ビスケット通信
小説(とたまに絵)を書いてるブログです。 現在更新ジャンルは本館で公開した物の再UP中心。 戦国BASARAやお題など。
つい、うっかり(就光/妖パロ/エルルカ様へ)
- 2011/06/17 (Fri)
- 戦国バサラ |
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※妖パロシリーズですが単作読みでも充分に読めます。
降り頻る雨が、体毛を濡らしていた。
今日は夜からの雨であり昼間は降らないという予報であったのに。予報など当てにならぬ。
ここ暫く、梅雨のように雨ばかり続いているのだ。
まだ5月だというのに、日輪は厚い雲に隠れてしまい不愉快この上なかった。
今日も光秀に近づいてきた妖怪を追っ払う為に交戦してきた。
だが、生憎途中から激しい豪雨が降ってきて、ずぶ濡れの濡れ鼠…という無様な有り様だ。
もちろん濡れないように妖力を使うことも可能だったのだが、戦闘の最中そんなことに力を使いたくはなかったのだ。
否、別に最大限戦闘に力を注がねば勝てないような相手では無かったのだが、同時に複数の力を発動させることは誤算を生みやすい。
尤も、己ならば誤算を出さず併用可能であろうという自信もあったのだが、過信も良くはない。濡れても妖術で乾かせば済む話。
そして現状、未だにぺったりと張り付いたままの衣装を鬱陶しく思いながら、現在の住み処である家屋へと帰宅した。
戸を閉めても外からは激しい雨音が聴こえてくる。きっとこのまま一晩中降るのだろう。
玄関から家に上がる前にずぶ濡れの身を乾かすため、体内にある妖の力を練り上げようとした時に。
「元就様、帰ったのですか?」
足音と共に現在の家主である光秀の声が聴こえた。
「…只今戻った」
無感動に受け答え、力の構築を再度行おうと、目を閉じ意識を戻す。
大海原のように広がる膨大な力の海から、ほんの一杯の水を掬い上げるように力を抽出し、それを水泡へと変え――
「あ、お風呂沸いてますよ」
また更に、水蒸気へと細かく大きく変えてゆき――
「元就殿?」
身の内から沸き上がるような―――
「もーとーな」
「…うるさいわ貴様!」
怒声と共に目を見開き、光秀を睨む。
叱られた光秀は何を叱られたのか分からずに、きょとんとした顔で首を傾げた。
「我は身を清めようとしていたのだ」
暫し返答が返ってこない。
気長に待つ。
「……? お風呂、沸いてますよ?」
待ったのも虚しく伝わらなんだらしい。
口で説明しても人間なのだから理解出来ぬことは仕方ないかと溜息を吐く。
――いや、根気よく説明すれば光秀でも理解出来るやもしれぬが、根気よく説明すること自体が面倒であり、諦める。
光秀に妖力のなんたるなを理解させることはまた今度の機会に回すとして。
草履を脱いで家へと上がる。
「風呂…とは湯に浸かることだったな…ふむ…ああ、そうだ、貴様には我の世話をやく義務がある、共に入り背を流せ」
「…え、わ…私がですか…?」
こちらの提案に驚き、目をぱちくりとさす返答を返さない光秀の襟を引っ張れば、そのまま黙って抱き寄せた。
背丈は頭半分ほど光秀の方が大きいからに、渋々と己は相手の肩にトンと頭を当てる。
光秀はといえば突然の抱擁にも関わらず、慌てることなく光秀からも腕を回しきて、つまりそれは此方が抱き締められる格好になっているのは不本意なのだが、それはお互いの体格的に仕方ないとして…。
己の濡れた服は光秀の服までもを濡らしていく。
「共には、駄目か…?」
どきどき、どきどき…と、互いの心音と、差のある体温が混じっていくのを感じ、己は更に抱く力を強めた。
「いえ、駄目ではないです…嬉しいです…」
応えるように、抱き返される。
光秀はきっと今、赤い顔をしているのだろう。
その証拠に心拍数が徐徐に上がっている。
「光秀」
ゆっくりと身を離していく。
「あ、の……」
ちらりと光秀の顔を確認すればやはり、顔は赤かった。
どうやら見られたのが恥ずかしいらしく、光秀は動揺に目を游がせた。
「…光、秀」
その動揺を突くように、顔を近づけていき、近づく吐息。
ゆっくりと閉じられる瞼――
「っくしゅ!」
―――突然、くしゃみをされたものだから、正直、驚いた。
「……ああ、すまぬ、冷やしてしまったか」
そういえば己は濡れた身であったことを不覚にも忘れていた。
いつまでもこの格好で玄関に居ては、お互いに風邪をひいてしまう。
寒さに鼻をすすり始めてしまった光秀の頭を撫でてやり、俄に苦笑しつつ腕を引いた。
「行くぞ、湯に浸かれば少しは楽だ」
「は、はい」
掴んだ腕から伝わる体温は、意外にも己の方が冷たかった。
「光秀」
歩こうとしたのを一旦止めて、我が振り返れば、見た頭上に「?」と浮かぶのが見えたような。
呼び止めたものの、やはりどうしようかと暫く考えてから、実行に移す。
体内で均一に流れる妖力を腕と足に集中させ、それから光秀を肩に抱き抱え上げた。
「えっ…」
妖力により重さは減少しているがゆえに、感じる重さは文庫本一冊程度だ。
「あ………あのあのあのちょっとっ」
抱き上げてから少しと経たないうちに光秀がじたばたと暴れ始めた。
襟首を掴まれ何事かと伺い見る。
「何ぞ、抱き上げてやっているのだ、貴様…我に何が文句あるのか」
「や、ち、ちょっと!私重いでしょう?! 貴方大丈夫なんですかっ?」
「大丈夫だ、問題無い」
答えて、風呂場へと歩き始める。
「そ、そうですか…あ、いやでも恥ずかしいですって…」
「誰も見てなかろう」
「でも…もういいです…」
結果何も言えなくなった光秀に、ついつい優越感を感じてしまうのは、やはり。
「それで良い」
この間抜けな人間をうっかり愛してしまったからかもしれない。
2011.6.17
【つい、うっかり】
エルルカ様リクエストーの就光でした。
遅くなりましたー(^_^;)
最近なんだか小説書くエネルギー少なくて、それによくよく考えてみれば一年ぶりに就光って書きました(苦笑)
まともに書いてないから文が可笑しいなー……(^p^;)
そして攻め就っていうかお狐様元就は己の衝動に抗わないといいなーとか思って、徒然なるまま書いたら、あまりに久しすぎで無茶ぶり就様になったという、そんな就光が何とか仕上がり、難産な一作でしたが。
光秀に可愛い雰囲気出てたりやや元就にエロいオーラが出てるのはお狐様元就と人間の関係だからです、エロナことエレナが書いたからじゃないんです←←
…というわけで…エルちゃん(Σえ?)親しくしていただいてありがとうです。貴方に捧げます!オマケにはぐはぐっ(笑)
降り頻る雨が、体毛を濡らしていた。
今日は夜からの雨であり昼間は降らないという予報であったのに。予報など当てにならぬ。
ここ暫く、梅雨のように雨ばかり続いているのだ。
まだ5月だというのに、日輪は厚い雲に隠れてしまい不愉快この上なかった。
今日も光秀に近づいてきた妖怪を追っ払う為に交戦してきた。
だが、生憎途中から激しい豪雨が降ってきて、ずぶ濡れの濡れ鼠…という無様な有り様だ。
もちろん濡れないように妖力を使うことも可能だったのだが、戦闘の最中そんなことに力を使いたくはなかったのだ。
否、別に最大限戦闘に力を注がねば勝てないような相手では無かったのだが、同時に複数の力を発動させることは誤算を生みやすい。
尤も、己ならば誤算を出さず併用可能であろうという自信もあったのだが、過信も良くはない。濡れても妖術で乾かせば済む話。
そして現状、未だにぺったりと張り付いたままの衣装を鬱陶しく思いながら、現在の住み処である家屋へと帰宅した。
戸を閉めても外からは激しい雨音が聴こえてくる。きっとこのまま一晩中降るのだろう。
玄関から家に上がる前にずぶ濡れの身を乾かすため、体内にある妖の力を練り上げようとした時に。
「元就様、帰ったのですか?」
足音と共に現在の家主である光秀の声が聴こえた。
「…只今戻った」
無感動に受け答え、力の構築を再度行おうと、目を閉じ意識を戻す。
大海原のように広がる膨大な力の海から、ほんの一杯の水を掬い上げるように力を抽出し、それを水泡へと変え――
「あ、お風呂沸いてますよ」
また更に、水蒸気へと細かく大きく変えてゆき――
「元就殿?」
身の内から沸き上がるような―――
「もーとーな」
「…うるさいわ貴様!」
怒声と共に目を見開き、光秀を睨む。
叱られた光秀は何を叱られたのか分からずに、きょとんとした顔で首を傾げた。
「我は身を清めようとしていたのだ」
暫し返答が返ってこない。
気長に待つ。
「……? お風呂、沸いてますよ?」
待ったのも虚しく伝わらなんだらしい。
口で説明しても人間なのだから理解出来ぬことは仕方ないかと溜息を吐く。
――いや、根気よく説明すれば光秀でも理解出来るやもしれぬが、根気よく説明すること自体が面倒であり、諦める。
光秀に妖力のなんたるなを理解させることはまた今度の機会に回すとして。
草履を脱いで家へと上がる。
「風呂…とは湯に浸かることだったな…ふむ…ああ、そうだ、貴様には我の世話をやく義務がある、共に入り背を流せ」
「…え、わ…私がですか…?」
こちらの提案に驚き、目をぱちくりとさす返答を返さない光秀の襟を引っ張れば、そのまま黙って抱き寄せた。
背丈は頭半分ほど光秀の方が大きいからに、渋々と己は相手の肩にトンと頭を当てる。
光秀はといえば突然の抱擁にも関わらず、慌てることなく光秀からも腕を回しきて、つまりそれは此方が抱き締められる格好になっているのは不本意なのだが、それはお互いの体格的に仕方ないとして…。
己の濡れた服は光秀の服までもを濡らしていく。
「共には、駄目か…?」
どきどき、どきどき…と、互いの心音と、差のある体温が混じっていくのを感じ、己は更に抱く力を強めた。
「いえ、駄目ではないです…嬉しいです…」
応えるように、抱き返される。
光秀はきっと今、赤い顔をしているのだろう。
その証拠に心拍数が徐徐に上がっている。
「光秀」
ゆっくりと身を離していく。
「あ、の……」
ちらりと光秀の顔を確認すればやはり、顔は赤かった。
どうやら見られたのが恥ずかしいらしく、光秀は動揺に目を游がせた。
「…光、秀」
その動揺を突くように、顔を近づけていき、近づく吐息。
ゆっくりと閉じられる瞼――
「っくしゅ!」
―――突然、くしゃみをされたものだから、正直、驚いた。
「……ああ、すまぬ、冷やしてしまったか」
そういえば己は濡れた身であったことを不覚にも忘れていた。
いつまでもこの格好で玄関に居ては、お互いに風邪をひいてしまう。
寒さに鼻をすすり始めてしまった光秀の頭を撫でてやり、俄に苦笑しつつ腕を引いた。
「行くぞ、湯に浸かれば少しは楽だ」
「は、はい」
掴んだ腕から伝わる体温は、意外にも己の方が冷たかった。
「光秀」
歩こうとしたのを一旦止めて、我が振り返れば、見た頭上に「?」と浮かぶのが見えたような。
呼び止めたものの、やはりどうしようかと暫く考えてから、実行に移す。
体内で均一に流れる妖力を腕と足に集中させ、それから光秀を肩に抱き抱え上げた。
「えっ…」
妖力により重さは減少しているがゆえに、感じる重さは文庫本一冊程度だ。
「あ………あのあのあのちょっとっ」
抱き上げてから少しと経たないうちに光秀がじたばたと暴れ始めた。
襟首を掴まれ何事かと伺い見る。
「何ぞ、抱き上げてやっているのだ、貴様…我に何が文句あるのか」
「や、ち、ちょっと!私重いでしょう?! 貴方大丈夫なんですかっ?」
「大丈夫だ、問題無い」
答えて、風呂場へと歩き始める。
「そ、そうですか…あ、いやでも恥ずかしいですって…」
「誰も見てなかろう」
「でも…もういいです…」
結果何も言えなくなった光秀に、ついつい優越感を感じてしまうのは、やはり。
「それで良い」
この間抜けな人間をうっかり愛してしまったからかもしれない。
2011.6.17
【つい、うっかり】
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最近なんだか小説書くエネルギー少なくて、それによくよく考えてみれば一年ぶりに就光って書きました(苦笑)
まともに書いてないから文が可笑しいなー……(^p^;)
そして攻め就っていうかお狐様元就は己の衝動に抗わないといいなーとか思って、徒然なるまま書いたら、あまりに久しすぎで無茶ぶり就様になったという、そんな就光が何とか仕上がり、難産な一作でしたが。
光秀に可愛い雰囲気出てたりやや元就にエロいオーラが出てるのはお狐様元就と人間の関係だからです、エロナことエレナが書いたからじゃないんです←←
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