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ビスケット通信

小説(とたまに絵)を書いてるブログです。 現在更新ジャンルは本館で公開した物の再UP中心。 戦国BASARAやお題など。

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起遊床戯(光就/甘いかもしれない)




 意識の覚醒に重い瞼を開く。
寝起きのだるさに頭が上手く動かなかったの
だが、室内の微かな明るさに、もう朝か…と
意識出来た。

いつもなら、眉間に深い皺を寄せた元就公に
叩き起こされない限りは昼頃まで寝ていると
いうのに。

二度寝しようかと思ったが、ふと見た外の
方向、障子に浮かぶ影に考えを改めた。

大好きな日の光を浴びる清々しそうな彼の顔
を見てから寝ようと決め、布団から起き上が
るのも面倒でずるずると床を這う。

腰の痛みに昨夜は少しやり過ぎたかもしれな
いと苦笑するも、受け身の彼はもっと辛いで
しょうね、と内心で呟き、次いで口元に笑み
を浮かべてしまう。

 僅かに障子を半寸ほど開けて、こっそりと
外の様子を窺った。
群青の下方が水色みがかった空の地平線沿い
は、朝陽で仄かに白みがかっている。

夜明けを見据える彼は、凛とした爽やかな
雰囲気を放っており、まるで身体中から幸せ
だという気分を伝えるような成分がにじみ出
ているようで。その後ろ姿に、思わずぼぅっ
と魅とれてしまう。

「……起きたか。珍しい、貴様がこの時間に
 目覚めるとはな」

つい、と顔が横を向いて、此方に視線が向け
られる。見下ろす彼は優美で、機嫌が良いの
か常に感じる冷たさではなく幾分優しげな目
に見えた。

「おはようございます…」

微笑みながら自分なりに爽やかな挨拶をすれ
ば、何故か彼は眉間に皺を寄せて、視線を
正面に戻してしまった。

「ねぇ、元就公…」
「…何だ」

視線も向けずにただ冷ややかな返答だけが
返ってくる反応は、元就公らしい反応。

「…腰、大丈夫ですか…?」


暫し返答が無く、よもや己よりも若いのに
聴こえていなかっただろうかと首を傾げたの
だが、ふと見えた耳が赤いのに気付く。

彼の苦手分野に類する事柄を言葉の選択に選
ぶとこういった可愛らしい反応が見られる。
きっと目元を僅かにふせて、視線を右往左往
させているに違いない。安易に想像出来てし
まう程に、知将と呼ばれる彼は色恋に疎い。

「おやおや…そうですか」

返事も聴かずに笑顔を見せれば、むっと不機
嫌な顔が振り向く。

「…我はまだ何も答えておらぬ」
「ククク…お大事に…ね…」
「だ、だから我はまだ何もっ…」

 彼の顔は少し困ったような表情で、このま
ま会話を続けていれば怒った彼にその足で蹴
り飛ばされそうな予感がし、のそのそと身を
後進して障子を閉めた。そのまま布団に入り
直して、目を瞑る。

あの氷の面を崩すのは毎度楽しい。
無理難題の我が儘を言って困らせたり、単純
な悪戯で怒らせたり…快楽に染めてみたりと
様々な変わり様に、全てが愛しく、いつまで
経っても飽きがこない。

否、飽きてしまえばそれが二人の終わりで、
別れる云々越えて彼を殺してしまうのだろう
が、それは彼とて同じことだと考えている。
遊戯に飽きるか、自分の害になると判断すれ
ば、簡単に。 

彼はそういう人間で、その時がくれば自分は
それを座興と楽しむと、互いにそれは理解し
ている。

 ふと、するりと静かに障子の開く音。室内
が僅かに明るくなる。まるで彼が光を放って
いるような錯覚に囚われた。

「光秀」

無言の狸寝入りを決めこめば、忍耐の限界か
はたまたそれも策なのかただの諦めか、もぞ
もぞと布団の中に入る気配。
次いで、背中に当たる温かな体温に、口の端
をつり上げてしまう。

「…やはり貴方は、お可愛らしい」

『起きているのなら言え…』と、大した動揺
もなしに彼は呟いた。起きていたのは承知し
ていただろうに悪態をつくのは、やはり彼な
りの意地というものだろう。

 身を捩り、彼の方に体を反転すれば、驚き
に目を見開いた顔と目が合う。

視線が一瞬逸らされた隙に、体を抱き竦めて
しまえば、僅かに身動ぎするも大人しく身を
収める。

髪に顔を埋めれば、太陽のような日だまりの
良い香りに頬を緩める。日の光を浴びるのは
好まないが、この香りはとても好きで、髪が
乱れると怒られてもやめられない。

「…いい加減離れよ、愚獣が」

「愚獣とは酷い扱いだ…」

彼の悪態は度を極めているが、取り分け、
自分に向けられるそれは一種の愛情表現だと
解釈している為、苦には思わない。

「ふん…織田に牙を向く愚かな獣、それを
 愚獣と言って何が悪い」

言われてみれば確かにそうで、何の反論も
出来ない。

「ククク…」
「貴様、何が可笑しい」
「いえね…愚獣ならこうしても問題は無いか
 と思いまして…ね」

さわりと腰から背中までに指を這わせれば、
彼は眉間に皺を寄せると共に身を震わせた。

幾度身を重ねたか分からない程に知り尽くし
た仲では、それがどう意味するのか既に理解
済みであり、複雑な表情を彼は浮かべて。

「…朝から盛るでない、全く…誰が貴様の
 性欲を処理すると思うておるのだ、阿呆」

言葉と反し、珍しく彼から深く口付けくるの
は、やはり朝故に機嫌が良いからなのだろう
と判断した。



【起遊床戯】終わり。
―――――――――――――――
2010/6/6
別にそういう四文字熟語が在る訳では無い。
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堕天使エレナ
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女性
職業:
学生
趣味:
絵描き 執筆 読書 ゲーム 寝る 妄想 便せん作り
自己紹介:
うえのイラスト画像はいただきもの。
オンラインでは執筆を
オフラインではイラスト中心に活動中デス
ギャルゲー、音ゲー、RPG系、シュミレーションゲームが好き
格ゲーやアクションは苦手

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