ビスケット通信
小説(とたまに絵)を書いてるブログです。 現在更新ジャンルは本館で公開した物の再UP中心。 戦国BASARAやお題など。
甘味が似合うツンデレラ3(光就/就誕)
- 2010/03/14 (Sun)
- 戦国バサラ |
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★ 甘味が似合うツンデレラ3 ★
「どうした…?」
不思議そうに首を傾げ見ている元就の前、
光秀はおもむろに指先についた生クリームを
わざとらしく微笑みつつ、視線は元就に向け
ながら舐め取った。ねぶる仕草が何処と無く
なめかましく、身震いしかけたのは気のせい
で間違いだと思いたい。
「美味しいですね」
何か変わったコメントが来るかと思えば
至って普通な返答しか返って来ず、光秀なら
ば変わったコメント言うかとを期待した自分
が馬鹿だったと、元就は小さな溜息を吐き、
つまらなさげに肘をついた。
その様子に何を思ったのか、光秀は自分の
小皿に乗ったケーキの上にちょこんと乗って
いた真っ赤な苺を摘まみ上げて、元就の真ん
前、口元へと苺を差し出す。
此れは何の意味だ。
とは訊くまでもない。
「食えと」
にこにこにこにこ。阿呆な恋人同士がやる
ように食えと。こんな斯様に恥ずかしい行為
無様だ愚かだ恥ずかしいと呟いて、そっぽを
向いた。だがそっぽを向いたら光秀はそっち
に苺を持って来て明後日の方向へと顔を背け
れば無論その口元に苺を持ってくる。
どうにかしてでも苺を食べさせたい様子。
それならばと手で受け取ろうとしたのだが
やはりというか、すぐ手が引っ込められる。
やはり食うしかないのだろうかと思うと、
眉間に皺を寄せる程に嫌だった。
「ほら…元就公、あーんですよ…
まさか出来ないんですか?」
「なっ…その程度我とて出来るわ阿呆!」
言ってからしまったと口を閉じたが遅い。
「んふふ…ですよねぇ…さぁ、お口を…」
嵌められた。
こうなれば取り敢えず、いざ自分が餌付け
のような事をされる場面を想像してみる。
嫌だ、物凄く嫌だ。とはいえ光秀が此方に
伸ばしている腕が疲れてきたのかぷるぷると
震えているし、何や食わねば自分の方が悪者
で光秀が可哀想な気がしてきたのだが…と、
色々苦悩した挙げ句に渋々と口を開く。
「…………あー…」
「良い子です…」
放り入れた苺が口内に収まる。役目を果た
した指が引かれるのを、細目にした目で目視
してから、もぐもぐと咀嚼した。
「酸っぱい」
舌を狂わせそうなほどの酸味が、口内全体
に広がった。元就はこの酸っぱさが苦手で、
苺や蜜柑などの果実はあまり好かない。
とはいえ逆に林檎や桃などの酸味が少ない物
や甘味の多い物はそれなりに好きで、好んで
食す事もある。特に桃は出身県の特産品だと
いうのもあって、よく朝に朝食代わりとして
食すくらい好きだったりする。
「だが、美味しい」
「そうですか」
咀嚼した苺を飲み込んだ後に、仄かな甘み
が残った。優しい、甘みが。
「なぁ、光秀…」
食べさせることに成功してか機嫌の良さそ
うな光秀は、にこりとしたまま首を傾げる。
「はい?」
元就は言うべきか暫し言い淀んだ。だが、
言わなくとも後々分かることなのだしやはり
結局は言わねばならぬと思い口を開く。
「ホワイトデーの…用意出来なかった」
キッチンの惨状を思い出した。
「あぁ… いえ、良いのですよ
私はお返し目当てではありませんから…
ただ、貴方にあげたかっただけですので…
無理に用意する必要はありませんよ。
気持ちだけで充分ですから…ね」
――頂くなら貴方自身で、なんてね…
微笑がそれを冗談なのか本気なのか判断を
鈍らせる。最後は聞こえなかった事にして、
キッチンの惨状も一先ず措いておき、ケーキ
を食べる事に今は専念した。
「これ食べたら…どうしますか…?」
「…ふん」
年に一度の特別日。はてさてこの後はどう
過ごすか悩む双方であった。
―――――――――――――――――――完
2010/3/14
【甘味の似合うツンデレラ】
「どうした…?」
不思議そうに首を傾げ見ている元就の前、
光秀はおもむろに指先についた生クリームを
わざとらしく微笑みつつ、視線は元就に向け
ながら舐め取った。ねぶる仕草が何処と無く
なめかましく、身震いしかけたのは気のせい
で間違いだと思いたい。
「美味しいですね」
何か変わったコメントが来るかと思えば
至って普通な返答しか返って来ず、光秀なら
ば変わったコメント言うかとを期待した自分
が馬鹿だったと、元就は小さな溜息を吐き、
つまらなさげに肘をついた。
その様子に何を思ったのか、光秀は自分の
小皿に乗ったケーキの上にちょこんと乗って
いた真っ赤な苺を摘まみ上げて、元就の真ん
前、口元へと苺を差し出す。
此れは何の意味だ。
とは訊くまでもない。
「食えと」
にこにこにこにこ。阿呆な恋人同士がやる
ように食えと。こんな斯様に恥ずかしい行為
無様だ愚かだ恥ずかしいと呟いて、そっぽを
向いた。だがそっぽを向いたら光秀はそっち
に苺を持って来て明後日の方向へと顔を背け
れば無論その口元に苺を持ってくる。
どうにかしてでも苺を食べさせたい様子。
それならばと手で受け取ろうとしたのだが
やはりというか、すぐ手が引っ込められる。
やはり食うしかないのだろうかと思うと、
眉間に皺を寄せる程に嫌だった。
「ほら…元就公、あーんですよ…
まさか出来ないんですか?」
「なっ…その程度我とて出来るわ阿呆!」
言ってからしまったと口を閉じたが遅い。
「んふふ…ですよねぇ…さぁ、お口を…」
嵌められた。
こうなれば取り敢えず、いざ自分が餌付け
のような事をされる場面を想像してみる。
嫌だ、物凄く嫌だ。とはいえ光秀が此方に
伸ばしている腕が疲れてきたのかぷるぷると
震えているし、何や食わねば自分の方が悪者
で光秀が可哀想な気がしてきたのだが…と、
色々苦悩した挙げ句に渋々と口を開く。
「…………あー…」
「良い子です…」
放り入れた苺が口内に収まる。役目を果た
した指が引かれるのを、細目にした目で目視
してから、もぐもぐと咀嚼した。
「酸っぱい」
舌を狂わせそうなほどの酸味が、口内全体
に広がった。元就はこの酸っぱさが苦手で、
苺や蜜柑などの果実はあまり好かない。
とはいえ逆に林檎や桃などの酸味が少ない物
や甘味の多い物はそれなりに好きで、好んで
食す事もある。特に桃は出身県の特産品だと
いうのもあって、よく朝に朝食代わりとして
食すくらい好きだったりする。
「だが、美味しい」
「そうですか」
咀嚼した苺を飲み込んだ後に、仄かな甘み
が残った。優しい、甘みが。
「なぁ、光秀…」
食べさせることに成功してか機嫌の良さそ
うな光秀は、にこりとしたまま首を傾げる。
「はい?」
元就は言うべきか暫し言い淀んだ。だが、
言わなくとも後々分かることなのだしやはり
結局は言わねばならぬと思い口を開く。
「ホワイトデーの…用意出来なかった」
キッチンの惨状を思い出した。
「あぁ… いえ、良いのですよ
私はお返し目当てではありませんから…
ただ、貴方にあげたかっただけですので…
無理に用意する必要はありませんよ。
気持ちだけで充分ですから…ね」
――頂くなら貴方自身で、なんてね…
微笑がそれを冗談なのか本気なのか判断を
鈍らせる。最後は聞こえなかった事にして、
キッチンの惨状も一先ず措いておき、ケーキ
を食べる事に今は専念した。
「これ食べたら…どうしますか…?」
「…ふん」
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過ごすか悩む双方であった。
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