ビスケット通信
小説(とたまに絵)を書いてるブログです。 現在更新ジャンルは本館で公開した物の再UP中心。 戦国BASARAやお題など。
いつかの夢(ムクヒバ)
- 2009/10/09 (Fri)
- キリリク置き場 |
- CM(1) |
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(星苺様BASREで444キリ番時にリクエストされたムクヒバ。星苺様のみお持ち帰り自由です)
無音。
辺りは闇が広がり、手を伸ばしても何も掴めない。
自分を見れば、何故か闇の中なのに良く見え、いつも通り学ラン姿。
探るように暫く歩く。
ここに来る前は確か並盛中の、と考えたところで世界が急に明るくなった。見回すといつの間にか並盛中の校庭に雲雀は居る。
流れから推測し、ああ…夢か、と確信し、改めて辺りを並盛中校舎を見上げた。
騒がしい生徒の声も聞こえず、鳥のさえずりさえ無く、ただ聞こえるのは風の音のみ。空を見上げれば青い空に、白い浮き雲が流れている。
ひらりと何かが目の前を舞い過ぎていったのに気付き、その方向に目をやれば、桜の木。夢の中にくらい出てこないでほしいと思い桜の木を睨んだ。
「桜が綺麗ですね」
聞こえた声に反応して、その声のした方向、左横に視線を向ける。
そこには意識もしていないのに六道骸がいたのだが、彼は夢渡りとやらが出来るのだと思い出し、不思議には思わない事にした。
「桜なんてどうでもいいじゃない」
そう雲雀が呟いた瞬間、桜の木から花が無くなり、深緑の若葉が現れる。初めからこうすれば良かったのかと軽く息を吐けば、もったいない…と名残惜しそうに骸は呟いた。
それにも構わずその場を後にしようとしたのだが、雲雀恭弥、と名前を呼ばれ、渋々何の用かと振り返った。
「…何」
「ご一緒していいですか?」
くだらない質問だと溜息をつき、雲雀は校舎へと足を向けた。
別段返事は無用と考えたのだが一応「勝手にすれば」とだけ素っ気なく答えれば、早々に歩を進め始める。
ほんの数秒の間。
背後で砂利の音がし「じゃあ勝手にご一緒します」などと全く予想通りの返答と、嬉しそうな声が聴こえた事に少し後悔しつつ、足早に校舎へと向かった。
「夢っていいですね…何をしても疲れませんから」
いつの間にか隣に居た骸の発言を無視して雲雀はさらに歩く速さを上げるも、そのスピードに余裕の表情で追い付き隣に並ぶ。相変わらず語り続けるも、雲雀は頑として無言で歩き続けた。
通行口から入って、少し歩き階段を上がり雲雀が向かうは屋上。
彼は何かとあれば屋上に行く癖があると、並森中に在籍している者ならば誰でも知っている事だ。
厚く分厚いドアを押し開けて外に出る。そこはいつも通りの殺風景な世界が広がっていた。そのまま静かにフェンス越しにまで歩いて行けば、この夢の世界を見下出来る。
並盛町内が一望でき、雲雀にとって夢であろうとなかろうとこの場所は落ち着くお気に入りの場所だ。
「…貴方の夢はつまらない」
人の夢に勝手に来て勝手についてきたくせにこいつは何を言ってるんだと不機嫌そうに視線で物言えば、悪びれているのかのように、すみませんといった具合に肩を竦め両手を上げてみせた。だが彼は本当に悪いとは思っているはずもないと容易く予想出来るが、ならば彼は何のために――などとそんな事を考えるのも馬鹿らしいと思い、考えるのを止める。
「普通の方ならもっと不思議な、変わった空間なのですが、貴方の世界は現実とあまり変わらない」
ふぅん…とあまり興味の無さそうな声を出す。
何が可笑しいのか急に骸はふっと吹き出し、クハハハッと独特に笑いだした。
雲雀は何が可笑しいと訊ねると、骸は少しの間を空けてから答え。
「夢の中でくらい夢を見ましょうよ」
「空を飛ぶとか」
「…馬鹿みたい」
「では…」
こんなのはいかがですか?と骸が手を振り上げ、パチンと指を鳴らす。
それと共に、一瞬にして世界が靄のかかったような蓮花に包まれた世界に変わった。
何故他人の夢を世界を変えられるのかという疑問は仕組みを聞いても解らないだろうと決め付け、別に指を鳴らさなくても良いじゃないかという疑問は投げかけてみる。
すると彼は演出だと答えた。確かに、マジックショーなどでは合図として指を鳴らすなどの演出はあるが、自分相手に演出などしても意味が無いのでは無いだろうかとまた新たな疑念が浮かぶ。
だったら何故だろうかと考えるも検討はつかず、質問しようと横を向くも見当たらなくてもしやと思い地面に視線を落とす。骸は地面に屈みこんで、艶やかな指使いで蓮の花を撫でていた。
「綺麗ですね…美しい…」
愛しい我が子を見るかのような――と言えば少し違うような気もするが、彼はいとおしそうな表情で花を愛でている。
彼に美しいものを愛でる趣味があろうとなかろうと雲雀にはどうでも良く、それでいて花になど興味はない為、つまらなさそうにその様子を眺めていれば雲雀の様子に何を思ったか、クスッと笑みを溢し。
「貴方も美しいですけどね…」
そう雲雀に向かって言えばにこりと微笑み、また花に視線を戻した。
何をいきなり妙なことを。骸の脈略が判らず、暫し首を捻って考えるもただの気紛れかと強引に結論付け、足元に群がる蓮の花をくしゃっと遠慮無く踏み潰す。
潰れた花びらが風に舞い、静かに飛んでいった。残酷だとも思わずに、ただそれを見つめる。
雲雀の行動に彼は気づかなかったのかはたまた気にしていないだけなのか、相も変わらずうっとりと目を細めていたのだが。
「あ、そうだ…貴方の頭に付けたら可愛いでしょうね」
ぷちっと花を千切るような音が鳴り、ちょんと耳元に花が挿されたような感覚に雲雀は即座に眉間に皺を作ってその花を付けた人物を怒りの形相で睨む。
淡い色合いの蓮華が黒髪の雲雀を美しく彩っていて、笑顔であれば美人に見えるだろうにと骸は苦笑した。
「怒ったらせっかくの花が可哀想ですよ…まあ…貴方の笑顔なんて想像出来ませんがね」
ぴん、と指先で皺の寄った眉間を弾き悲しげに骸は言う。
一瞬呆気に取られたかのように目を見開いたが、呆れた溜息を吐き、雲雀は相手にしても無駄かと諦め耳に付けられた花を外し無造作に投げた。クルクルと円を描きながら宙に舞い、やがて花は音もなく地面に落ちる。
「せっかく可愛らしかったのに…」
残念そうに眉をハの字に下げて呟やけば、は?と雲雀が不機嫌とも不思議そうにもとれる声を出して不愉快そうに言葉を続けた。
「君の目は節穴?僕が可愛いとか意味不明なんだけど。あり得ない」
敵視をするような眼光を瞳に宿しつつ相手を睨みながら言えば、言われた本人は怯むこともなくただ、おや…と驚いた声を出しせばクスッと笑みを浮かべ、その手がゆっくり頬へと触れられた。
別に触れようとした時点で避けるなり叩き退けることも出来ただろうに、自分は何故そうしなかったのだろうかと雲雀は自問自答する。
気を許しているという選択肢だけは無い。
ならば何故?
雰囲気に流された?
有り得ない。
寧ろ雰囲気とは何のだ―――これ以上考えては何か危険な結論に行着いてしまうような気がし、考えるのを止めた。
とにもかくにも、今の現状はあまり気分の良いものでは無い。
「なっ…」
何をするんだ、と言葉をかけようと口を開く前に人差し指が唇に軽く宛てられる。
喋ろうと思えば無理矢理にでも口は開けられたのだが、彼の意図も分からずに喋っても意味は無いだろうと喋るのを止まった。
そんな雲雀の様子に満足したのか、骸は柔らかな笑みを浮かべる。
「可愛いものは可愛いんですから、しょうがないじゃないですか。……それに…本当に可愛くない人を可愛いなどとは、いくら僕でも言いませんよ」
口説かれているような雰囲気に思わず雲雀は目を軽く伏せ、羞恥に頬を僅かに桜色に染める。
慌ててふいっと顔をそむけて「そう」とだけ、ぶっきらぼうに言葉を返した。
何故自分がこんな男に翻弄されなければいけないのか。
否、翻弄されている自分が惨めだ。
「おやおや…クフフ、照れていらっしゃるのですか?貴方という人が…」
「うるさいよっ…」
愉快そうに、クフクフと笑う骸にどこからか槍が飛んできた。
もちろんそれは雲雀がイメージして思い描いたもので、どこか骸の持っている三叉槍に似ているのは恐らく槍などというものの参考にするものがあの槍くらいしかなかったからだと、雲雀は自分に言い聞かせる。
速さを増し向かってくる槍を骸は軽やかにあっさりと避けた。
とはいえ、夢の中だから怪我はしないのだが。
逃したかと残念そうに舌打ちすれば、骸は苦笑を浮かべ。
「危ないですよ」
「君が変な事言うからでしょ」
もうもう話は無いとばかりに後ろを向くも、向いた後ろに骸が居り雲雀をからかう。
「変な事、とは…?」
「っ…」
攻撃しても意味は無いと分かりつつ拳を振りかぶるも、やはりさも予測していたかのようにひらりと後ろへと飛んで、雲雀の攻撃を避けた。
「もう消えてよ君っ…」
「クッハハ…そうですね、そろそろ僕の体が覚醒するようですし、帰ります」
骸の意外な返答と、世界が並盛中に変わった事に驚き、思わず振り返った。
そこには既に骸の姿は無く、呆気にとられていた雲雀の一輪の紫色の蓮の花が落ちていて。
紫色なんてあっただろうかと考えたが、別にあってもなくてもここは夢の中なのだから意味は無いと溜息を吐く。
その花を静かに拾い上げ手に取れば、雲雀は口元に笑みを浮かべた。
「…もう僕の夢に来ないでよね」
そう言った声は言葉とは裏腹に、どこか優しい声。
自分はこんな声出せるんだと意外に思いつつ、夢が醒めるまで花を見つめるのも悪くないかなと口の端を吊り上げて笑った。
終わり
―――――――――
何が言いたいんだ自分…とよく思います…(笑)
ご希望に合ってたか分かりませんが…(苦笑)
星苺様、リクエストありがとうございました!
無音。
辺りは闇が広がり、手を伸ばしても何も掴めない。
自分を見れば、何故か闇の中なのに良く見え、いつも通り学ラン姿。
探るように暫く歩く。
ここに来る前は確か並盛中の、と考えたところで世界が急に明るくなった。見回すといつの間にか並盛中の校庭に雲雀は居る。
流れから推測し、ああ…夢か、と確信し、改めて辺りを並盛中校舎を見上げた。
騒がしい生徒の声も聞こえず、鳥のさえずりさえ無く、ただ聞こえるのは風の音のみ。空を見上げれば青い空に、白い浮き雲が流れている。
ひらりと何かが目の前を舞い過ぎていったのに気付き、その方向に目をやれば、桜の木。夢の中にくらい出てこないでほしいと思い桜の木を睨んだ。
「桜が綺麗ですね」
聞こえた声に反応して、その声のした方向、左横に視線を向ける。
そこには意識もしていないのに六道骸がいたのだが、彼は夢渡りとやらが出来るのだと思い出し、不思議には思わない事にした。
「桜なんてどうでもいいじゃない」
そう雲雀が呟いた瞬間、桜の木から花が無くなり、深緑の若葉が現れる。初めからこうすれば良かったのかと軽く息を吐けば、もったいない…と名残惜しそうに骸は呟いた。
それにも構わずその場を後にしようとしたのだが、雲雀恭弥、と名前を呼ばれ、渋々何の用かと振り返った。
「…何」
「ご一緒していいですか?」
くだらない質問だと溜息をつき、雲雀は校舎へと足を向けた。
別段返事は無用と考えたのだが一応「勝手にすれば」とだけ素っ気なく答えれば、早々に歩を進め始める。
ほんの数秒の間。
背後で砂利の音がし「じゃあ勝手にご一緒します」などと全く予想通りの返答と、嬉しそうな声が聴こえた事に少し後悔しつつ、足早に校舎へと向かった。
「夢っていいですね…何をしても疲れませんから」
いつの間にか隣に居た骸の発言を無視して雲雀はさらに歩く速さを上げるも、そのスピードに余裕の表情で追い付き隣に並ぶ。相変わらず語り続けるも、雲雀は頑として無言で歩き続けた。
通行口から入って、少し歩き階段を上がり雲雀が向かうは屋上。
彼は何かとあれば屋上に行く癖があると、並森中に在籍している者ならば誰でも知っている事だ。
厚く分厚いドアを押し開けて外に出る。そこはいつも通りの殺風景な世界が広がっていた。そのまま静かにフェンス越しにまで歩いて行けば、この夢の世界を見下出来る。
並盛町内が一望でき、雲雀にとって夢であろうとなかろうとこの場所は落ち着くお気に入りの場所だ。
「…貴方の夢はつまらない」
人の夢に勝手に来て勝手についてきたくせにこいつは何を言ってるんだと不機嫌そうに視線で物言えば、悪びれているのかのように、すみませんといった具合に肩を竦め両手を上げてみせた。だが彼は本当に悪いとは思っているはずもないと容易く予想出来るが、ならば彼は何のために――などとそんな事を考えるのも馬鹿らしいと思い、考えるのを止める。
「普通の方ならもっと不思議な、変わった空間なのですが、貴方の世界は現実とあまり変わらない」
ふぅん…とあまり興味の無さそうな声を出す。
何が可笑しいのか急に骸はふっと吹き出し、クハハハッと独特に笑いだした。
雲雀は何が可笑しいと訊ねると、骸は少しの間を空けてから答え。
「夢の中でくらい夢を見ましょうよ」
「空を飛ぶとか」
「…馬鹿みたい」
「では…」
こんなのはいかがですか?と骸が手を振り上げ、パチンと指を鳴らす。
それと共に、一瞬にして世界が靄のかかったような蓮花に包まれた世界に変わった。
何故他人の夢を世界を変えられるのかという疑問は仕組みを聞いても解らないだろうと決め付け、別に指を鳴らさなくても良いじゃないかという疑問は投げかけてみる。
すると彼は演出だと答えた。確かに、マジックショーなどでは合図として指を鳴らすなどの演出はあるが、自分相手に演出などしても意味が無いのでは無いだろうかとまた新たな疑念が浮かぶ。
だったら何故だろうかと考えるも検討はつかず、質問しようと横を向くも見当たらなくてもしやと思い地面に視線を落とす。骸は地面に屈みこんで、艶やかな指使いで蓮の花を撫でていた。
「綺麗ですね…美しい…」
愛しい我が子を見るかのような――と言えば少し違うような気もするが、彼はいとおしそうな表情で花を愛でている。
彼に美しいものを愛でる趣味があろうとなかろうと雲雀にはどうでも良く、それでいて花になど興味はない為、つまらなさそうにその様子を眺めていれば雲雀の様子に何を思ったか、クスッと笑みを溢し。
「貴方も美しいですけどね…」
そう雲雀に向かって言えばにこりと微笑み、また花に視線を戻した。
何をいきなり妙なことを。骸の脈略が判らず、暫し首を捻って考えるもただの気紛れかと強引に結論付け、足元に群がる蓮の花をくしゃっと遠慮無く踏み潰す。
潰れた花びらが風に舞い、静かに飛んでいった。残酷だとも思わずに、ただそれを見つめる。
雲雀の行動に彼は気づかなかったのかはたまた気にしていないだけなのか、相も変わらずうっとりと目を細めていたのだが。
「あ、そうだ…貴方の頭に付けたら可愛いでしょうね」
ぷちっと花を千切るような音が鳴り、ちょんと耳元に花が挿されたような感覚に雲雀は即座に眉間に皺を作ってその花を付けた人物を怒りの形相で睨む。
淡い色合いの蓮華が黒髪の雲雀を美しく彩っていて、笑顔であれば美人に見えるだろうにと骸は苦笑した。
「怒ったらせっかくの花が可哀想ですよ…まあ…貴方の笑顔なんて想像出来ませんがね」
ぴん、と指先で皺の寄った眉間を弾き悲しげに骸は言う。
一瞬呆気に取られたかのように目を見開いたが、呆れた溜息を吐き、雲雀は相手にしても無駄かと諦め耳に付けられた花を外し無造作に投げた。クルクルと円を描きながら宙に舞い、やがて花は音もなく地面に落ちる。
「せっかく可愛らしかったのに…」
残念そうに眉をハの字に下げて呟やけば、は?と雲雀が不機嫌とも不思議そうにもとれる声を出して不愉快そうに言葉を続けた。
「君の目は節穴?僕が可愛いとか意味不明なんだけど。あり得ない」
敵視をするような眼光を瞳に宿しつつ相手を睨みながら言えば、言われた本人は怯むこともなくただ、おや…と驚いた声を出しせばクスッと笑みを浮かべ、その手がゆっくり頬へと触れられた。
別に触れようとした時点で避けるなり叩き退けることも出来ただろうに、自分は何故そうしなかったのだろうかと雲雀は自問自答する。
気を許しているという選択肢だけは無い。
ならば何故?
雰囲気に流された?
有り得ない。
寧ろ雰囲気とは何のだ―――これ以上考えては何か危険な結論に行着いてしまうような気がし、考えるのを止めた。
とにもかくにも、今の現状はあまり気分の良いものでは無い。
「なっ…」
何をするんだ、と言葉をかけようと口を開く前に人差し指が唇に軽く宛てられる。
喋ろうと思えば無理矢理にでも口は開けられたのだが、彼の意図も分からずに喋っても意味は無いだろうと喋るのを止まった。
そんな雲雀の様子に満足したのか、骸は柔らかな笑みを浮かべる。
「可愛いものは可愛いんですから、しょうがないじゃないですか。……それに…本当に可愛くない人を可愛いなどとは、いくら僕でも言いませんよ」
口説かれているような雰囲気に思わず雲雀は目を軽く伏せ、羞恥に頬を僅かに桜色に染める。
慌ててふいっと顔をそむけて「そう」とだけ、ぶっきらぼうに言葉を返した。
何故自分がこんな男に翻弄されなければいけないのか。
否、翻弄されている自分が惨めだ。
「おやおや…クフフ、照れていらっしゃるのですか?貴方という人が…」
「うるさいよっ…」
愉快そうに、クフクフと笑う骸にどこからか槍が飛んできた。
もちろんそれは雲雀がイメージして思い描いたもので、どこか骸の持っている三叉槍に似ているのは恐らく槍などというものの参考にするものがあの槍くらいしかなかったからだと、雲雀は自分に言い聞かせる。
速さを増し向かってくる槍を骸は軽やかにあっさりと避けた。
とはいえ、夢の中だから怪我はしないのだが。
逃したかと残念そうに舌打ちすれば、骸は苦笑を浮かべ。
「危ないですよ」
「君が変な事言うからでしょ」
もうもう話は無いとばかりに後ろを向くも、向いた後ろに骸が居り雲雀をからかう。
「変な事、とは…?」
「っ…」
攻撃しても意味は無いと分かりつつ拳を振りかぶるも、やはりさも予測していたかのようにひらりと後ろへと飛んで、雲雀の攻撃を避けた。
「もう消えてよ君っ…」
「クッハハ…そうですね、そろそろ僕の体が覚醒するようですし、帰ります」
骸の意外な返答と、世界が並盛中に変わった事に驚き、思わず振り返った。
そこには既に骸の姿は無く、呆気にとられていた雲雀の一輪の紫色の蓮の花が落ちていて。
紫色なんてあっただろうかと考えたが、別にあってもなくてもここは夢の中なのだから意味は無いと溜息を吐く。
その花を静かに拾い上げ手に取れば、雲雀は口元に笑みを浮かべた。
「…もう僕の夢に来ないでよね」
そう言った声は言葉とは裏腹に、どこか優しい声。
自分はこんな声出せるんだと意外に思いつつ、夢が醒めるまで花を見つめるのも悪くないかなと口の端を吊り上げて笑った。
終わり
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何が言いたいんだ自分…とよく思います…(笑)
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この記事へのコメント
有難う御座います
ニヤニヤしております!!
エレナ様素敵なムクヒバ有難う御座いました!!