ビスケット通信
小説(とたまに絵)を書いてるブログです。 現在更新ジャンルは本館で公開した物の再UP中心。 戦国BASARAやお題など。
交わしたキスは甘かった(山綱/切甘/零識ちゃんへ)
- 2009/11/26 (Thu)
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ジャンプを買ってふとレジの横に目がつく。
「つーなっ!」
「わっ!…や、山本?」
美味しそう…そう思った時に肩をポンポンと
叩かれて、横を向けば気づかないうちに山本
が立っていて、びっくりした。
むこうもびっくりしたみたいで、多分山本に
悪気はなかったんだろうけど、それでも一応
「びっくりさせてゴメンな?」って謝るとこ
は山本らしいっていうか何つーか…
「そういや、さっきからずっとそれ眺めてた
みたいだけどよ、肉まん食いたいのか?」
コンビニの、保温機(っていうのかなこれ)の
中に入っている、熱々そうな肉まん達を眺め
ていたら、山本が話しかけてきたってわけ。
「あーうん、そうなんだけど…今、ジャンプ
買うお金しか持ってこなかったから…」
美味しそうって言葉に出してた訳じゃ、ない
けど顔に出てたのかな…俺って思ってる事顔
に出やすいらしいし…
「おごってやる」
ニコッと相変わらず爽やかな笑顔を浮かべて
言うもんだから、危うく頷きかけたんだけど
やっぱりおごってもらうのには気が引ける。
夏にもアイスおごってもらってるし…
だから、断ったんだけど山本は「いーから
いーから!」って笑いながら、どれにする?
とか訊かれちゃって、なんかもう、断れない
流れだし、山本意外なとこで頑固だしなぁー
とか色々俺なりに考えて(あ…確かアイスの
時も同じだった気が…まぁ、いっか…うん)
おずおずと、カレーまんを指差す。
「分かった。んー…俺はあんまんにする」
中華まんにとか普通のにするかと思っていた
から、ちょっと意外だなー…とか、ボーッと
考えていたら、いつの間にか肉まんの入った
袋をつき出されてて、お礼を言いながら
受け取った。
自動ドアをくぐりながら袋を開けて、湯気が
たって、いい薫りがする肉まんに思わず顔を
綻ばせる。
「今年は雪いつ降るんだろうな」
去年はクリスマス近くに雪が降った気がする
から、今年もクリスマス近くなんじゃないん
のかな。
そう伝えれば、じゃあクリスマスに雪が降る
といいなって、楽しそうな答えが返ってきて
山本らしいなーと笑い返す。
「もしクリスマスに雪が降ったら、ある人に
伝えたい言葉があるんだ」
「伝えたい、言葉?」
山本が、徐々に闇に染まる空の、更に遠くを
見つめるような目で空を見上げて言った。
つられて空を見上げてみる。
「その人に、好きだーって言いたくってな」
あー…山本にも好きな人いるんだ…
誰なんだろう…
やっぱり綺麗な人なんだろうな…
そう意識したら、なんか胸がちくっとして、
微妙な違和感。よく分かんないけど、なんか
ここにいたくないって思う気がする。
居たたまれない気持ち、っていうのかな…
「その人って、どんな人?」
「天然で、可愛いやつ!」
きっと山本に告白された子は、受け入れる。
雪、降らないで欲しいと願ってしまったのは
何故なのか、わかんないけど…
胸が苦しくて、頭が痛くなってくる。
「雪降るといいねっ…降ると、いい…ね…」
「…え、あ…つ、ツナ?」
それでもそう言うしかなくって、涙が溢れて
きて、その場から逃げたくなって、でもその
場を動けなくて。
ただ泣きじゃくっていたら、ぎゅっと強く
抱き締められて。あたたかさに、なんだか
更に涙が溢れてきた。
「あのな、好きなやつってのは―――」
言われた名前に、思わず鼓動が速くなった。
だって、そんなの信じらんない。
「ツナ、好きだ」
胸の痛さが取れて、無くなって、まるで氷が
溶けてしまったような感じで。
ああ、俺嫉妬してたんだなーって実感。
それから、俺は山本がいつからか好きに
なってたんだなーって。
もちろん、断れないのだけれど。
まあ断る気もないし。
「俺も、山本が好きかも」
「ん…そっか。ありがとツナ」
【交わしたキスは甘かった】
おわり
―――――――――
ディーノ式恋愛相談室(零識ちゃんへ捧げマス)
- 2009/11/25 (Wed)
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【ディーノ式恋愛相談室】
最近ツナの様子が可笑しい
あぁ、ツナっていうのは、男なのに情けない
運動出来ない勉強も出来ないダメダメな奴だ
(すまんツナ…だが本当の事なんだ…)
そのダメなツナが、将来マフィア界トップに
立つ男だって知った時には男もびっくりした
ぜ…
で、最初のうちは兄貴分として俺がしっかり
しなくちゃなーって世話焼いてたんだが…い
つの間にか魅力されてた
(ツナの魅力って奴?)
転んだ後の顔なんて可愛いのなんの!
そりゃもうそこら辺の女なんて屁でもない程
可愛いんだわこれが~
え?男なのに可愛いとか可笑しいって?
まぁ…ツナはカッコいいより可愛い部類に
入るから仕方ないんだよ
と、まあツナの話は措いといて…
最近ツナの様子が可笑しい
これは冒頭にもあったが、最近ツナは俺に
甘えなくなった
それは兄貴分としても俺としても寂しく訳!
それから、よく恭弥と話すようになった
あ、恭弥ってのは俺の弟子
戦闘マニアで、並盛中大好きっ子で、無愛想
な奴
いっちゃ悪いが、あいつはツンデレだ
俺の長年のボスの勘とか無しにツンデレだと
言える
だってよ?
稽古つけてやった時(あー…リング争奪戦ん
時だ)に、顔に傷つけちゃってさー
気にしてないとかどうでも良いって言ったん
だ。んで俺が、綺麗な顔に傷つけちゃって
ごめんな?って言ったら、頬を染めたんだ
ぜ?可愛いよなぁ
(言葉に棘があるがな…)
あ、気づいたら二人の可愛さについて語って
たな…
まあ…要するに二人の関係が親密になったっ
て事だ
兄貴分として、師としては自分の弟子が仲良
くすんのは嬉しいが…
俺自身としてはちょっと複雑な気分なんだよ
なぁ…
いっそのことどちらかに手を出して、恋仲に
なる前にいただくってのも考えたんだが…二
人のどちらかを傷つけることになっちまう。
だからそれは出来なかった
あぁ…とうとうきた…
何がって?
恋愛相談だよ
しかも二人共俺に相談しに来やがった
「実は…最近、雲雀さんと会うとどきどきし
ちゃって…ディーノさん、俺男なのに可笑
しいですよね…」
最初はツナだったな…
もちろん、俺は可笑しくなんか無い、気持ち
が大事だって話してやった
終始ツナは照れてたな…
そこもまた可愛かったわけだ!
「ねぇ、最近沢田が気になるだけど。
なんかいつも探しちゃうし。
傍に居ると鼓動が速くなるし。
いつも頭から離れないんだけど。
これなんかの病気?」
翌日恭弥が来た時は本気で驚いたぜ…(草壁
なんか苦笑してたな)
俺は親身になってそれが恋だ愛だのと説明し
たわけだ
終始雲雀は不機嫌そうに眉間に皺寄せてたな
なのに頬を赤らめてたのが可愛かった!
で、それから一週間もたたない内に、今度は
お付き合い宣言をしにきた
二人仲良く手を繋いでな
俺は笑顔で祝福の言葉を送ったが、まぁ…
内心嫉妬の気持ちが渦巻いてた
(大人げないな…俺)
最近でも二人はよく俺のとこに相談に来る
(俺は相談室開いたつもりは無い)
もちろん内容は恋愛相談が殆んど
(ごくたまに勉強とか他の相談もあるがな)
「ヤバいよ雲雀さん怒らしちゃったんだよ
ディーノさんどうしよ~っ」
内容をよく聞いてみれば、教室で獄寺と山本
の三人で話してたら恭弥が来て喧嘩になった
らしい
で、恐らく自分と二人どっちが大事とか聞い
てきたらしい。そんでツナが黙りこくってた
ら雲雀が怒って帰ってしまったという事で、
つまり嫉妬だな
とりあえず恭弥に大好きだとでも言って抱き
つけとか色々アドバイスしてやった
(兄貴分の立場は辛い!)
俺って意外とお人好しだったのか…?
また別の時には恭弥が
「ねぇ、最近綱吉を見てるとなんかよく分か
んない気持ちになってくるんだよ。
体が熱くなるし、意味分かんない」
…こいつ今まで人を好きになったりしたこと
が無いらしい
性欲も初めて知ったとか
まあ…アレだ…そういう事だ
色々相談してやったら珍しく妖しい笑みを浮
かべて帰って行った
…もちろんその後ツナから相談を受けたのは
言うまでもないけどな(苦笑)
お人好しにも程があるって部下に笑われた…
まぁ…案外そうかもしれない
二人を大事にしたい気持ちと、二人を愛する
思いに、俺は日々悩まされてるって訳だ…
はぁ…
あとがき
えっと、なんだろう。ヒバツナ←ディノだと
思う
なんか、切甘じゃなくて甘?
難しいよなんか…
ディーノさんが!誰だよこいつ状態になって
るし(汗)
zero君こと零識ちゃん!
こんな小説でよければyouに捧げ(押し付け)るよ
…うん、なんか、色々御免ッ!←
いつかの夢(ムクヒバ)
- 2009/10/09 (Fri)
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(星苺様BASREで444キリ番時にリクエストされたムクヒバ。星苺様のみお持ち帰り自由です)
無音。
辺りは闇が広がり、手を伸ばしても何も掴めない。
自分を見れば、何故か闇の中なのに良く見え、いつも通り学ラン姿。
探るように暫く歩く。
ここに来る前は確か並盛中の、と考えたところで世界が急に明るくなった。見回すといつの間にか並盛中の校庭に雲雀は居る。
流れから推測し、ああ…夢か、と確信し、改めて辺りを並盛中校舎を見上げた。
騒がしい生徒の声も聞こえず、鳥のさえずりさえ無く、ただ聞こえるのは風の音のみ。空を見上げれば青い空に、白い浮き雲が流れている。
ひらりと何かが目の前を舞い過ぎていったのに気付き、その方向に目をやれば、桜の木。夢の中にくらい出てこないでほしいと思い桜の木を睨んだ。
「桜が綺麗ですね」
聞こえた声に反応して、その声のした方向、左横に視線を向ける。
そこには意識もしていないのに六道骸がいたのだが、彼は夢渡りとやらが出来るのだと思い出し、不思議には思わない事にした。
「桜なんてどうでもいいじゃない」
そう雲雀が呟いた瞬間、桜の木から花が無くなり、深緑の若葉が現れる。初めからこうすれば良かったのかと軽く息を吐けば、もったいない…と名残惜しそうに骸は呟いた。
それにも構わずその場を後にしようとしたのだが、雲雀恭弥、と名前を呼ばれ、渋々何の用かと振り返った。
「…何」
「ご一緒していいですか?」
くだらない質問だと溜息をつき、雲雀は校舎へと足を向けた。
別段返事は無用と考えたのだが一応「勝手にすれば」とだけ素っ気なく答えれば、早々に歩を進め始める。
ほんの数秒の間。
背後で砂利の音がし「じゃあ勝手にご一緒します」などと全く予想通りの返答と、嬉しそうな声が聴こえた事に少し後悔しつつ、足早に校舎へと向かった。
「夢っていいですね…何をしても疲れませんから」
いつの間にか隣に居た骸の発言を無視して雲雀はさらに歩く速さを上げるも、そのスピードに余裕の表情で追い付き隣に並ぶ。相変わらず語り続けるも、雲雀は頑として無言で歩き続けた。
通行口から入って、少し歩き階段を上がり雲雀が向かうは屋上。
彼は何かとあれば屋上に行く癖があると、並森中に在籍している者ならば誰でも知っている事だ。
厚く分厚いドアを押し開けて外に出る。そこはいつも通りの殺風景な世界が広がっていた。そのまま静かにフェンス越しにまで歩いて行けば、この夢の世界を見下出来る。
並盛町内が一望でき、雲雀にとって夢であろうとなかろうとこの場所は落ち着くお気に入りの場所だ。
「…貴方の夢はつまらない」
人の夢に勝手に来て勝手についてきたくせにこいつは何を言ってるんだと不機嫌そうに視線で物言えば、悪びれているのかのように、すみませんといった具合に肩を竦め両手を上げてみせた。だが彼は本当に悪いとは思っているはずもないと容易く予想出来るが、ならば彼は何のために――などとそんな事を考えるのも馬鹿らしいと思い、考えるのを止める。
「普通の方ならもっと不思議な、変わった空間なのですが、貴方の世界は現実とあまり変わらない」
ふぅん…とあまり興味の無さそうな声を出す。
何が可笑しいのか急に骸はふっと吹き出し、クハハハッと独特に笑いだした。
雲雀は何が可笑しいと訊ねると、骸は少しの間を空けてから答え。
「夢の中でくらい夢を見ましょうよ」
「空を飛ぶとか」
「…馬鹿みたい」
「では…」
こんなのはいかがですか?と骸が手を振り上げ、パチンと指を鳴らす。
それと共に、一瞬にして世界が靄のかかったような蓮花に包まれた世界に変わった。
何故他人の夢を世界を変えられるのかという疑問は仕組みを聞いても解らないだろうと決め付け、別に指を鳴らさなくても良いじゃないかという疑問は投げかけてみる。
すると彼は演出だと答えた。確かに、マジックショーなどでは合図として指を鳴らすなどの演出はあるが、自分相手に演出などしても意味が無いのでは無いだろうかとまた新たな疑念が浮かぶ。
だったら何故だろうかと考えるも検討はつかず、質問しようと横を向くも見当たらなくてもしやと思い地面に視線を落とす。骸は地面に屈みこんで、艶やかな指使いで蓮の花を撫でていた。
「綺麗ですね…美しい…」
愛しい我が子を見るかのような――と言えば少し違うような気もするが、彼はいとおしそうな表情で花を愛でている。
彼に美しいものを愛でる趣味があろうとなかろうと雲雀にはどうでも良く、それでいて花になど興味はない為、つまらなさそうにその様子を眺めていれば雲雀の様子に何を思ったか、クスッと笑みを溢し。
「貴方も美しいですけどね…」
そう雲雀に向かって言えばにこりと微笑み、また花に視線を戻した。
何をいきなり妙なことを。骸の脈略が判らず、暫し首を捻って考えるもただの気紛れかと強引に結論付け、足元に群がる蓮の花をくしゃっと遠慮無く踏み潰す。
潰れた花びらが風に舞い、静かに飛んでいった。残酷だとも思わずに、ただそれを見つめる。
雲雀の行動に彼は気づかなかったのかはたまた気にしていないだけなのか、相も変わらずうっとりと目を細めていたのだが。
「あ、そうだ…貴方の頭に付けたら可愛いでしょうね」
ぷちっと花を千切るような音が鳴り、ちょんと耳元に花が挿されたような感覚に雲雀は即座に眉間に皺を作ってその花を付けた人物を怒りの形相で睨む。
淡い色合いの蓮華が黒髪の雲雀を美しく彩っていて、笑顔であれば美人に見えるだろうにと骸は苦笑した。
「怒ったらせっかくの花が可哀想ですよ…まあ…貴方の笑顔なんて想像出来ませんがね」
ぴん、と指先で皺の寄った眉間を弾き悲しげに骸は言う。
一瞬呆気に取られたかのように目を見開いたが、呆れた溜息を吐き、雲雀は相手にしても無駄かと諦め耳に付けられた花を外し無造作に投げた。クルクルと円を描きながら宙に舞い、やがて花は音もなく地面に落ちる。
「せっかく可愛らしかったのに…」
残念そうに眉をハの字に下げて呟やけば、は?と雲雀が不機嫌とも不思議そうにもとれる声を出して不愉快そうに言葉を続けた。
「君の目は節穴?僕が可愛いとか意味不明なんだけど。あり得ない」
敵視をするような眼光を瞳に宿しつつ相手を睨みながら言えば、言われた本人は怯むこともなくただ、おや…と驚いた声を出しせばクスッと笑みを浮かべ、その手がゆっくり頬へと触れられた。
別に触れようとした時点で避けるなり叩き退けることも出来ただろうに、自分は何故そうしなかったのだろうかと雲雀は自問自答する。
気を許しているという選択肢だけは無い。
ならば何故?
雰囲気に流された?
有り得ない。
寧ろ雰囲気とは何のだ―――これ以上考えては何か危険な結論に行着いてしまうような気がし、考えるのを止めた。
とにもかくにも、今の現状はあまり気分の良いものでは無い。
「なっ…」
何をするんだ、と言葉をかけようと口を開く前に人差し指が唇に軽く宛てられる。
喋ろうと思えば無理矢理にでも口は開けられたのだが、彼の意図も分からずに喋っても意味は無いだろうと喋るのを止まった。
そんな雲雀の様子に満足したのか、骸は柔らかな笑みを浮かべる。
「可愛いものは可愛いんですから、しょうがないじゃないですか。……それに…本当に可愛くない人を可愛いなどとは、いくら僕でも言いませんよ」
口説かれているような雰囲気に思わず雲雀は目を軽く伏せ、羞恥に頬を僅かに桜色に染める。
慌ててふいっと顔をそむけて「そう」とだけ、ぶっきらぼうに言葉を返した。
何故自分がこんな男に翻弄されなければいけないのか。
否、翻弄されている自分が惨めだ。
「おやおや…クフフ、照れていらっしゃるのですか?貴方という人が…」
「うるさいよっ…」
愉快そうに、クフクフと笑う骸にどこからか槍が飛んできた。
もちろんそれは雲雀がイメージして思い描いたもので、どこか骸の持っている三叉槍に似ているのは恐らく槍などというものの参考にするものがあの槍くらいしかなかったからだと、雲雀は自分に言い聞かせる。
速さを増し向かってくる槍を骸は軽やかにあっさりと避けた。
とはいえ、夢の中だから怪我はしないのだが。
逃したかと残念そうに舌打ちすれば、骸は苦笑を浮かべ。
「危ないですよ」
「君が変な事言うからでしょ」
もうもう話は無いとばかりに後ろを向くも、向いた後ろに骸が居り雲雀をからかう。
「変な事、とは…?」
「っ…」
攻撃しても意味は無いと分かりつつ拳を振りかぶるも、やはりさも予測していたかのようにひらりと後ろへと飛んで、雲雀の攻撃を避けた。
「もう消えてよ君っ…」
「クッハハ…そうですね、そろそろ僕の体が覚醒するようですし、帰ります」
骸の意外な返答と、世界が並盛中に変わった事に驚き、思わず振り返った。
そこには既に骸の姿は無く、呆気にとられていた雲雀の一輪の紫色の蓮の花が落ちていて。
紫色なんてあっただろうかと考えたが、別にあってもなくてもここは夢の中なのだから意味は無いと溜息を吐く。
その花を静かに拾い上げ手に取れば、雲雀は口元に笑みを浮かべた。
「…もう僕の夢に来ないでよね」
そう言った声は言葉とは裏腹に、どこか優しい声。
自分はこんな声出せるんだと意外に思いつつ、夢が醒めるまで花を見つめるのも悪くないかなと口の端を吊り上げて笑った。
終わり
―――――――――
何が言いたいんだ自分…とよく思います…(笑)
ご希望に合ってたか分かりませんが…(苦笑)
星苺様、リクエストありがとうございました!
無音。
辺りは闇が広がり、手を伸ばしても何も掴めない。
自分を見れば、何故か闇の中なのに良く見え、いつも通り学ラン姿。
探るように暫く歩く。
ここに来る前は確か並盛中の、と考えたところで世界が急に明るくなった。見回すといつの間にか並盛中の校庭に雲雀は居る。
流れから推測し、ああ…夢か、と確信し、改めて辺りを並盛中校舎を見上げた。
騒がしい生徒の声も聞こえず、鳥のさえずりさえ無く、ただ聞こえるのは風の音のみ。空を見上げれば青い空に、白い浮き雲が流れている。
ひらりと何かが目の前を舞い過ぎていったのに気付き、その方向に目をやれば、桜の木。夢の中にくらい出てこないでほしいと思い桜の木を睨んだ。
「桜が綺麗ですね」
聞こえた声に反応して、その声のした方向、左横に視線を向ける。
そこには意識もしていないのに六道骸がいたのだが、彼は夢渡りとやらが出来るのだと思い出し、不思議には思わない事にした。
「桜なんてどうでもいいじゃない」
そう雲雀が呟いた瞬間、桜の木から花が無くなり、深緑の若葉が現れる。初めからこうすれば良かったのかと軽く息を吐けば、もったいない…と名残惜しそうに骸は呟いた。
それにも構わずその場を後にしようとしたのだが、雲雀恭弥、と名前を呼ばれ、渋々何の用かと振り返った。
「…何」
「ご一緒していいですか?」
くだらない質問だと溜息をつき、雲雀は校舎へと足を向けた。
別段返事は無用と考えたのだが一応「勝手にすれば」とだけ素っ気なく答えれば、早々に歩を進め始める。
ほんの数秒の間。
背後で砂利の音がし「じゃあ勝手にご一緒します」などと全く予想通りの返答と、嬉しそうな声が聴こえた事に少し後悔しつつ、足早に校舎へと向かった。
「夢っていいですね…何をしても疲れませんから」
いつの間にか隣に居た骸の発言を無視して雲雀はさらに歩く速さを上げるも、そのスピードに余裕の表情で追い付き隣に並ぶ。相変わらず語り続けるも、雲雀は頑として無言で歩き続けた。
通行口から入って、少し歩き階段を上がり雲雀が向かうは屋上。
彼は何かとあれば屋上に行く癖があると、並森中に在籍している者ならば誰でも知っている事だ。
厚く分厚いドアを押し開けて外に出る。そこはいつも通りの殺風景な世界が広がっていた。そのまま静かにフェンス越しにまで歩いて行けば、この夢の世界を見下出来る。
並盛町内が一望でき、雲雀にとって夢であろうとなかろうとこの場所は落ち着くお気に入りの場所だ。
「…貴方の夢はつまらない」
人の夢に勝手に来て勝手についてきたくせにこいつは何を言ってるんだと不機嫌そうに視線で物言えば、悪びれているのかのように、すみませんといった具合に肩を竦め両手を上げてみせた。だが彼は本当に悪いとは思っているはずもないと容易く予想出来るが、ならば彼は何のために――などとそんな事を考えるのも馬鹿らしいと思い、考えるのを止める。
「普通の方ならもっと不思議な、変わった空間なのですが、貴方の世界は現実とあまり変わらない」
ふぅん…とあまり興味の無さそうな声を出す。
何が可笑しいのか急に骸はふっと吹き出し、クハハハッと独特に笑いだした。
雲雀は何が可笑しいと訊ねると、骸は少しの間を空けてから答え。
「夢の中でくらい夢を見ましょうよ」
「空を飛ぶとか」
「…馬鹿みたい」
「では…」
こんなのはいかがですか?と骸が手を振り上げ、パチンと指を鳴らす。
それと共に、一瞬にして世界が靄のかかったような蓮花に包まれた世界に変わった。
何故他人の夢を世界を変えられるのかという疑問は仕組みを聞いても解らないだろうと決め付け、別に指を鳴らさなくても良いじゃないかという疑問は投げかけてみる。
すると彼は演出だと答えた。確かに、マジックショーなどでは合図として指を鳴らすなどの演出はあるが、自分相手に演出などしても意味が無いのでは無いだろうかとまた新たな疑念が浮かぶ。
だったら何故だろうかと考えるも検討はつかず、質問しようと横を向くも見当たらなくてもしやと思い地面に視線を落とす。骸は地面に屈みこんで、艶やかな指使いで蓮の花を撫でていた。
「綺麗ですね…美しい…」
愛しい我が子を見るかのような――と言えば少し違うような気もするが、彼はいとおしそうな表情で花を愛でている。
彼に美しいものを愛でる趣味があろうとなかろうと雲雀にはどうでも良く、それでいて花になど興味はない為、つまらなさそうにその様子を眺めていれば雲雀の様子に何を思ったか、クスッと笑みを溢し。
「貴方も美しいですけどね…」
そう雲雀に向かって言えばにこりと微笑み、また花に視線を戻した。
何をいきなり妙なことを。骸の脈略が判らず、暫し首を捻って考えるもただの気紛れかと強引に結論付け、足元に群がる蓮の花をくしゃっと遠慮無く踏み潰す。
潰れた花びらが風に舞い、静かに飛んでいった。残酷だとも思わずに、ただそれを見つめる。
雲雀の行動に彼は気づかなかったのかはたまた気にしていないだけなのか、相も変わらずうっとりと目を細めていたのだが。
「あ、そうだ…貴方の頭に付けたら可愛いでしょうね」
ぷちっと花を千切るような音が鳴り、ちょんと耳元に花が挿されたような感覚に雲雀は即座に眉間に皺を作ってその花を付けた人物を怒りの形相で睨む。
淡い色合いの蓮華が黒髪の雲雀を美しく彩っていて、笑顔であれば美人に見えるだろうにと骸は苦笑した。
「怒ったらせっかくの花が可哀想ですよ…まあ…貴方の笑顔なんて想像出来ませんがね」
ぴん、と指先で皺の寄った眉間を弾き悲しげに骸は言う。
一瞬呆気に取られたかのように目を見開いたが、呆れた溜息を吐き、雲雀は相手にしても無駄かと諦め耳に付けられた花を外し無造作に投げた。クルクルと円を描きながら宙に舞い、やがて花は音もなく地面に落ちる。
「せっかく可愛らしかったのに…」
残念そうに眉をハの字に下げて呟やけば、は?と雲雀が不機嫌とも不思議そうにもとれる声を出して不愉快そうに言葉を続けた。
「君の目は節穴?僕が可愛いとか意味不明なんだけど。あり得ない」
敵視をするような眼光を瞳に宿しつつ相手を睨みながら言えば、言われた本人は怯むこともなくただ、おや…と驚いた声を出しせばクスッと笑みを浮かべ、その手がゆっくり頬へと触れられた。
別に触れようとした時点で避けるなり叩き退けることも出来ただろうに、自分は何故そうしなかったのだろうかと雲雀は自問自答する。
気を許しているという選択肢だけは無い。
ならば何故?
雰囲気に流された?
有り得ない。
寧ろ雰囲気とは何のだ―――これ以上考えては何か危険な結論に行着いてしまうような気がし、考えるのを止めた。
とにもかくにも、今の現状はあまり気分の良いものでは無い。
「なっ…」
何をするんだ、と言葉をかけようと口を開く前に人差し指が唇に軽く宛てられる。
喋ろうと思えば無理矢理にでも口は開けられたのだが、彼の意図も分からずに喋っても意味は無いだろうと喋るのを止まった。
そんな雲雀の様子に満足したのか、骸は柔らかな笑みを浮かべる。
「可愛いものは可愛いんですから、しょうがないじゃないですか。……それに…本当に可愛くない人を可愛いなどとは、いくら僕でも言いませんよ」
口説かれているような雰囲気に思わず雲雀は目を軽く伏せ、羞恥に頬を僅かに桜色に染める。
慌ててふいっと顔をそむけて「そう」とだけ、ぶっきらぼうに言葉を返した。
何故自分がこんな男に翻弄されなければいけないのか。
否、翻弄されている自分が惨めだ。
「おやおや…クフフ、照れていらっしゃるのですか?貴方という人が…」
「うるさいよっ…」
愉快そうに、クフクフと笑う骸にどこからか槍が飛んできた。
もちろんそれは雲雀がイメージして思い描いたもので、どこか骸の持っている三叉槍に似ているのは恐らく槍などというものの参考にするものがあの槍くらいしかなかったからだと、雲雀は自分に言い聞かせる。
速さを増し向かってくる槍を骸は軽やかにあっさりと避けた。
とはいえ、夢の中だから怪我はしないのだが。
逃したかと残念そうに舌打ちすれば、骸は苦笑を浮かべ。
「危ないですよ」
「君が変な事言うからでしょ」
もうもう話は無いとばかりに後ろを向くも、向いた後ろに骸が居り雲雀をからかう。
「変な事、とは…?」
「っ…」
攻撃しても意味は無いと分かりつつ拳を振りかぶるも、やはりさも予測していたかのようにひらりと後ろへと飛んで、雲雀の攻撃を避けた。
「もう消えてよ君っ…」
「クッハハ…そうですね、そろそろ僕の体が覚醒するようですし、帰ります」
骸の意外な返答と、世界が並盛中に変わった事に驚き、思わず振り返った。
そこには既に骸の姿は無く、呆気にとられていた雲雀の一輪の紫色の蓮の花が落ちていて。
紫色なんてあっただろうかと考えたが、別にあってもなくてもここは夢の中なのだから意味は無いと溜息を吐く。
その花を静かに拾い上げ手に取れば、雲雀は口元に笑みを浮かべた。
「…もう僕の夢に来ないでよね」
そう言った声は言葉とは裏腹に、どこか優しい声。
自分はこんな声出せるんだと意外に思いつつ、夢が醒めるまで花を見つめるのも悪くないかなと口の端を吊り上げて笑った。
終わり
―――――――――
何が言いたいんだ自分…とよく思います…(笑)
ご希望に合ってたか分かりませんが…(苦笑)
星苺様、リクエストありがとうございました!
侵食(光就)
- 2009/09/10 (Thu)
- 戦国バサラ |
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※元就語り。明智出てこないです。あと元就が明智に依存しちゃってます。
【侵食】
ああ…眠れぬ…
なかなかな寝付けずに寝返りを繰り返す。
寝床に入ってから既に一刻半は経っているのに、全く眠気が起きない。
仕方なく起き上がり、縁側へと出る。
今宵は満月か…
見上げ、夜空に佇む満月を見つける。
月といえば独眼竜を思い出す…などと思ったが、そんなことはどうでも良いと切り捨て、暫し満月に魅力されたかのように見つめ続けた。
暫くはそうしていたためか、思わず寒さでぶるりと身を震わせる。
夏とはいえど、やはり夜間は冷え込む。
仕方なく何か羽織る物をと思い、渋々自室へと向かう。
歩く床が冷たいと不快に感じ、眉間に皺を寄せた。
不意に何故か、明智の指の冷たさを思いだしてしまい――かといって、氷のように冷たい訳ではないのだが――その場に立ち止まる。
鬱陶しい程にこやかに笑う顔が浮かびかけたが、なんとか振り切り思考断ち切った。
自室に入れば羽織れそうな物を見つけ、肩に掛ける。
縁側に戻ろうかと立ち上がった時
『毛利殿…』
「っ…?!」
流れ込むように聞こえた声に驚いて、びくっと肩を震わせた。
振り返ったりして辺りを見渡すも、
明智どころか誰もおらず(眠らずの番以外)もちろん明智の気配は微塵も無い。
暫くして…それが幻聴だと気付き、羞恥に頬を染めた。
「わ、我が幻聴など…っ…」
最近になっては不意に明智を思い出すようになっていたのは慣れてはいたが、
幻聴…つまり空耳は初めての事で、戸惑い、動揺を感じた。
「……明智…」
己に触れた指先、
さらりと目敏くまとわりつく髪、
地獄に誘うかのように囁く声、
腫れ物を扱うかのように抱き締める腕、
地に引きずり込まれるような瞳、
…とにかく、明智の何もかもが脳内に溢れ、躯が熱に震えた――否、奮えた。
己がこんなにも明智光秀という存在に、心や体の隅々までもが侵食されているという事に、
後悔というか、疑問というか、動揺というか…、なんともいえない複雑な気持ちになる。
「この我を貴様の色に染めた事、どんな重罪より重い罪ぞ…」
悪態を呟くも、本人に直接言ったら精神的ダメージを与えるどころか恐らく、
いや絶対に悦ぶのだろうと計算づき溜息が出た。
今夜は明智来るだろうか。
来たら来たで、
「また来たのか」とか「毎日毎夜飽きないのか」などと嫌みしか言えないのだが、
本当は密かに、明智が来るのを密かに、明智が来るのを毎夜嬉しく思い楽しみにしている。
来てくれて嬉しい、などと明智に言ったら負けなような気がして、絶対に言わないのだが。
それでも最近は少しだけ嬉しいと言えるようになってきたと思う。
そしていつの間にか情事に誘われるような雰囲気になるのも別段、嫌では無い。
寧ろ心の隅で常に期待をし、望んでいる。
だが、そんな事を言えるような口や性格ではなく、
いつも「やめろ」だとか「嫌だ」とか「盛るな」などと拒絶の言葉しか出ない。
故に、「では止めましょうか…」と言われ行為が中止になることもある。
嗚呼…違うのに
本当は無理矢理にでも犯されて、壊れるくらい好きにされたい、
己が愛されていると感じたいと願っているのに。
最初は和姦――だと感じたが明智はそうではなかったらいし――から始まった己と明智の関係だが、
今では愛され気遣われながら行為を進められていると感じる。
とはいえ、最近は少し乱雑に扱われてみたいと思う時がある。
別に被虐体質などとは断じて違うのだが。
…本心を、上手く表現出来ぬ。
もどかしいもどかしい、もどかしい。
もどかしくて、心の臓に針が刺さるような痛みに襲われる。
こんなにも上手く自分の本音を言いたい、伝えたいと思い始めたのは
明智と出会ってから生まれた気持ちの一つ。
明智が己を…狂わせる。
素直になれたらどんなに楽な事か…
家臣の慌てた足取りで走り来る足音が聞こえてきた。
「元就様、明智光秀が城に、」
「騒ぐでない」
胸が、高鳴る。
家臣に無駄な被害が出ないようにと、自室周辺の人払いを命じた。
駆け足で去って行く家臣を一警し、身を翻して寝床へと歩を進める。
無駄な被害を出さないように、というのは表向きな理由であり
本当の理由は何時そういった事…つまり色事があっても大丈夫なように、だ。
大毛利家当主に衆道趣味があるなどと世に知れ渡っては毛利家の恥。
とはいえ、己に衆道趣味が本当にあるという訳ではなく、他の者から見ればそういった趣味があると認識されるという意味だ。
足音をたてずに近付く僅かな気配に、目を細めて笑みを浮かべた。
今夜はどう我を楽しませてくれよう…?
End
あとがき
明智に侵食され、明智に依存してるという感じのお話…を書きたかったハズなのに…
ええ、なんかただのノロケですね(苦笑)
そして最後は途中放棄ではなくあえて途中でストップしてるのですよ。
いやはや…自分が光就にハマるとは思ってもいなかった…
多分茶の影響…かな?
【侵食】
ああ…眠れぬ…
なかなかな寝付けずに寝返りを繰り返す。
寝床に入ってから既に一刻半は経っているのに、全く眠気が起きない。
仕方なく起き上がり、縁側へと出る。
今宵は満月か…
見上げ、夜空に佇む満月を見つける。
月といえば独眼竜を思い出す…などと思ったが、そんなことはどうでも良いと切り捨て、暫し満月に魅力されたかのように見つめ続けた。
暫くはそうしていたためか、思わず寒さでぶるりと身を震わせる。
夏とはいえど、やはり夜間は冷え込む。
仕方なく何か羽織る物をと思い、渋々自室へと向かう。
歩く床が冷たいと不快に感じ、眉間に皺を寄せた。
不意に何故か、明智の指の冷たさを思いだしてしまい――かといって、氷のように冷たい訳ではないのだが――その場に立ち止まる。
鬱陶しい程にこやかに笑う顔が浮かびかけたが、なんとか振り切り思考断ち切った。
自室に入れば羽織れそうな物を見つけ、肩に掛ける。
縁側に戻ろうかと立ち上がった時
『毛利殿…』
「っ…?!」
流れ込むように聞こえた声に驚いて、びくっと肩を震わせた。
振り返ったりして辺りを見渡すも、
明智どころか誰もおらず(眠らずの番以外)もちろん明智の気配は微塵も無い。
暫くして…それが幻聴だと気付き、羞恥に頬を染めた。
「わ、我が幻聴など…っ…」
最近になっては不意に明智を思い出すようになっていたのは慣れてはいたが、
幻聴…つまり空耳は初めての事で、戸惑い、動揺を感じた。
「……明智…」
己に触れた指先、
さらりと目敏くまとわりつく髪、
地獄に誘うかのように囁く声、
腫れ物を扱うかのように抱き締める腕、
地に引きずり込まれるような瞳、
…とにかく、明智の何もかもが脳内に溢れ、躯が熱に震えた――否、奮えた。
己がこんなにも明智光秀という存在に、心や体の隅々までもが侵食されているという事に、
後悔というか、疑問というか、動揺というか…、なんともいえない複雑な気持ちになる。
「この我を貴様の色に染めた事、どんな重罪より重い罪ぞ…」
悪態を呟くも、本人に直接言ったら精神的ダメージを与えるどころか恐らく、
いや絶対に悦ぶのだろうと計算づき溜息が出た。
今夜は明智来るだろうか。
来たら来たで、
「また来たのか」とか「毎日毎夜飽きないのか」などと嫌みしか言えないのだが、
本当は密かに、明智が来るのを密かに、明智が来るのを毎夜嬉しく思い楽しみにしている。
来てくれて嬉しい、などと明智に言ったら負けなような気がして、絶対に言わないのだが。
それでも最近は少しだけ嬉しいと言えるようになってきたと思う。
そしていつの間にか情事に誘われるような雰囲気になるのも別段、嫌では無い。
寧ろ心の隅で常に期待をし、望んでいる。
だが、そんな事を言えるような口や性格ではなく、
いつも「やめろ」だとか「嫌だ」とか「盛るな」などと拒絶の言葉しか出ない。
故に、「では止めましょうか…」と言われ行為が中止になることもある。
嗚呼…違うのに
本当は無理矢理にでも犯されて、壊れるくらい好きにされたい、
己が愛されていると感じたいと願っているのに。
最初は和姦――だと感じたが明智はそうではなかったらいし――から始まった己と明智の関係だが、
今では愛され気遣われながら行為を進められていると感じる。
とはいえ、最近は少し乱雑に扱われてみたいと思う時がある。
別に被虐体質などとは断じて違うのだが。
…本心を、上手く表現出来ぬ。
もどかしいもどかしい、もどかしい。
もどかしくて、心の臓に針が刺さるような痛みに襲われる。
こんなにも上手く自分の本音を言いたい、伝えたいと思い始めたのは
明智と出会ってから生まれた気持ちの一つ。
明智が己を…狂わせる。
素直になれたらどんなに楽な事か…
家臣の慌てた足取りで走り来る足音が聞こえてきた。
「元就様、明智光秀が城に、」
「騒ぐでない」
胸が、高鳴る。
家臣に無駄な被害が出ないようにと、自室周辺の人払いを命じた。
駆け足で去って行く家臣を一警し、身を翻して寝床へと歩を進める。
無駄な被害を出さないように、というのは表向きな理由であり
本当の理由は何時そういった事…つまり色事があっても大丈夫なように、だ。
大毛利家当主に衆道趣味があるなどと世に知れ渡っては毛利家の恥。
とはいえ、己に衆道趣味が本当にあるという訳ではなく、他の者から見ればそういった趣味があると認識されるという意味だ。
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