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ビスケット通信

小説(とたまに絵)を書いてるブログです。 現在更新ジャンルは本館で公開した物の再UP中心。 戦国BASARAやお題など。

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甘味が似合うツンデレラ2(光就/就誕)

  ★ 甘味が似合うツンデレラ2 ★



 消された電気、ゆらめく蝋燭。何処か陰陽
な、普段とは違う雰囲気をかもし出す。顔が
蝋燭に照らされ、光秀は普通に浮かべている
だけなのに不気味に怪しく見え、それに対し
元就の方は能面のように不機嫌な顔が、更に
怖い表情になっている。

 カラフルな蝋が熔けていくのを無言で見つ
める元就に、もしや火を吹き消す事を知らな
いのでは、と些か不安に思っていたが、何の
前触れも無く蝋燭の火は吹き消された。

 灯りを無くした室内に再び静寂が訪れる。
静寂には慣れているとはいえ、何とも言えな
い思い雰囲気はどうしたものかと、光秀は首
を僅かに傾げた。互いに相手の顔が見えない
中で、何を思うのか。

「電気、点けませんか…?」

 耐えきれなくなったのは光秀の方だった。
苦笑気味な声が、部屋の妙な緊張を解す。

「…ふん」

 闇のなか頷いたらしい元就は立ち上がり、
知れた部屋だと安心しきっていたのか何処か
にぶつけたような衝突音が闇に響く。だがそ
れすら元就は全く気にとめずに、スイッチを
押して部屋の灯りを点した。

 その瞬間、闇に慣れてしまった目が久々に
光を取り入れた為なのか、暫し蛍光灯の光が
眩しく見えた。

 元就を見れば、軽く涙目になりかけている
のはやはり先ほどの衝突音が関係しているの
だろうかと苦笑いしそうになる。だが正直に
大丈夫ですかとか痛そうですねと慰めの声を
かけようものならば彼はきっと、それを皮肉
の言葉と受け取る。元就はそういう人物だ。
別名ひねくれた性格とも云う。

 故に光秀は、何事もなかったかの様に平素
を保とうとしている元就に合わせ、こちらも
何事もなかったかの様に微笑み続けて椅子を
静かに引いた。

「おや、ケーキを切り分ける包丁が無い…
 それに小皿もありません…取ってきます」

 キッチンへと取りに行こうとした光秀に、
元就はあっ!と慌てた声を荒げた。突拍子も
無くあげられた声に、何事かと半分腰を上げ
たまま元就を見る。

「あ…いや、切り分ける包丁と小皿だな、我
 が取りに行く。光秀は待っておれ」

 物静かな元就にしては珍しく、慌ててガタ
リと勢い良く音をたてて椅子から立ち上がっ
て、足早に彼は走っていった。



   *―*****―*



 一枚、二枚…と、二枚の取り分ける小皿を
食器ケースから取り出し、軽くお湯で温めた
ナイフを上に置く。

「あと、フォーク…」

 引出しから、シンプルな物とファンシーな
愛らしい熊が柄の先端に付いているフォーク
を取り出した。可愛らしいフォークは無論、
元就が使う方ではない。光秀が使う。何ゆえ
こうも女々しい趣味をしているのだろうかと
思い若干引け目で見てしまう。

 とはいえ他人の趣味にとやかく言うつもり
も無く、フォークと小皿、切り分けるナイフ
を両手で持ち愛しいケーキの元へ、いや光秀
の元へと戻った。

「ん」

 ナイフを突きだし、いや差し出して小皿等
を机に置く。無言で目の前に迫ったナイフに
一瞬どきりとしたが、苦笑しながらも光秀は
それを受け取れば元就は椅子に座り直す。

「私にケーキを切れと…」

「当たり前だ。今日の主役は我だろう」

 今日だからでなくとも二人の上下関係から
して何かさせられるのは光秀の方なのだが、
光秀はそれに大して文句もつけずに従う。
 情人の有無も言わさぬ命令だからというの
もあるが、その従った分だけ、夜の情事にて
意地悪なり激しくするなり仕返しをしようと
疚しい反撃を腹の中で考えているから大人し
く従うのだが、それすらもきっと元就は承知
の上だ。

「じゃあ、切り分けますね」

 こくりと頷いたのを確認し、光秀はケーキ
の上に刺さったままだった蝋燭を引き抜いて
から、ケーキの表目に刃を当て、まずは半分
に目安程度の切り込みを入れる。

 何故そうするのだろうかと元就は首を傾げ
れば、その意を察した光秀がケーキに目安の
切り込み入れていきながら説明をする。

「計りを入れてから切るのは、いきなり切っ
 て後から分が合わなくなってしまっては
 困るでしょう?ですから、まずはこうして
 目安の切り込みを入れてから切るんです。
 大学を出た貴方なら分かると思ったんです
 がねぇ…」

 からかうように笑えば、真っ赤になって
元就は口をぱくぱくとさせて怒る。

「そ、それくらい我とて分かる!ただ計画性
 の無さそうな貴様がそうやって、きちんと
 計るのが珍しいと思っただけよ」

「んふふ…そうですか…」

 そっぽを向きながら怒る元就に、やはり彼
はとても愛らしい反応をする、と光秀は内心
で呟き、だらしなく頬が緩んだ。一部始終を
他人が見ていたらそのほとんどはからかった
光秀に非があると答えよう。元就の非素直さ
を可愛いと答える者もいるだろうが。

 切り分けたケーキを乗せた小皿を渡せば、
光秀にからかわれた事でむーっと不機嫌そう
に唸っていたはずの元就の目線がそれに向い
た瞬間、不機嫌が取れ仄かに笑顔を含む。

 紅の苺が乗せられたオーソドックスな甘い
ショートケーキ。因みに今日の誕生日ケーキ
は光秀の手作り。

「…美味い」

 一口食べた元就がそう溢した。その幸せそ
うな表情を見て、料理が得意で良かったと
思った。

 料理が得意になったきっかけは、光秀が
大学を出てから暫くしてからだった。

 全く働く気の無かった光秀は、大学を出て
から何処へ就職するわけでもなくふらふらと
していたのだが、それを見かねて声をかけた
のが光秀の従姉で監視役の濃姫だった。彼女
の幾度となる説得によって、その夫、織田信
長が経営しているドイツ料理を出す店で働き
始め、嫌々働いていたがなんだかんだで辞め
る理由も無く、もくもくと働き続けた結果が
自然と料理や菓子作りなどが得意になってい
たのだ。

 初めそれを自慢すること無く生活していた
光秀が元就と出会って、様々な馴れ初めがあ
りこうして付き合う間柄になってから、初め
て料理が得意であって良かったと心から思う
様になった。作った料理を目の前で食べても
らえる事の喜び、そしてそれを、美味しいと
言ってもらえる喜びを、料理を作る者には
最高の喜びを元就には教えてもらえた。

「ありがとうございます、元就公…」

 生き心地の無かった生活を変えた元就に、
感謝せねばと微笑み、光秀は知らずうちに礼
を言っていた。

「何だ、いきなり…」

 無論唐突に礼を述べられた元就は、いきな
りのことで半分困惑気味といった表情で目を
まん丸くした。光秀が突拍子もない事を言う
のは日常茶飯だが、それでも何か裏があるの
ではないかと疑心感に囚われる。

「いえなんとなく、ね…
 おや、頬にクリーム付いてますよ」

 椅子を立ち、机越しに元就の頬に触れて、
ふっと指で掬い取った。

「なっ…」

 赤くなる元就を余所に、光秀はしばらく生
クリームのついた指を眺めていた。

「?光秀…?」



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堕天使エレナ
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女性
職業:
学生
趣味:
絵描き 執筆 読書 ゲーム 寝る 妄想 便せん作り
自己紹介:
うえのイラスト画像はいただきもの。
オンラインでは執筆を
オフラインではイラスト中心に活動中デス
ギャルゲー、音ゲー、RPG系、シュミレーションゲームが好き
格ゲーやアクションは苦手

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