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ビスケット通信

小説(とたまに絵)を書いてるブログです。 現在更新ジャンルは本館で公開した物の再UP中心。 戦国BASARAやお題など。

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09゛ハロウィンSS2(光就/甘)







目を覚ませば、夕闇に包まれている。
座ったまま寝ていたようだ。

温かく、て…
はて…今は10月の終わり、しかも外となれ
ば寒いような気がするのだが…

別に気にする事でもあるまいが、あまりこの
ような場所で寝ているのもいかぬ。

身を起こそうと身動ぎをしようとすれば、
自分に見ようない上着が掛けられいて、隣に
感覚があるのに気付く。

首を捻って視れば、己の肩に凭れて眠ってお
る者は、宵闇のような黒服を来た光秀。

足元で不穏な輝きを放つ、大鎌に目に入る。
黒服に大鎌とくれば死神と予想がついた。

このような大鎌のレプリカ、一体何処から
入手したのだ…

寧ろ…この大鎌は本物のような感じがするの
は気のせいなのだろうか。
否、本物など未だ見たこともないが。

それよりも、何故これが此処に居る。

何故我に上着を掛け、待っているつもりがい
つしか自身まで眠ってしまう程に、待ってい
たのだ…

まさか、光秀のような者がハロウィンなどと
いう子供臭い行事ごときで、他の輩のように
騒ぐような性格ではあらぬはずだが、死神の
ような仮装をしておるという事はやはりハロ
ウィンに参加したいという事なのか。
全くもって理解出来ぬ。

「ぅ、んん…あぁ…元就公…
 起きましたか……」

寝惚け眼で見上げられる。
寝冷えでもしたのか、発色の悪い肌が寒さで
更に白く見えて、思わず上着を掛け返す。

「上着、返すぞ」

…別に良心ではない。ただ、冷えて風邪でも
引かれたら後で看病しろだの言われるのが
面倒だからだ。

ほくほくと暖かそうな表情を浮かべている。
こちらまで暖かいような気になるのは、なん
ともよく解らぬ。

「あの…Trick or Treatです」

大鎌を手に取り何かと思えば、ハロウィン
恒例の言葉が聞こえ。あまりにも普段の様子
からは似合わぬゆえ、笑ってしまいそうだ。

この光秀だけに、普段はやらぬであろう悪戯
をすると考えると恐ろしい。
だが今は何もくれてやるものは無い。

「今は何も無い」

「おや…では……悪戯をしなければねぇ…」

どこか目付きが鋭い気がするのは、我の目の
錯覚であると信じたい。

「…このような下等行事になど付き合えぬ
 我は帰るぞ」

「え…」

家に隠り、誰にも会わねばそれでよい。
いや、これ以上誰か来る宛は今のところない
のだが。

帰路へと足を向ければ、付いてくる気配。
道中の視線などは、気にならぬのかこれは…

そう何分とも経たぬ内、家についてしまう。
確か、戸棚にまだ何かあったはずだ。

ドアノブを捻れば開いていて。
ああ、そういえば昼間竹中と長曽我部を残し
て逃げてきたのだった。

パタパタとスリッパの音。
よもやとは思うが…

「あ、お帰りー」

出迎えたのは竹中。
エプロンはもしや態々自家から持ってきたの
だろうか。

いや、長曽我部はどうした?
まさか竹中に負け追い払われたか。
…それはそれで手間が省けた。

後ろの光秀に痛い視線を向けられているが、
とにかくこの竹中を追い払わねば。

「帰れ」

「嫌だよ。それよりもさ…
 何で、それがいるのかな?」

「それ…とは…私の事ですか?」

「ねぇ何で?元就君」

つじつまの合わない下手な嘘をついても、
気付くか気にしないかどちらか。
となれば上手く芝居を打つ必要がある。

だがそれには光秀の強力が必要となり、我が
求める言葉を選ぶかわからぬが、ひとつ、
懸けてみる他無い。

いつからか隣に居た光秀に視線を一瞬向けて
から、意を決め竹中に見せつけるようにして
腕を組む。
ああ…寒気がする…全く…

「今宵こやつと夜を共にするからだ」

「え……ええ、そうです。
 今夜はじっくり元就公を味わうんですよ」

僅か動揺に狼狽えた様子を見せたが、すぐに
意図を察知したのか会話を合わせた。

期待通り、竹中はショックのあまり固まって
いる。

すぐに竹中を玄関から外へと押し出し、靴も
外に出してドアを閉めた。我に返った竹中が
自分も一緒になどと言いそうだと頭を過って
しまったゆえ。

鍵を閉め、チェーンロックもかける。
これで危機は去った。

が、背後から抱きすくめられる感覚に、嫌な
予感。

「では…早速味わうとしましょうかねぇ…」

「本気にするなっ!」

回避する暇もなく、あれよあれよという間に
抱き抱えられる。不覚。

ああ…やはり今朝真田に誘われた時共に向か
えば良かったか。それとも公園になど行かず
図書館にでも行けば良かったのだろうか…

今さら戸棚にあんみつの缶詰めがあったのを
思い出したが、今この光秀に何を申そうと
無駄なのであろう。

我は一体何をどう計り間違えたのだろうか…



終わり
―――――――――――――
2009/10/31に本館UP
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プロフィール

HN:
堕天使エレナ
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性別:
女性
職業:
学生
趣味:
絵描き 執筆 読書 ゲーム 寝る 妄想 便せん作り
自己紹介:
うえのイラスト画像はいただきもの。
オンラインでは執筆を
オフラインではイラスト中心に活動中デス
ギャルゲー、音ゲー、RPG系、シュミレーションゲームが好き
格ゲーやアクションは苦手

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