桜吹雪（毛利と天海/戦国）

　ひらひらと、頭上から花びらが落ちてくる。空中を舞うそれは、季語は夏だが、春の花――桜。
　そんな、薄紅色をした世界に、元就は佇んでいた。
　片膝をつき、空いた右手で広げた包みから桜餅を口に運ぶ。
　元就がこの場所を訪れたのは、政務をしていた元就の元へ掃除回りの侍女が訪れ、いつものように退室しようとした元就をふと呼び止めれば、良い機会だから息抜きに…とこの桜が美しい場所を教えられてのこと。
　竹で作られた水筒の水を一口飲めば、ほっと一息を吐いた。
　穏やかな気候が、眠気を誘う。
　重くなる瞼に、思わずうつらうつらと微睡む。
　子守唄のような木々のざわめき。
　桜吹雪が、ひとつの足音を紛らした。
　訪れた者は、眠る元就の穏やかな表情に、にこりと微笑む。
「…誰だ」
「あ」
　ぱちりと目を見開いた元就は、訪れた者の姿を確と捉えていた。
「起こしてしまいましたか」
　微笑むそれは、白と黒。銀髪に、口元を覆い隠す黒い鉄仮面。白い袴に淡い紫の染色。肩を覆う甲冑は黒く、飾りに付けられた羽は鴉の物。
　穏やかに見える目の奥に、何か秘めたものを、元就は感じた。
　微かな殺気と警戒を見せる元就に、白と黒の男は心外そうに肩を竦めて見せる。
「そう警戒せずとも、私はただの僧ですよ」
「僧らしからぬ」
「はは…よく言われます」
　失笑を浮かべて、それから悠然と頭上を見上げた。
　そよぐ風が長い銀髪と、元就の茶髪をはためかせる。
「此処は、心地好いですね」
　風が止んで、男は元就にそう言った。
　本当は呟きにも聴こえたのだが、元就には何故か、自分に言われたような気がした。
「此所には、初めて来た」
　そして、普段なら必要の無い問いには答えないはずの元就が、自然な答えを返した。
　言葉を無意識に紡ぐなど、普段ならあり得ないこと、元就自身、はっと不思議に思う。
　けれど何故か、嫌ではなかった。
　そんな元就の動揺を、男は気付いているのかいないのか、定かではなく。ただひたすらに、足元の花びらを爪先で遊んでいた。
「宮島へ向かうのか？」
「はい？」
　男は、問われた質問に視線を元就に向ける。
「…安芸の宮島への参拝に来たのだろう？」
「ああ、そうですね、そうしましょうか」
「他にも何か用事があるのか？」
「鍋でも食べたいですねぇ」
「話を聞いておるか？」
「えぇ、聞いてます」
　いまいち噛み合わない会話に相手が本当に僧なのだろうかと怪訝に思う。
　そもそも元就の格好からして武家の人間だと分かる者に、飄々と話しかける僧など聞いたこともない。
　刺客か偵察か、あるいはただの軽薄な僧か。
　何であれ、注意することに損は無い。
「此処は、心地好いですね」
「先ほども聞いたが」
　と呆れた元就に、
「そうではなく」
　と返した男は、続けて
「貴方の居るこの場所が心地好いのですよ」
　と、芝居のようなことを言った。
「………？」
　意味のわからない言葉の真意を勘繰るものの、その言動は昔どこかで聞いたことがあるような気がする。それがいつだったか、思い出せずに首を傾げる。
「…貴様、何処かで会ったか？」
「隣に座っても構いませんか？」
「問うておるのは我だ、質問に答えよ」
　苛立たしくなるのは何故か、分からず。その分からなさに、不愉快さが増す。
「当であり、否であり。…あの、隣に」
「断る」
　しゅんと項垂れ、近くの木に寄りかかる。
　やはり、その顔には見覚えがあるような気がした。
　ひっかかるものを感じ、細かく、駆け巡る記憶から合致する人物を探していった。
　城下に降りた際、遠征に行った際、戦の際、出会った者、一人一人思い浮かべては、消していく。
　…と、記憶を掠める者を見つけた。
　以前、尾張への遠征途中山崎の地で出会った、水色桔梗を掲げる軍の総大将に、男は似ていた。
　あの時出会った男は、死神と呼ばれ、狂気が体全体から瘴気として滲み出ていた。
　刃を交えながら、男は嬉しそうな目で、元就のことを自分と同じだと例えた男に、苛立ちを感じた。
　主人である織田信長を噛み殺すとのことで、ゆくゆく安芸を危機に脅かすだろう織田信長を討つのならば、とその時は見逃した。
　その後は姿を見かけたことは無い。
　ただ―――中国にて毛利軍と、羽柴秀吉…後の豊臣秀吉率いる織田軍が刃を交え、その戦に兵の大半を向かわせていた為、人手の少なくなった本能寺に夜襲をかけた男は織田信長を討ち、豊臣により捕らえられ幽閉されたが、その後幽閉地から脱走し、幾つかの国を潰した後は、消息不明である―――と、元就は噂に聞いていた。
　今、元就の目の前に居る僧が当時の男と同一人物であるならば、あるいは、その男と血の通う者だとしたら、元就の感じた違和感の説明がつく。
「…貴様」
　呼ばれた、というより投げ付けられた声に「はい、なんでしょうか？」と暢気な声が返ってくる。
「名は、何と申す」
　答えが返ってくるのに、やや時間あって。
「天海と申します」
　天に海と書いて、天海。
　当時の男とは違う名前。
　名前を変えたか、あるいは本当に別人であるのか。どちらの可能性もある。
　だがよく考えれば、纏う雰囲気は違い、髪型も俄に違う。
「あの、私の顔に何かついてますか？」
「いや…昔会った者に似ていたからに、同じ者かと思ったのだ」
　疑いすぎた、と元就は己を咎めた。
「あの」
　何用かと首を向ければ、天海は元就の手元にある包みをちらちらと見ていた。
「それは、桜餅…ですか？美味しそうですね」
　三つ持ってきたうちの一つは先ほど元就が食し、残り二つとなっていた。
「…そうだが、貴様になどやらぬ」
　甘党の元就が大事な甘味を天海にあげるはずなど無かった。
「おやおや、残念ですねぇ」
　元就に見せた悲しそうな表情が、どこか嬉しそうに感じたのは気のせいか、否や。
「…さて、私はそろそろ暇いたします。きっと今頃、新しい主人が泣いているでしょうから」
「主人…？誰かに仕えておるのか」
　必要な言葉だけを広い問いかけるが、天海は「そのうち貴方も会えますよ」と意味深な答えを返すだけだった。
「それはどういう―――」
　突然、強い風に桜の木がざわめいた。
　桜吹雪に言葉と視界を遮られ、腕で目を覆う。
　漸く止んだ風に腕を退ければ、目の前にあったはずの天海の姿が無かった。
　残ったのは、静けさと、落とされた桜の花びらに混じる黒い羽が一枚。
　それから、
「…桜吹雪に紛れるとは、小癪な」
　一つだけになった、桜餅だけ。



2011.4.23.
【桜吹雪】

以下半年後ギャグ






「以前貴様が食うた桜餅の返礼を頂きにきた」
「ようこそ元就公…さ、こちらへ」
「うむ」
「あ！毛利さま天海さま！丁度鍋がいい感じになってますよ！」
「美味しそうですねぇ、さすが金吾さん」
「えへへっ♪」
「…おい光秀」
「天海ですよ」
「…この緑のものは…」
「それね、片倉さんとこから美味しい葱とオクラを頂いて、鍋…あ、あれ、毛利さま何故怒っ…ひぃぃぃっ！」
「金吾、覚悟せよ」
「嫌ですぅぅぅ助けて天海さまーっ」
「…金吾さん、大丈夫ですよ…きちんと私が弔ってあげますからご安心を」
「えええ天海さばぁぁーっ？！」

終われ。

恐惶謹言朧月、お疲れ様でした

ええと、一週間ほど遅くなりましたが、恐惶謹言朧月に参加された方、行かれた方、お疲れ様でした！
当日は【ぎんいろきつね】露木凛さんと合同で参加しておりました～グッズをお買い求め下さった方ありがとうございますっ(・ω・*)アリガト

途中からお買い物でほとんどいない状況で凛ちゃんの友達さんに売り子してもらってましたが大丈夫だったでしょうかね(笑)
そういえばイベント何回目かわからないですがスケブ描かないで１日終えたの初めてかもしれませぬ…まあ今回案内ボードとかにスケブ描きます等書いてなかったですしね…でも何や虚しい(苦笑)

途中からいなかった間はお買い物してました。頼まれた買い物とかあったんでね、ええ
お世話になってる日人さんとスペースぐるぐる廻りましたー楽しかったです

本とかグッズいっぱい見てきましたよ！
もちろん天海コスの方とか元就コス、サンデーさんのコスも会場にわらわら居て良かった…そんでサンデーさんの頭リボン可愛かったっ！思い出すだけで萌えますね
…というか凛さんの後ろに居られたサークルさんが元就コスされてたんですが頭のオクラ帽子が凛さんに刺さりそうだったｗ
いや刺さらなんだけれどもｗｗ
ちょっと反ったらぶすっと…いっちゃえば良かったのに(笑←ぉぃ

やはりイベントは良いですね…
とりあえず次に参加するのは全く未定でありますが、冬コミには参加したいですね。
佐幸アンソロジーのために…佐幸でスペース取ろうと思います。佐幸本出す予定は無いけども、ラミカ…あるいは栞とか、作って持って行けたらと思います。あくまでまだ半年以上先なので確実なことは言えませぬが…。
無理して変な仕上がりにしたくないけど、いや気持ちだけは沢山沢山なんだけど、それでもがんばらないとです。
オールキャラ描けるように…ちまちま描いてみまするよ。

色紙描き中。

■左上の猫元就＆ミニ元親はパロディな感じ、中の色無しで４００円。
■下の狐元親は小の色有り５００円。
■右上はまだ途中ですが…写真集めたみたいなので半兵衛、元就、元親、光秀（ちょっとだけ）、官兵衛（足だけw）あと一人まだ描いてない、で中の色有り８００円の予定。


うーん、色紙の価格って難しいですね…。高すぎても駄目だし安すぎても何や複雑ですし…大の価格が一番不安定かも。まだ描いてないけど（ぇ
ってか大中小のサイズ計っとけば良かったな…迂闊ぞ。
（あ、半兵衛様ってサイトうｐは初かも…これからも描きたい。目指せオールキャラ。だが資料無/以下略)


■そうそう今日ディスプレイ棚を頑張って作ったんですよー！かなりへっぽこですが形には成ったんですー良かったよかった。
制作費は５２５円（定規とか除く）。使いきりでもいいから当日頑張って欲しいな…。名前家康とかにしようか、黄色だから←ｗ

■今日は描く事これくらいですな。ではでは。(・Ａ・)ノシ

光秀ラミカ途中

足のグラデーションが上手く塗れたかと。

あ、そうそう…ラミカ絵はラミカにもするけどシールにもしようかなぁとか…だって…予算、新刊１０冊ちょっと刷ったら残りなさそうだし…なさそうだし…っ
…でも、グッズだけでも頑張るんだ…凛さんも頑張ってるんだからヒッキのmeはもっとがむばれるはず、だ！
当日の御釣りは…５０円玉になり、そ…う、です…;;;
ゆえにくれぐれも、なるべく、特に午前中は御釣りは出ませんよう願いまする…っ


■話変わりまして、モンハンＰ３の報告を少し。
バンギス装備をフルGETしました。バンギスってあれです、イビルジョーの装備デス。
口元は天海さんみたいなマスクなんですよ！
次に狙うはアグナＵ…アグナコトル亜種の装備と、ジンオウガの装備。アグナＳ(普通種)は持ってるんで、火、氷、雷と装備を揃えるのが目標。
それと単独討伐(複数じゃないやつ)のクエストを順調に片付けてます。全部終わればあいつが出るんだ…倒せるかはさて措いて…ね…
それらが終わったら大連続狩猟を片付けるかなー
四面楚歌のクエスト出したい。


■先日BOOK・OFF行ってきましたー！
内装変わってたな…さずかに長い期間行ってなかっただけあって少々戸惑った。
それで【ひぐらしのなく頃に】祟殺し編、鬼隠し編、綿流し編を買ってしまいました。
シャナちゃんごめん…レナや魅音を優先してしまった…っ
それにしてもやっぱりひぐらしワールドいいですねー…グロさミステリーさ、キャラクターの魅力とか、気に入りデス。
そのうち描きたいな…または書きたい。あくまでそのうち。


■最近ちょっと便秘気味。だから水を飲むように心掛けてるんだけど、元から水飲むことに馴染んでないから１リットル飲むのもキツくて…しかも今放射能が問題になってるし、どうしろというのだ。

■それではおやすみなさい。他にも書きたいけどまた明日以降に。

今日も昨日も寒々ですなぁ（＋コメント返信）

今日も寒いですなぁ…
しかも我が住まいの地区は（第５地区）午後から計画停電ですよ…うう、夜でなくて良かった…だがもし電力供給が足りなんだら夜もあるのよな…ぐふ。
とりあえずイラストでもーと思ったのだが鬱なイラストばかり描いてて何ぞこれはってなりまして尚且つそういうイラストはペン入れする気力湧かないという。頑張れよme…(苦笑)
因みに子供はお絵描きするとその時の精神状態が現れるらしいですね。真っ赤な絵とか真っ暗とかよくないですし。うむぅ子供とは意外なとこに自己表現をさせるんですなぁ。

あ、そういえばBOOK・OFF行ってないや…（ぇ
連休のうちに行っとけば良かったなぁ…家に引きこもってなければよかったぁ！(笑)
うむぅ…午前中は雨だし、午後は計画停電だし、夜はにわか雨ってこれは所謂引きこもれという神のお告g…否、でも油買ってこいと言われたのよな…行かにゃならんのか。がむばる。


以下コメントレス。
凛ちゃ…露木凛さんと日人さんたちと、リクエスト頂いた方への。

【リクエスト頂いた方々へ】
リクエストありがとうございますー、長々待たせてすみません、本当に毎度たらったらで面目ない、面目ない。
書く気力があれば書くのですがなかなかになかなかに…く、どこへ行ったんや文才…っ
いい加減１００単位の切り番やめようかなって思うんだけど…し、暫く５００単位にしとこうかな？悩み中ですっ

【露木凛さん】
凛ちゃんちょっと前のだけど慰めありがとー！まあメールでもいろいろ話してるしお泊まりも検討してるしいつも仲良くしてくれてほんにありがとうっ
４月イベント＆お泊まりよろしゅーにー(o~-')b

【日人さんエルルカさん】
ちょっと前のだけど慰めありがとうございましたにゃ。勇気づけられましたっ！
安否確認もとれてほっと一安心です…新木場ヤバいらしいですが４月イベントは来れるんですかねぇ…;;;
いや来るかどうか分かりませぬが、もし来れたら光秀さん色紙描いてお待ちしてまするるるー！もっちぷに光さんですぞーっ



ふぅ。今日も１日普通に頑張りましょー