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ビスケット通信

小説(とたまに絵)を書いてるブログです。 現在更新ジャンルは本館で公開した物の再UP中心。 戦国BASARAやお題など。

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しろいともだち(光就/妖怪パロ/ほのぼのα)





 しんと静まり返った地に、曇りがかった空
から、ひらひらと舞い降りてくる白。

「綺麗ですねぇ…」

雪が降っている。
それは積もりに積もって、辺りを真っ白にし
てゆく。屋根の上も木の枝も。

例えるならば白銀世界。空と地と、見分けが
つかないのではないのかと思うほどに、雪は
綺麗に降り積もり、世界の全てが白に包まれ
ていて、時の流れすら忘れさせる。

この雪景色をもう幾度見たことか。
何百年とある記憶の中から、それを思い出す
のも数えるのも面倒なので普段深くは考えた
りはしないが、時より気になったりする。

だがいざ気になり考えるも、いったい自分は
いつからこの地に居座っていたのかその変の
記憶が曖昧な為、結局思い出せず仕舞いに
終わるのだだが。

 夜間の寒さに霜柱の出来ている地面をさく
さくと踏み鳴らしながら、山中の道を進む。
この真冬の時期、まして山中となれば動物は
おろか、人影すら見つからない。

空腹を訴える腹に溜息を吐く。
普通ならば妖怪は、妖気が存在に関わる危険
値にまで下がらなければ生気を得ずとも生き
ていられるので、別段食事の必要性は無きに
等しいのだが、半妖な自分はいかんせん変な
部分だけ人間らしさを受け継いでいるらしく
人並みに腹は空いてしまう。

空腹を紛らわす為に動物の、元来の姿である
白蛇の姿に成り冬眠でもしてしまおうか。
それとも山を降りて、村などから手短に人間
でも拐って食べるか。

別に生気を得るのが目的でなければ生き物を
捕まえなくとも良いのだが、いちいち手間の
かかる料理などをするは自分には面倒で好か
ない。かといって、山菜や木の実をそのまま
食べるというのは些か人として気が引ける。
それ故に、結局村人や野生動物などを捕らえ
食すのが一番手短で済むという結論だ。

早速狩りにでも行こうかと思っていた矢先、
ずっと先から風に乗って、僅かに生き物の
気配を感じた。

――珍しい

人間であろうとその他の動物だろうと、この
真冬の寒い日に、しかも雪の降る中易々と、
出歩く生き物がいるとは正直驚いた。

 空腹を満たそうと歩はその方向に向く。
久々の血肉に…食事にありつけるのだと思う
と、無意識で舌舐めずりをしてしまうほどに
まで気持ちが昂り、歩く足は速まりやがて
駆け足へと変わる。

 生きたまま、まだ温かな血の巡るその身を
引き裂き激痛に泣き狂う鳴き声を聴きながら
食べるか、はたまた絞め殺してからじっくり
と味わいながら食すのか―――どちらも実に
興奮出来るだろう。想像するだけでも恍惚と
してしまう程なのだから。

そういった、獲物をいたぶる楽しみがあるが
故に、食事は妖気を増幅させるのだと自分は
考えている。実際はその生き物の生命力を
吸収し妖気へと変換されているのだろうが、
それではあまり面白味が無いではないか。

面白味の為に時には人間を犯す事もある。
散々犯し喘がせ、達し飽きれば殺める。

とはいえそれは、殺意より性欲が上回った時
のみの話で、そう頻繁にあることではないの
だし、気分が良ければ息の根を止める程度で
終わり、機嫌が悪ければ切りつけては殴り
叩きつけて気が済むまでなぶり殺してから
食す。つまり、捕食に至るまでの全てはその
時の気分によって左右されるのだ。


「…この辺りですかね」

 狭い獣道の草木を掻き分けて、辿り着いた
先には大きな桜の木が一本。見上げても先端
が全く見えない程に高く成長したこの木は、
既に軽く百年以上は経っているのだろうと、
古大木の木面を触りながら考えた。

見回しても何もいないため気のせいだったか
と諦めて帰ろうと踵を翻した瞬間、何かが
頭上に落ちてきて、直撃した。

驚いた拍子に尻餅をついてしまった足元に、
真ん丸い小さな白い塊が落ちている。雪だろ
うかと一瞬思ったが、よく見ればそれは呼吸
をしているのか体が上下しているのに気がつ
き、それが動物なのだと漸く判断出来た。

こんなに小さければ腹の足しにはあまりなら
ないだろうなどと考えながら、暫く観察して
いれば、真ん丸な生き物はもぞもぞと動き頭
をこちらに向けた。

「……」

まるで生き物は、怪訝そうに眼を細めてこち
らを見上げれば、ふるふると体を大きく震わ
せて体にまとわりついた雪を振り落とす。

それでも体毛は雪のように白い。
イタチかオコジョか何かなのかと思うもそれ
にしては大分耳が大きいような気がする。

「貴方、誰ですか?」

「……」

答える筈の無い質問に生き物の耳がぴくりと
動いたが、さも聴こえていないといった具合
にそっぽを向いて欠伸をする。

普通なら最初にこちらの存在を目視した時点
で逃げているだろうし、ましてや声を出せば
驚き逃げるに違いない。
人間に飼われていたならば別だが。

撫でようと手を伸ばせば、尻尾で軽やかに
振り払われる。その仕草で、根元の膨らんだ
尻尾がニ本ある事に気が付いた。

「おや…貴方は妖狐だったのですか」

妖狐は瞳を見開いて驚いた様子を見せた。
とはいっても、小さな目なのでほんの僅かに
しか変わってはいないのだが。

「…貴様、何者」

口から紡がれたのは、小動物らしい可愛らし
さのある見かけからは全く想像の出来ない、
低い人間の言葉だったので、今度はこちらが
驚かせられる。

狐は妖怪の中でも賢い方だと噂には聞いてい
たが、それでもたった百歳で――妖狐は百年
に一本尻尾が増えるので百歳だと判った――
人間の言葉が喋れるようになるとは知らず、
感心の念すら湧いてくる。

それに白狐とはあまり見たことも聞いたこと
も無く珍しいと思ったが、自身も元来が白い
姿な為に、あえて何も言わないでおいた。

「貴方と同じ、妖怪ですよ」

同じ人ではない生き物なのだと教えれば安心
するかと思いきや、毛を逆立てて警戒の気を
発せられた。何故だろうかと理由が判らずに
どうも出来ず苦笑いを浮かべた。

「貴様からは人間の匂いがする」

「半妖…半分妖怪で半分人間ですから…」

確か遠い記憶では、母方が人間で父方が妖怪
だったと聞いている。いったいどういう馴れ
初めでそうなったのかは知らないし、知りた
いとも思わない。

 寒いのか、妖狐の彼は警戒をしつつ、体を
丸めた。

自分は元来が低体温動物だからなのかそれと
もただ単に寒さに強い体なのかは定かではな
いが、つまり寒さには強いので気付かなかっ
たのだがいつの間にか先程まで降っていた雪
が吹雪へと変わりつつあった。

「住み処は何処です?送りますよ」

「無い」

即答で返ってきた返事に数秒思考が停止した
気がする。この寒い冬住み処も無しに生きる
など自殺行為に近いと思ったが彼は妖怪だっ
たのだと思いだし考えを改める。

「では私の住み処に…」

「態態食われにいく馬鹿が何処にいる」

「いえ、貴方のような方を食べても
 腹の足しになりませんから」

「…ふん」

細い四足で立ち上がり、自分に向かって歩ん
でくれば横を通り過ぎていく。少し歩いたと
こで振り返り、

「案内せよ」

そんなひねくれた小さな妖狐の彼を、少し
ばかり愛しく思った。



2009/12/14に本館UP

――――――後書き――――――

まだ元就は若いから人間になれないのです。
という、裏設定(笑)
妖怪パロ好きなんです!
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プロフィール

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堕天使エレナ
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性別:
女性
職業:
学生
趣味:
絵描き 執筆 読書 ゲーム 寝る 妄想 便せん作り
自己紹介:
うえのイラスト画像はいただきもの。
オンラインでは執筆を
オフラインではイラスト中心に活動中デス
ギャルゲー、音ゲー、RPG系、シュミレーションゲームが好き
格ゲーやアクションは苦手

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