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ビスケット通信

小説(とたまに絵)を書いてるブログです。 現在更新ジャンルは本館で公開した物の再UP中心。 戦国BASARAやお題など。

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全部貴様が悪い(クリスマス話/現パロ/結局光就)




 LEDの青いライトで飾付けられた町並み
を横目に、クリスマスソングが彼方此方から
聴こえてくる商店街の中を歩く。
いくら消費電力が低いとはいえこんなにごて
ごてと飾り付けては意味が無いのではないか
と内心呟きながら、男女が腕を組み頬を染め
歩く姿が目の端々に入り嫌気する。

 生まれてこのかた、クリスマスやイブの日
に誰かと馬鹿のように騒いだり、恋人と幸せ
な聖夜を過ごそうなどと一度たりとも思った
事は無い。
寧ろ普段生活している時は宗教など全く興味
が無い癖にこういう日だけクリスマスを祝う
などという浮かれた考えが了解不能だ。故に
クリスマスなどという行事は、自分には全く
関係ないと切り捨てている。

 こんな日は家に籠って読書をするか、執筆
に勤しむのが一番なのだが、よりにもよって
クリスマス前に依頼原稿が立て込み執筆に追
われ、ろくに買い物すら出来ぬ状態だった。
それで渋々、こんなクリスマスに買い出しに
出ている現状。

「…魚か」

 【長曾我部魚屋】という、クリスマスのイ
ルミネーションに飾られた看板が目に入る。
わざわざクリスマスの為に電飾を買う金があ
れば店の改築でもやればよいのではと、以前
訊いたが父親の店を弄りたくはないと言って
いた。

 さて、明日の夕食は旬の鱈を使って湯豆腐
鍋にでもしようか。余れば残りは雑炊にでも
して翌日に持ち越そうか。

店先に広げられた小さな魚市場を品定めして
いれば先に来ていた客の接客が終わったらし
い店主、もとい長曾我部元親が腰にサンタの
絵が描かれた前掛けを身に付け現れる。

「お、元就ぃ!お前がイヴに買いもんなんて
 珍しいじゃねぇか」

「少し仕事が立て込んでな。それで渋々」

「おーおー、苦労してんだな」

因みに屈託の無い笑みを浮かべるこの男、
元親は中学からの友人だ。
一昨年までは毎年クリスマスにケーキを持ち
部屋に押し掛けて来ていたが去年からは来な
くなった。

恋人が出来たらしい。
右目に眼帯をした派手好きで英語混じりな…
確か名を伊達と言っていた気がするが、その
者と大事な夜を過ごすからと、金目鯛を持ち
挨拶に来た時の印象は鬱陶しかったという他
に記憶は無い。

「鱈を一匹貰いたい」

「おう、今日は鍋か?」

「そうだ」

…元親は妙な部分で勘が良いと思う。
青いビニール袋に詰めた鱈を受け取りながら
そう思っていれば、不意に後ろから肩を叩か
れ驚き振り返った。

「こんばんは、元就君」

黒のコートに群青色のニット帽とマフラー、
そして白い髪をふわふわと風に揺らして現れ
たのは、竹中半兵衛。

通っていた大学の同期生で、元親の他数少な
い親しい友人。
その半兵衛の後ろには、お揃いのマフラーを
首に巻いている豊臣秀吉が立っていた。

「お、半兵衛!久しぶりじゃねぇか!
 無事退院出来たんだな」

「うん、おかげさまでこの通り元気だよ」

大学を卒業してから半年後に病に倒れたと
聞いてたが、無事に回復したのならば良かっ
たと内心で安堵の笑みを浮かべる。

それを察してか知らずか竹中は微笑を浮かべ
ありがとうと礼を述べた。別段、礼を言われ
るような事はしていないと思うのだが、一応
社交辞令程度にはどういたしましてとだけ
言葉を返しておく。

「行くぞ半兵衛。
 夜は寒い、長く出てはお前の体に響く」

「うん、分かってるよ秀吉…
 じゃあ、そういう事だから。またね」

豊臣に肩を抱かれ人混みを避けて帰って行く
竹中の後ろ姿に、どこか安堵を憶えた。

「元就も早く帰んねぇと、体冷やすぜ。
 それに、従兄、待ってんだろ?」

「…多分」

「鱈はくれてやっから、早く帰れよ。
 俺からのクリスマスプレゼントだ」

微笑みと共にぽんと背中を押されて、そのま
まタイミング良く店に来た客の接客へと移っ
ていく。

――これも奴にとって一種の気遣いなのか。
そう考えると、いつの間にか元親の周りに人
が集まっていく理由が分かる気がした。

 全ての買い物が終われば、暗い空から雪が
降り始めていた。

 元親が述べた従兄とは、最近勝手に我が
住居に居座っている者で、確か父方の兄上の
子供と聞いている。

炊事洗濯は得意な様子だったので、家内仕事
を任せるという条件で家に住まわせている。

だが買い出しだけは、毎週末に実家から来る
使用人に任せていた。(因みに今年は使用人
の祖父の容態が良くないらしく休みを取った
との報を受けている)

従兄、彼は人付き合いが苦手で買い出しには
出れぬし、仕事につくなぞもっての他という
対人恐怖症…というより極度の人間嫌い。
母方の姉が亡くなった後、従兄の父親は早々
に家を出てしまい、渋々と親戚を点々とする
もその異質な性格により追い出され最終的に
我の元へたどり着いたと。

初めは次に渡す親戚の家が見つかり次第自分
も追い出そうと決め込んでいたのだが、馴れ
合っている内、不甲斐なくも他所へやるのが
惜しくなってしまい、結局そのまま従兄を
居座らせる結果に至っているのだ。



 ふと正面に目を凝らせば、交差点の外灯に
照らされる見覚えのある人影があった。
よもや…と思い駆け寄っていけばやはりとい
うか、手をコートのポケットに入れて電柱に
寄りかかっている従兄の姿。

「光秀」

声をかければ驚いたように此方を向いた。
寒さに赤くなった鼻先が長い間我を待ってい
た事を物語り、呆れと嬉しさと申し訳なさが
混ざり合い何ともいえない気持ちが生じる。

「あぁ…お帰りなさい、元就さん」

柔らかな笑顔を浮かべて直ぐに、くしゃみが
ひとつ。

こういう時は抱き締めて礼の言葉でも言うの
が良いのだろうが、生憎自分にはそんな気遣
うような事は言えぬし出来ぬ故、ただいまと
愛想無く返す事しか出来ない。

「荷物、持ちますよ」

「いらぬ」

「意地っ張りなんですから…
 ほら、こっちの袋持ちますからね」

結局奪うような感じで持っていたビニール袋
5つの内3つが従兄の手に渡る。
しかも重い方。

――実際、荷物が重く無かったと言えば嘘に
なる為、少し有難かった。
顔にも口にも出さぬが。

「雪ですから、ホワイトクリスマスですね」

帰路へと歩きながら、他愛ない話を交わす。

「そうだな」

ただそれだけなのに、何処となく特別感があ
るのは、今日がクリスマスだからなのか、
それとも雪の影響なのか。

「何でも、米国ではホワイトクリスマスだと
 恋が実るという迷信があるらしいですよ」

従兄が恋がどうと語るなぞ珍しいと思ったが
迷信と言っている時点で、迷信自体には興味
が無いのだろう。

「元就さん」

従兄が立ち止まった。
自ずとつられて自分も立ち止まる。

意味深長に微笑みながら
紅づいた頬が近付く、目前15センチ。

「私の恋も実りますかね…?」

上向く顔が熱いのはきっと寒さからくる冷え
逆上せのせい。

「我には知…」

言葉が紡がれなかったのは従兄のせいだ。
荷物を落としたのも呼吸が上手く出来ないの
も無駄に心拍数が上がるのも、光秀、




【全部貴様が悪い】

2009/12/24
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堕天使エレナ
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女性
職業:
学生
趣味:
絵描き 執筆 読書 ゲーム 寝る 妄想 便せん作り
自己紹介:
うえのイラスト画像はいただきもの。
オンラインでは執筆を
オフラインではイラスト中心に活動中デス
ギャルゲー、音ゲー、RPG系、シュミレーションゲームが好き
格ゲーやアクションは苦手

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