に甘さが残る。
「ねぇ、つなよしはさ、俺らのことどう思う?」
同じようにサイダーをひとくちのんだあとに彼が聞いた。
「ヴァリァーの、ことですか?」
「そうそう。」
「んー…」
難しい。とても難しい。
ああ、でも彼らに抱いている思いで共通するのがひとつあった。
「怖い?」
おれが口を開く前に、今まさに告げようとした印象を彼が先には告げた。
おれはこくりと頷く。
「まー、ふつうはそうだよなー。」
ぽりぽり、と困ったように頭を書く彼。
こうして彼を見てみると、いくら残忍なるヴァリァーにも人間らしさがあるのだろうとそう思えてくる。
だからおれはこう言った。
「でも、あなたはそんなに怖くなくなりましたよ。」
彼がおれの方を向く。
「すごく、優しいと思います。おれ、最初はあなたのこと怖かったけど、今はなんだか親しみが持てます。」
そしておれは今の彼のように、彼を向くと薄く笑む。
彼も、また、
「姫に優しくするのは当たり前だよ、だって俺王子だもん。」
と笑んで言った。
姫っておれのことか。なんてやねん。
ってかその姫を、最初に脅したのは誰さ。
色々かんがえたら急におかしくなって、声をあげてわらった。
彼もわらった。
公園にふたりだけのわらい声が響いた。
暫くして、彼は急にブランコから降りた。
「さ、俺はそろそろ行こうかな。」
「そうですね、じゃあ、また、」
言葉は遮られた。
目の前にはいつの間にか彼がとても近くて、おれの唇には柔らかいものが当たって。
「な、」
「また今夜ねつなよし!俺の名前はベルフェゴールだからね!」
そうして彼は走り去っていった。
当然の出来事で、脳がついていけない。
確かになのは、彼の名前を覚えてないのに彼は気づいたことと、そして唇に残ったサイダーの甘さ。
(空は青く澄んでいた)
END
*******
はらわた様のサイト、ぶるーあい。の、5000hit記念フリー配布小説でした
うひゃあ…ベルツナ甘いですvvv
なんかサイダーが飲みたくなりました…(どうでもいい)でも炭酸飲むとしゃっくり止まらなくなるしなぁ…
うわーん…炭酸好きなのに飲めないのは悔しい…
ではでは…
5000hitおめでとうございました!
コンビニに行った。
特に何も用事はなかったけれど、なんとなく、だ。
自動ドアを潜り、コンビニ特有の雰囲気を肌で体感する。
そういえばもうあの雑誌は発売されているはず。
今はお金ないし、立ち読みしていこう。
そうして
おれはドアのすぐ横の雑誌コーナーに足を向けた。
予想もしない人物が、そこにいた。
(な、なななな何であのひと、ここに、)
雑誌コーナーで立ち読みしている人物の中、とても目立っていて。異様で。
おれが見たのは、きれいな金髪に銀の冠を乗せて、真っ黒いコートにボーダーシャツ。
ただいまおれとみんなが激戦中の暗殺部隊、ヴァリァーのひとりの、
そこまで考えておれはゆっくりと進行方向を転換した。
関わらない方がいいんだ。近くにすら行きたくない。
コンビニをすぐ立ち去ろう。
瞬間、
「ね、何してんの。」
肩を捕まれる感触。そして耳にはあまり馴染まない、静かな声。
誰かなんて見なくてもわかる。振り向きたくない。
店内の視線が向けられるのがわかって、痛い。
「あ、あの」
恐る恐る出した声は震えて情けない。
でも、仕方ないのだ。
だって怖い。
ホラー映画によくある、後ろを向いたらおばけでしたーってアレ。
あんな感じ。
「―――ま、いいや。ちょっと付き合ってよ。」
「ふぇ?」
少しの沈黙のあと、後ろからの声はえらく過程を飛ばしていて、意味のわからない言葉。
あまりにもわけがわからなくて、思わず振り向いてしまった。
後悔しても、もう遅かった。
そこにいたのは確実にあのとてもとても怖い暗殺部隊の中の一員であったわけで。
「ししし、ちょっと外で待ってて。あー逃げたら、まぁ」
そこで言葉を切ると、ポケットに手を入れてちらりと光る何かをちょっとだけ出す。
ナイフだ。
脅されてしまえば、小心者で臆病なおれは逃げられるはずもなく。
ただ言われた通りに店外で彼を待つことにした。
最良の選択なのだ。多分。
数分ほどして、彼は店の中から出てきた。小さな袋を手に提げている。
できればこのまま帰ってくれないかなと思ったがそううまくいくわけがない。
彼は一直線にこちらへと歩を進めた。来るなよ。
「ふぅん、ちゃんと待ってたんだ。」
「いや、あなたが待ってろって言ったじゃないですか…」
脅しまでかけて。
恐々と俯きながら話せば、彼は少しの吹き出した。
「なっ何が、おかしいんですか、」
「あははは、いやー偉い子だねぇー」
内心超びびりながら俺は反論したが、彼はまだわらっている。
「ししっ、逃げたら本当に殺すと思ったの?」
「え、だって」
「そんなことするわけないじゃん。今はリング争奪戦中だろ?手出しは禁止なわけ。やったら確実に俺ボスに殺されるっつーの。」
「そ、そうなんですか…」
しまった。だったら逃げればよかった。
しかしその事実は知らなかったわけで、例えどんなことがあろうとちょっと前のおれは絶対に逃げなかっただろう。
ぼうっとしているおれを見て彼はまだおかしそうにわらっていた。
なにがそんなにおかしいのかはわからない、おれは彼を殆ど知らないからだ。
つか、名前すら覚えてない。昨日聞いたような気はするが。
「それじゃ、つなよし、行こっかー。」
「へ?」
しかし彼はおれの名前を知っていたらしい、と認識すると同時に、彼がわらい顔のままおれの手首を強引に掴んで歩き始めた。
その力は強くて微かに痛い。
どこに向かう気だこの人は。
そのまま歩いて、コンビニが見えなくなったあたりで、彼がぽつりと呟いた。
「…どこに行こう。」
「決めてなかったんですか!?」
思わずいつものようにつっこんでしまう。
おれはやってしまったと思ったが、彼は特に気にした風もなく覇々と答えた。
「だってつなよしと話したかったんだよねー。」
何故に、とは思ったが、しかし別に殺されるとかそういう感じはしなかったし、それにどんな話をしたいのかも気になるしということで、おれはある一つの提案をした。
「……あの、公園行きます?案内しますが。」
一瞬彼はきょとん、とした。
おれから話しかけてきたのがめずらしかったのだろうか。
その後顔をデフォルトのわらいより一層明るくわらって、
「じゃあお願い。」
と一言だけ言った。
公園はそんなに遠くなくて数分しないうちに着いた。
その間捕まれた手はまだ離されていなかった。だけれど会話は一つもしなかった。
彼には新鮮であるらしく、きょろきょろと全体を見渡していた。
「どこに座りますか?」
自分でめびっくりするぐらいに最初の恐怖は殆ど消えていて、割と普通な感じです彼に聞くことが出来た。
「あれがいいな、おもしろそう。」
彼が指差した先には風で小さく揺れているブランコ。
「わかりました。」
何だか彼が子供のように見えて、おれは自然に小さく微笑んだ。
彼は驚いたような顔をして、そして足早にブランコの方へと向かった。
当然ながら手首を捕まれているおれも釣られて行くわけで。
ちらりと見えない彼の顔を伺えば、少しその頬に赤みが差していた。
どうしてかは、おれにはわからなかった。
ブランコにゆっくりと腰掛ける。隣にはもちろん彼の姿。
きぃ、と小さくブランコが揺れた。
「はい。」
と彼がおれに何か手渡す。
それはサイダーのペットボトル。
日の光を受けてちらちら泡が輝いていた。
「…もらって、いいんですか?」
「何のためにふたつ買ったと思ってるんだよー」
見れば、確かに彼の手には同じものが握られていた。
「ありがとうございます。」
彼の好意を素直に受け取り、そして蓋を開けて一口飲んだ。
それはしゅわっと口の中ではじけ、おれの喉を潤した。
口の中に甘さが残る。
「ねぇ、つなよしはさ、俺らのことどう思う?」
同じようにサイダーをひとくちのんだあとに彼が聞いた。
「ヴァリァーの、ことですか?」
「そうそう。」
「んー…」
難しい。とても難しい。
ああ、でも彼らに抱いている思いで共通するのがひとつあった。
「怖い?」
おれが口を開く前に、今まさに告げようとした印象を彼が先には告げた。
おれはこくりと頷く。
「まー、ふつうはそうだよなー。」
ぽりぽり、と困ったように頭を書く彼。
こうして彼を見てみると、いくら残忍なるヴァリァーにも人間らしさがあるのだろうとそう思えてくる。
だからおれはこう言った。
「でも、あなたはそんなに怖くなくなりましたよ。」
彼がおれの方を向く。
「すごく、優しいと思います。おれ、最初はあなたのこと怖かったけど、今はなんだか親しみが持てます。」
そしておれは今の彼のように、彼を向くと薄く笑む。
彼も、また、
「姫に優しくするのは当たり前だよ、だって俺王子だもん。」
と笑んで言った。
姫っておれのことか。なんてやねん。
ってかその姫を、最初に脅したのは誰さ。
色々かんがえたら急におかしくなって、声をあげてわらった。
彼もわらった。
公園にふたりだけのわらい声が響いた。
暫くして、彼は急にブランコから降りた。
「さ、俺はそろそろ行こうかな。」
「そうですね、じゃあ、また、」
言葉は遮られた。
目の前にはいつの間にか彼がとても近くて、おれの唇には柔らかいものが当たって。
「な、」
「また今夜ねつなよし!俺の名前はベルフェゴールだからね!」
そうして彼は走り去っていった。
当然の出来事で、脳がついていけない。
確かになのは、彼の名前を覚えてないのに彼は気づいたことと、そして唇に残ったサイダーの甘さ。
(空は青く澄んでいた)
END
*******
はらわた様のサイト、ぶるーあい。の、5000hit記念フリー配布小説でした
うひゃあ…ベルツナ甘いですvvv
なんかサイダーが飲みたくなりました…(どうでもいい)でも炭酸飲むとしゃっくり止まらなくなるしなぁ…
うわーん…炭酸好きなのに飲めないのは悔しい…
ではでは…
5000hitおめでとうございました!
PR
REBORN!小説(ゴクツナ)
REBORN!小説(リボツナ)
REBORN!小説(むくつな)
Reborn!小説(総受け・サンド他)
いろいろ。(順次追加?)
カレンダー
カテゴリー
最新記事
プロフィール
HN:
堕天使エレナ
HP:
性別:
女性
職業:
学生
趣味:
絵描き 執筆 読書 ゲーム 寝る 妄想 便せん作り
自己紹介:
うえのイラスト画像はいただきもの。
オンラインでは執筆を
オフラインではイラスト中心に活動中デス
ギャルゲー、音ゲー、RPG系、シュミレーションゲームが好き
格ゲーやアクションは苦手
感想・お問い合わせは下記マデ(☆を@に変えてねっ)
datennsierena☆yahoo.co.jp
小説のお仕事、有料無料、業者同人問わず受けます
オンラインでは執筆を
オフラインではイラスト中心に活動中デス
ギャルゲー、音ゲー、RPG系、シュミレーションゲームが好き
格ゲーやアクションは苦手
感想・お問い合わせは下記マデ(☆を@に変えてねっ)
datennsierena☆yahoo.co.jp
小説のお仕事、有料無料、業者同人問わず受けます
この記事へのコメント