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ビスケット通信

小説(とたまに絵)を書いてるブログです。 現在更新ジャンルは本館で公開した物の再UP中心。 戦国BASARAやお題など。

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嘘つきな人


『嘘つきな人』



綱吉は執務室の窓から外を眺め、ため息をつく。

「ふぅ…」

今日も相変わらずリボーンが大量の書類の山を置いていった。

しばらくは書類を片付けていたのだが、飽きてしまいこうしてサボっているのだ。
「仕事に飽きた飽きないなんて言っていられるか」とリボーンは言っていたが、はっきり言って綱吉はこの仕事に向いているとは思っていない。
ボンゴレのボスに君臨してから一年。昔のようなダメツナさはリボーンのおかげで幾分か治ったが、相変わらずサボり癖は抜けてなかった。

「眠い…」

春はもう終わりだというのに、暖かな陽射しと気候で、ふわぁ…と呑気にあくびをすれば、瞼が重くなってくる。
もう少しで閉じそうになったとこで、ハッと目を大きく開く。

「いやいや!仕事しないと!」

よし!と綱吉は気合いを入れ、ふかふかの椅子に座り上質な羽ペンを手に取った。インクにを浸け、リボーンに教え込まれた美しい筆記体の文字を、さらさらと書類に書き込んでいく。
30枚もサインすれば、またもや飽きてきて、さらには眠気までが襲ってきた。

「も…もう駄目…」

ぷつりと琴線が切れたように、バタリと綱吉は机に突っ伏した。





リボーンは嫌な予感がして、綱吉の居る執務室へ向かう。

(あいつまたサボってるんじゃねえだろうな…)

呆れたようにため息をつき、分厚いドアの前に立つ。一寸の隙も無く着こなしたスーツの内ポケットから、綱吉が居る執務室の鍵を取りだした。

(…堅苦しいな)

ふっと笑い鍵を仕舞えば、リボーンはドアを思いっきり蹴り飛ばした。

「・・・」

蹴り飛ばし吹き飛んだドアも気にせずに、部屋の中へずかずかと踏み込んで行っても、綱吉は起きる様子は無い。
相変わらずすやすやと眠り続ける綱吉に、また一つ呆れたため息をついた。

「…バカツナが。てめえは無防備すぎだ」

出会ってからずっと変わらない無防備さに、ほとほと呆れる。
ツカツカと机に歩み寄って行き背を屈めれば、すやすやと眠る綱吉の頬に軽く口づけをした。

「ばーか」

皮肉じみた笑顔で嫌みを言えば、山のように積まれた書類の半分程を持ち上げて、そのまま部屋を出て行く。


ドアが閉まり足音が遠退いていくのが分かると、綱吉はぱちりと目を開けた。

「…馬鹿はどっちだよ」

呟いた綱吉の顔は、夕焼けだという理由を差し引いても、頬は紅色に染まっていた。
顔を上げて、書類に目をやる。その数が半分近く減っている事に気付き、ふにゃりと笑う。

「全く…リボーンは素直じゃなんだから」

のびーっと思いっきり伸びをして、羽ペンを手に取り、書類を片付け始めた。

「よし!頑張ろう!」






「そっちこそ素直になれ」

書類を抱えて廊下を歩くリボーンは、いつもにも増して上機嫌だった。

(狸寝入りが俺に通用すると思ったか?全く、いつまでもダメツナだな)


素直になれない二人が素直になれる日は、そう遠くはない。




END



▼あとがき▼

初、10年後リボーン登場。そしていつもより短い。
というか…珍しく出来るだけ甘くしないようにしてみた。…危うく甘くなりそうだったから、リボーン帰らせました…。それでもやっぱり甘いのだけれど。
またリボツナ書きたいな…。


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自己紹介:
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オンラインでは執筆を
オフラインではイラスト中心に活動中デス
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