ビスケット通信
小説(とたまに絵)を書いてるブログです。 現在更新ジャンルは本館で公開した物の再UP中心。 戦国BASARAやお題など。
カテゴリー「戦国バサラ」の記事一覧
- 2025.04.19
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- 2010.03.17
猫耳ア・ラ・モード(続き)3
- 2010.03.16
猫耳ア・ラ・モード(続き)2
- 2010.03.15
猫耳ア・ラ・モード(光就/現パロ/たぶん裏/半獸化) 1
- 2010.03.14
甘味が似合うツンデレラ3(光就/就誕)
- 2010.03.14
甘味が似合うツンデレラ2(光就/就誕)
猫耳ア・ラ・モード(続き)3
- 2010/03/17 (Wed)
- 戦国バサラ |
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【猫耳ア・ラ・モード】3
「…嫌いでは、ない」
結局そう答えるしか他無かった。
答えなければ答えなかったで、やれ仕置きだ
何だとされては身が持たぬ。
情人の手は尻尾を柔らかく擦りつつ、空いた
左手が尻の割れ目をなぞってゆき、辿り着く
すぼまりの部分で止まった。
「フフ、そうですよねぇ……いつも、此所に
入れられて泣きながら悦ぶ貴方ですし…」
「んぁっ…うるさい、黙らぬか」
求められる旅に幾度と異物を受け入れたこと
のある其所は意図も容易く広がってしまう。
無意識に期待から奥が疼くのを感じる。
「ですが、本当の事でしょう?」
こうも浅ましい体にしたのは光秀だろうと、
胸裏で悪態づく。
「ふん…否定はせぬ。肯定もせぬ」
そっぽを向いて話を曖昧にしたつもりだが、
其れが子供染みた反応だと言われたのを思い
出して、どうしようもない気持ちに至る。
「そうですか…クク…」
見透かされた嘲笑。
何故こうも光秀如き相手に易々と翻弄されね
ばならぬのだ。
「あぁ…そういえば竹中殿に『イイモノ』を
更に調達していただいたんですよ…」
良い物とは何だ。
訊いてはならぬような、だが訊かねばならぬ
のだが、どちらにせよその良い物を窺知する
ことには代わり無い。
とはいえ、訊いておくに越したことは無いと
腹をくくり、案出の末に口を開きかけた時、
ガサリと物音がし、光秀の手中に黒を基調と
した細い首輪が握られていた。
「…貴様、何をする気だ」
首輪が情人の手の上にある時点で何に使うか
は一つしか無いのだが。
「勿論貴方につけますv」
という予想通りの楽しそうな返答に、もやは
抵抗する気力も湧かず、されるがままに首輪
を付けられる。
「気紛れな貴方にとてもお似合いですよ…」
カチリと手綱を付ける。
猫に手綱が必要なのかわからぬ。
「戯れ言、くっ…」
突如手綱を引っ張られた。
いきなり前に引かれた事によって、首が反り
返り一瞬息が詰まる。
「なっ…何をするっ!無礼者っ」
なんとか首を起こし、体を支える為に両手を
つけば、ぴしゃりと良い放つ。
今更こ奴に罵倒が効かぬのは分かっている。
そして無言の笑顔で緩められた手綱。
歯向かえばこうなるとでも言いたげな笑顔。
…どんなSMだ。
そんな趣味は無いと睨むも、腰が引き寄せら
れて赤子の様に膝上へと乗せられる。向かい
会わせに面を見合うこの体制は好かぬ。身長
差が歴然としてしまう故に好まない。
「良い事を思い付きました」
「な、んぅ」
何をだ。返答に開いた口は突っ込まれた指に
よって言葉が遮られた。
逃れようにも舌をなぞり、挟み、掻き乱して
弱い部分を攻める故に翻弄されるばかり。
あまりの乱雑で刺激を与えられた口内に唾液
が溢れ、収まりきらなくなった分が口の端か
ら零れ落ちた。
「ん、ぅ…は…っ……貴様」
解放された口を拭い、屈辱に光秀を睨む。
詫びの印か、掌の上に口付けられる。
次いで落とされる口付けは腕の首。
腕の首へのキスは、欲望の表れだと何処かの
誰かが言っていたのを思い出す。思わず頬を
赤らめた。
「ククク…まるで女性のよ」
「!うるさいっ」
即座にヘッドバッド、いや別称頭突きを顎に
食らわせれば実に愉快な音がした。
女顔とか童顔などと言われるのが大嫌いだと
常日頃申しておるのに、こやつは敢えて斯様
な事を言う。
「あぁ…痛い痛い…せっかくの雰囲気を
壊さないで下さいよ…」
何処と無く嬉しそうに見えるのは気のせい
だろうか。頬が緩んでおるわ。
「一方的な行為であろう」
寧ろ強姦だ。
否、強姦紛いなのはいつもの事なのだが。
「歯向かいましたのでお仕置きですよv」
「無視かっ!挙げ句仕置きだと?!」
じたばたと押し退けて逃げようともがくも、
腰をしっかりホールド…掴まれている故退く
に退けぬ。
「その無駄口…
叩けなくしてさしあげましょう…」
「っくぁ…ぅ」
にっこりと、実に腹黒い黒笑と共に、尻尾を
きつく握られ悲鳴ともつかぬ声をあげる。
次いで離されれば、もふもふと獣耳が撫でら
れた。何が言いたいかよくわからない。
「ふふ、私の方が立場は優位だというのを
くれぐれもお忘れ無く…あ、
そうそう、明日はお休みでしたよね?
今日は沢山可愛がってあげますから…」
結論、今日は一日離してもらえそうにないら
しい。長旅で身体に疲労が溜まっているのだ
が今更ああだこうだ言っても負け犬の遠吠え
程度の反抗にしかならない気がする。
明日起きたらベッドから起き上がれないだろ
うな…などと、与えられる快楽に身悶えつつ
思ったのだった。
―――――――――――
2010/3
【猫耳ア・ラ・モード】
「…嫌いでは、ない」
結局そう答えるしか他無かった。
答えなければ答えなかったで、やれ仕置きだ
何だとされては身が持たぬ。
情人の手は尻尾を柔らかく擦りつつ、空いた
左手が尻の割れ目をなぞってゆき、辿り着く
すぼまりの部分で止まった。
「フフ、そうですよねぇ……いつも、此所に
入れられて泣きながら悦ぶ貴方ですし…」
「んぁっ…うるさい、黙らぬか」
求められる旅に幾度と異物を受け入れたこと
のある其所は意図も容易く広がってしまう。
無意識に期待から奥が疼くのを感じる。
「ですが、本当の事でしょう?」
こうも浅ましい体にしたのは光秀だろうと、
胸裏で悪態づく。
「ふん…否定はせぬ。肯定もせぬ」
そっぽを向いて話を曖昧にしたつもりだが、
其れが子供染みた反応だと言われたのを思い
出して、どうしようもない気持ちに至る。
「そうですか…クク…」
見透かされた嘲笑。
何故こうも光秀如き相手に易々と翻弄されね
ばならぬのだ。
「あぁ…そういえば竹中殿に『イイモノ』を
更に調達していただいたんですよ…」
良い物とは何だ。
訊いてはならぬような、だが訊かねばならぬ
のだが、どちらにせよその良い物を窺知する
ことには代わり無い。
とはいえ、訊いておくに越したことは無いと
腹をくくり、案出の末に口を開きかけた時、
ガサリと物音がし、光秀の手中に黒を基調と
した細い首輪が握られていた。
「…貴様、何をする気だ」
首輪が情人の手の上にある時点で何に使うか
は一つしか無いのだが。
「勿論貴方につけますv」
という予想通りの楽しそうな返答に、もやは
抵抗する気力も湧かず、されるがままに首輪
を付けられる。
「気紛れな貴方にとてもお似合いですよ…」
カチリと手綱を付ける。
猫に手綱が必要なのかわからぬ。
「戯れ言、くっ…」
突如手綱を引っ張られた。
いきなり前に引かれた事によって、首が反り
返り一瞬息が詰まる。
「なっ…何をするっ!無礼者っ」
なんとか首を起こし、体を支える為に両手を
つけば、ぴしゃりと良い放つ。
今更こ奴に罵倒が効かぬのは分かっている。
そして無言の笑顔で緩められた手綱。
歯向かえばこうなるとでも言いたげな笑顔。
…どんなSMだ。
そんな趣味は無いと睨むも、腰が引き寄せら
れて赤子の様に膝上へと乗せられる。向かい
会わせに面を見合うこの体制は好かぬ。身長
差が歴然としてしまう故に好まない。
「良い事を思い付きました」
「な、んぅ」
何をだ。返答に開いた口は突っ込まれた指に
よって言葉が遮られた。
逃れようにも舌をなぞり、挟み、掻き乱して
弱い部分を攻める故に翻弄されるばかり。
あまりの乱雑で刺激を与えられた口内に唾液
が溢れ、収まりきらなくなった分が口の端か
ら零れ落ちた。
「ん、ぅ…は…っ……貴様」
解放された口を拭い、屈辱に光秀を睨む。
詫びの印か、掌の上に口付けられる。
次いで落とされる口付けは腕の首。
腕の首へのキスは、欲望の表れだと何処かの
誰かが言っていたのを思い出す。思わず頬を
赤らめた。
「ククク…まるで女性のよ」
「!うるさいっ」
即座にヘッドバッド、いや別称頭突きを顎に
食らわせれば実に愉快な音がした。
女顔とか童顔などと言われるのが大嫌いだと
常日頃申しておるのに、こやつは敢えて斯様
な事を言う。
「あぁ…痛い痛い…せっかくの雰囲気を
壊さないで下さいよ…」
何処と無く嬉しそうに見えるのは気のせい
だろうか。頬が緩んでおるわ。
「一方的な行為であろう」
寧ろ強姦だ。
否、強姦紛いなのはいつもの事なのだが。
「歯向かいましたのでお仕置きですよv」
「無視かっ!挙げ句仕置きだと?!」
じたばたと押し退けて逃げようともがくも、
腰をしっかりホールド…掴まれている故退く
に退けぬ。
「その無駄口…
叩けなくしてさしあげましょう…」
「っくぁ…ぅ」
にっこりと、実に腹黒い黒笑と共に、尻尾を
きつく握られ悲鳴ともつかぬ声をあげる。
次いで離されれば、もふもふと獣耳が撫でら
れた。何が言いたいかよくわからない。
「ふふ、私の方が立場は優位だというのを
くれぐれもお忘れ無く…あ、
そうそう、明日はお休みでしたよね?
今日は沢山可愛がってあげますから…」
結論、今日は一日離してもらえそうにないら
しい。長旅で身体に疲労が溜まっているのだ
が今更ああだこうだ言っても負け犬の遠吠え
程度の反抗にしかならない気がする。
明日起きたらベッドから起き上がれないだろ
うな…などと、与えられる快楽に身悶えつつ
思ったのだった。
―――――――――――
2010/3
【猫耳ア・ラ・モード】
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猫耳ア・ラ・モード(続き)2
- 2010/03/16 (Tue)
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【猫耳ア・ラ・モード】2
そんな筈は無い、信じられず試しに、生えて
いる可笑しな耳を引っ張ってみれば、奇妙な
感覚がするも確かに痛みは感じる。
これは本物だと信じざるを得ないようだ。
見た目は、と近くの鏡を手に取って見やる。
…やはり見なければ良かったか。
乱れた髪の合間から生える、髪の毛と同じ色
の両耳がぴんと立っている。
鏡に移る獣耳に気をとられている間に、光秀
の指が尻尾に触れた。
「あぐっ?!」
ぎゅっと尻尾を掴まれた途端に、ビリビリと
した、痛みとも快楽ともつかない感覚が全身
を貫き走る。
何だ、これは。
「や…やめろ光秀っ…くっ」
何が起こったか分からずに、握られたままの
尻尾が与え続ける快楽感に戸惑い、不覚にも
上擦った声が出る。
「おやおや…感じるのですか?」
クスクスと愉しげに笑いながら、ゆるゆると
性器を愛撫するように撫で擦られる。
「違っ……違うっ…やっ…」
違うと言っても尻尾を撫でる手は変わらずに
撫でており、更には微妙な強弱をつけて撫で
られる。その度に、何とも云えない快楽が
甘く腰に響き、思考を乱す。
「はぁ…やめぬか、貴様、あっ…触るなっ」
恨みがましく睨むも、与えられた快楽に潤ん
でいるであろう目で睨んでも威圧感が無い事
は自分でも分かっておる。
だが、何もせずにはいられぬ。
「クククッ…震えてますよ…可愛らしい…
そんなに気持ち良いんですか…?」
耳元で囁くものだから息がかかって、思わず
身を竦める。光秀は、我が低い低音の甘美な
声に弱いのをわかっていてやっているのだ。
いつもに増してゾクゾクとするのは猫の耳で
ある故に聴覚が鋭いからであろうか。
「本当、可愛らしい…とても…ね」
「ひぅっ…」
伏せた耳が控え目に甘噛みされ、軽く悲鳴を
上げる。
漸く尻尾が放されると代わりに腰をさらりと
軽く撫でられ、走る疼きに体が跳ねた。耳や
尻尾の影響かもしれないが、これだけで反応
してしまう自分が信じられぬ。
「あぁ…そういえば媚薬を混ぜ忘れました…
入れれば良かったですねぇ…」
…媚薬だと?
ただでさえ、このよく分からない感じやすい
耳と尻尾が付いているだけでも面倒なのに、
更に感度の良くなる媚薬なぞ盛られてしまえ
ばどうなってしまうか分からない。
光秀のうっかりに今回ばかりは助けられた。
不幸中の幸いと言ったとこか。
否、入っていないのにこんなにも感じてしま
い腰を撫でられるだけで反応する程になって
いる方が問題なのだが。
「まぁ媚薬など無くとも、大丈夫ですね…
貴方は元から感度が良いですから」
つぅ、と指先で下半身のモノを避けて、足の
付け根辺りをなぞられ、意識がそちらに向い
てしまい問題はおろかまともに物事を考えら
れない。
「くっ…」
前が苦しい程に張りつめているのが自分でも
分かってしまうのが羞恥を煽らせ、目を僅か
伏せる。
先ほどまでの耳や尻尾への愛撫だけでこうに
もなってしまうとは、恐ろしい。
すっかり脱力しきった身に、其れを好機とみ
たか下着もろとも脱がされる。
性器が外気に晒され、寒さに尻尾を丸めた。
とはいえ犬や何かの尻尾とは違い対して変化
は無いのだがぴったりと体にくっ付けていた
方が何処か安心するのだ。
「まだ触ってもないのに此方はもうこんなに
雫を溢して…さぞや辛いでしょう?」
「うるさぃっ…」
今更もったいつけるような初々しい関係でも
無いが、まじまじと肉棒を眺められるのには
未だ慣れぬ。
「貴方は顔までもなくモノも可愛らしい」
「軽く侮辱していないか」
「いえいえ…」
立て膝にした足の太ももに舌が這う感覚や、
右手が足裏を撫でる度に体が反応する。
だが何時まで経ってもなかなか肝心な場所に
触れられぬ事に、些か気が可笑しくなってし
まいそうなのだが。
「はぁ…み、つひでっ…」
訴える様に呼んだ名に、情人はそ知らぬ顔を
するばかりだ。
「光秀…っ」
「何ですか?」
からかうのも焦らすのも大概にして欲しい。
こちらが乞えば光秀は満足気な笑みを浮かべ
ながらもしてくれるだろうが、我にはその様
な恥態を晒すほど落ちぶれてはおらぬ。
願い乞う事も出来ずにただ瞳を潤ませるばか
りで、尻尾だけが誘うように揺れた。
「口で言わねばわかりませんよ」
「~っ………言うか、阿呆っ」
この期に及んでまだからかうのか。
「ふふ、分かってますよ、元就公…
物足りないのでしょう…?」
期待に、どきりと胸が弾む。
触れられたのは尻尾だったが、握られた尻尾
から伝わる快感は脳の髄までを痺れさせる。
この何とも言えない甘い痛みは、病み付きに
なってしまいそうだ。
本来求めていたものとは違えど、それが快楽
には代わり無い。付け根から先まで撫でられ
る感覚に、思わず身震いをする。
「光秀、あ…あぁ…光秀、もう少し…」
足りぬ、足りぬと、うわごとの様に呟く。
無意識に自ら悲願していた事に気付いたのは
光秀の返答が返ってきてからだ。
「もっと強く、ですか…?」
躊躇しつつも渋々とこくりと頷けば、痛い程
に強く握り締められ、痛みに身を反らす。
幾らなんでも痛い、馬鹿が。
加減と云うものがあるだろう。
だが口に出す程ではない。涙目で痛いと訴え
たが、光秀はチラリと見て笑顔を携えるだけ
だ。
その意味深な笑みと、光秀の瞳に宿る淫猥な
光。それから察し、良からぬ事を考えている
のやもしれぬと不吉な予感が浮かぶ。
それを裏切らずに光秀は尻尾を口に含む。
「な、やめっ…んっ、うぅ…光秀……っ」
咥内に納められた尻尾の先を、熱い舌がモノ
を奉仕するかの様に舐る。
開いた足の間から覗く、含んだ尻尾を恍惚と
舐める様は、何ともいえぬ淫靡な光景。
加えて、光秀がどこか妖しい邪気を放ってい
るようにも見えた。それに毒されてか、興奮
している自分がいるとは、まさに不覚としか
言い様が無い。
「んぅ…んふ……気持ち良いですか…?」
上目遣いに問われた質問に、首を横に振る。
素直に良いと答えるのは負けな様な気がした
のだ。
「あ、く…馬鹿っ…んっ、あ……はぁ…!」
舐られてゆく内に尻尾は唾液で濡れ、しっと
りとした艶を放つ。
「ん…快楽はお嫌いではないでしょう?」
眉間に皺が寄る。
好きではない、だが嫌いでもない。となると
嫌いではないのかという問いには頷くべきな
のか無視しようか。
―――――――――――――――続。
ツッコミ。
光秀、後で毛玉吐くなよ(苦笑)
そんな筈は無い、信じられず試しに、生えて
いる可笑しな耳を引っ張ってみれば、奇妙な
感覚がするも確かに痛みは感じる。
これは本物だと信じざるを得ないようだ。
見た目は、と近くの鏡を手に取って見やる。
…やはり見なければ良かったか。
乱れた髪の合間から生える、髪の毛と同じ色
の両耳がぴんと立っている。
鏡に移る獣耳に気をとられている間に、光秀
の指が尻尾に触れた。
「あぐっ?!」
ぎゅっと尻尾を掴まれた途端に、ビリビリと
した、痛みとも快楽ともつかない感覚が全身
を貫き走る。
何だ、これは。
「や…やめろ光秀っ…くっ」
何が起こったか分からずに、握られたままの
尻尾が与え続ける快楽感に戸惑い、不覚にも
上擦った声が出る。
「おやおや…感じるのですか?」
クスクスと愉しげに笑いながら、ゆるゆると
性器を愛撫するように撫で擦られる。
「違っ……違うっ…やっ…」
違うと言っても尻尾を撫でる手は変わらずに
撫でており、更には微妙な強弱をつけて撫で
られる。その度に、何とも云えない快楽が
甘く腰に響き、思考を乱す。
「はぁ…やめぬか、貴様、あっ…触るなっ」
恨みがましく睨むも、与えられた快楽に潤ん
でいるであろう目で睨んでも威圧感が無い事
は自分でも分かっておる。
だが、何もせずにはいられぬ。
「クククッ…震えてますよ…可愛らしい…
そんなに気持ち良いんですか…?」
耳元で囁くものだから息がかかって、思わず
身を竦める。光秀は、我が低い低音の甘美な
声に弱いのをわかっていてやっているのだ。
いつもに増してゾクゾクとするのは猫の耳で
ある故に聴覚が鋭いからであろうか。
「本当、可愛らしい…とても…ね」
「ひぅっ…」
伏せた耳が控え目に甘噛みされ、軽く悲鳴を
上げる。
漸く尻尾が放されると代わりに腰をさらりと
軽く撫でられ、走る疼きに体が跳ねた。耳や
尻尾の影響かもしれないが、これだけで反応
してしまう自分が信じられぬ。
「あぁ…そういえば媚薬を混ぜ忘れました…
入れれば良かったですねぇ…」
…媚薬だと?
ただでさえ、このよく分からない感じやすい
耳と尻尾が付いているだけでも面倒なのに、
更に感度の良くなる媚薬なぞ盛られてしまえ
ばどうなってしまうか分からない。
光秀のうっかりに今回ばかりは助けられた。
不幸中の幸いと言ったとこか。
否、入っていないのにこんなにも感じてしま
い腰を撫でられるだけで反応する程になって
いる方が問題なのだが。
「まぁ媚薬など無くとも、大丈夫ですね…
貴方は元から感度が良いですから」
つぅ、と指先で下半身のモノを避けて、足の
付け根辺りをなぞられ、意識がそちらに向い
てしまい問題はおろかまともに物事を考えら
れない。
「くっ…」
前が苦しい程に張りつめているのが自分でも
分かってしまうのが羞恥を煽らせ、目を僅か
伏せる。
先ほどまでの耳や尻尾への愛撫だけでこうに
もなってしまうとは、恐ろしい。
すっかり脱力しきった身に、其れを好機とみ
たか下着もろとも脱がされる。
性器が外気に晒され、寒さに尻尾を丸めた。
とはいえ犬や何かの尻尾とは違い対して変化
は無いのだがぴったりと体にくっ付けていた
方が何処か安心するのだ。
「まだ触ってもないのに此方はもうこんなに
雫を溢して…さぞや辛いでしょう?」
「うるさぃっ…」
今更もったいつけるような初々しい関係でも
無いが、まじまじと肉棒を眺められるのには
未だ慣れぬ。
「貴方は顔までもなくモノも可愛らしい」
「軽く侮辱していないか」
「いえいえ…」
立て膝にした足の太ももに舌が這う感覚や、
右手が足裏を撫でる度に体が反応する。
だが何時まで経ってもなかなか肝心な場所に
触れられぬ事に、些か気が可笑しくなってし
まいそうなのだが。
「はぁ…み、つひでっ…」
訴える様に呼んだ名に、情人はそ知らぬ顔を
するばかりだ。
「光秀…っ」
「何ですか?」
からかうのも焦らすのも大概にして欲しい。
こちらが乞えば光秀は満足気な笑みを浮かべ
ながらもしてくれるだろうが、我にはその様
な恥態を晒すほど落ちぶれてはおらぬ。
願い乞う事も出来ずにただ瞳を潤ませるばか
りで、尻尾だけが誘うように揺れた。
「口で言わねばわかりませんよ」
「~っ………言うか、阿呆っ」
この期に及んでまだからかうのか。
「ふふ、分かってますよ、元就公…
物足りないのでしょう…?」
期待に、どきりと胸が弾む。
触れられたのは尻尾だったが、握られた尻尾
から伝わる快感は脳の髄までを痺れさせる。
この何とも言えない甘い痛みは、病み付きに
なってしまいそうだ。
本来求めていたものとは違えど、それが快楽
には代わり無い。付け根から先まで撫でられ
る感覚に、思わず身震いをする。
「光秀、あ…あぁ…光秀、もう少し…」
足りぬ、足りぬと、うわごとの様に呟く。
無意識に自ら悲願していた事に気付いたのは
光秀の返答が返ってきてからだ。
「もっと強く、ですか…?」
躊躇しつつも渋々とこくりと頷けば、痛い程
に強く握り締められ、痛みに身を反らす。
幾らなんでも痛い、馬鹿が。
加減と云うものがあるだろう。
だが口に出す程ではない。涙目で痛いと訴え
たが、光秀はチラリと見て笑顔を携えるだけ
だ。
その意味深な笑みと、光秀の瞳に宿る淫猥な
光。それから察し、良からぬ事を考えている
のやもしれぬと不吉な予感が浮かぶ。
それを裏切らずに光秀は尻尾を口に含む。
「な、やめっ…んっ、うぅ…光秀……っ」
咥内に納められた尻尾の先を、熱い舌がモノ
を奉仕するかの様に舐る。
開いた足の間から覗く、含んだ尻尾を恍惚と
舐める様は、何ともいえぬ淫靡な光景。
加えて、光秀がどこか妖しい邪気を放ってい
るようにも見えた。それに毒されてか、興奮
している自分がいるとは、まさに不覚としか
言い様が無い。
「んぅ…んふ……気持ち良いですか…?」
上目遣いに問われた質問に、首を横に振る。
素直に良いと答えるのは負けな様な気がした
のだ。
「あ、く…馬鹿っ…んっ、あ……はぁ…!」
舐られてゆく内に尻尾は唾液で濡れ、しっと
りとした艶を放つ。
「ん…快楽はお嫌いではないでしょう?」
眉間に皺が寄る。
好きではない、だが嫌いでもない。となると
嫌いではないのかという問いには頷くべきな
のか無視しようか。
―――――――――――――――続。
ツッコミ。
光秀、後で毛玉吐くなよ(苦笑)
猫耳ア・ラ・モード(光就/現パロ/たぶん裏/半獸化) 1
- 2010/03/15 (Mon)
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背後注意!
※現パロ。半獣化。甘めかも。
※にゃんにゃん戯れてるだけに近い(苦笑)
※裏的なエロ表現有り注意。
【猫耳ア・ラ・モード】1
世の中の連中の何割かが猫の日と騒ぐ。
その何割かに光秀も入っていたようだ。
そんな下らぬ日はとうの昔に過ぎておる。
運良く、ドイツの学会に行く序でに各大学で
講義をして欲しいと頼まれ各地を巡っていた
故、昨夜日本に着いて家に帰りそのまま疲れ
て寝むった時までは平穏だった。
だが、今朝むくりと起きてみれば何故か家の
中に居たのが光秀だった。
鍵を何処で手に入れたというのだこ奴は。
それより今日の光秀は紙袋を胸に抱えて満悦
の笑みを浮かべているのだ。
寝起きのぼうっとした頭ですら妙な胸騒ぎが
する。いや絶対に何かあるに違いない。
我の勘が危険信号を脳に通達しているのだ。
「来るな、貴様何や企んでいるであろう」
ベッドの上を後退りした。尚ニヤニヤと笑顔
を携えて光秀は接近しつつあり、少し大きい
セミサイズのシングルベッドとはいえ二人分
の重みには軋みを上げる。
「元就公、是非これを付けてくださ」
「拒否!」
「…言い終わる前に即答ですか…」
丸い輪先にふさふさとした三角の黒い獣耳が
付いた、俗に言う猫耳カチューシャというも
のと獣の長く黒色の尻尾を手に目を輝かせて
いる。
全く馬鹿馬鹿しい。
「じゃあせめて尻尾だけでも…」
「嫌だ」
取り出されたふさふさの尻尾を叩き落とす。
寝起き早々下らぬ会話をしてしまったと憂鬱
に額を押さえた。例え寝起きだろうと危険か
判断する器官は正常に作動するらしい。
全く何が楽しくて朝っぱらから騒がなくては
ならぬのだ。騒がしいのは好かぬ。
プルプルと怒りに震える光秀を目尻に、再度
眠りに就こうと布団を被った。
「こうなれば最終手段…元就公、貴方を後悔
させてあげましょう…素直に装備すれば
良かったと…ね」
ふん、出来るものならやってみろ貴様が我を
後悔させる事なぞ不可能に近――――
――ぼんっ
がさがさと袋を漁った音が聴こえたかと思え
ば急に不審な破裂音がした。
「…けほっ!おい、な、何だこの煙はっ…」
慌てて起き上がるも煙で前が何も見えぬ。
光秀は最終手段と言って、煙幕を投げ付けた
のだ。
即座に本能的な危機感を察知し、どたばたと
闇雲にもがいてみたが無駄足掻きとしかなら
ずに、馬乗りに乗られた挙げ句ちくりと腕に
針のような物が刺さる。
暴れて針が折れたら後が厄介だ、生死に関わ
るやもしれぬ。じっと、液体が投与されてい
く冷たさに耐えることしか出来ない。
「っ…何、を……っ」
針を抜かれても安心は出来ぬ。
目の前の情人が猟奇な嗜好を持った気狂いだ
というのは承知の上での付き合いだったが、
こうまでも強行手段に出るとは微塵にも予想
にしていなかった。
漸く煙が落ち着き、視界がはっきりと鮮明に
なったものの、注射器を片手に持ちニヤニヤ
と怪しい笑みを浮かべる光秀がじっと此方を
見下ろしていた。
「き、さま……何を…した」
投与された何かの液体が、効果を発揮する為
に体を巡る血液により体内を駆ける。成分が
何なのか分からぬが、じわりじわりと何かに
蝕まれるような感覚に焦りが募る。
「クッククク…さぁ…ね」
此方には全く目もくれずに、慣れた手付きで
注射器を仕舞う。
――しらをきるなど我を愚弄しておるのか。
とでも侮蔑の言葉を吐いてでも言い返してや
りたかったが、それをさせないかの如く突如
頭痛が襲う。
それに加えて更に厄介な症状が出た。
「う…はぁっ……は…っ」
――酷く、体が熱くなり始める。
即効性の速い何か怪しいモノを投与したな。
早まる動悸に、息もままならない。
腰の後ろ部分…確か恥骨という部分で人間に
まだ尻尾があった頃に尻尾が生えていたとい
う名残の辺りが熱を帯びて起き上がれない。
いや、そもそも上に光秀が乗っているのだか
ら元々起き上がる事は出来ぬと即座に気付い
たが。
「効き目は良好ですかね……あぁ、人体に悪
影響はありませんので、ご安心を」
何をどうしたら安心出来ると。光秀のことだ
どこか暗いルートから入手したに違いない。
そんなものが安心出来るとは思えぬ。
だが、今さらどう足掻こうと既に投与されて
しまった事実は変わらない訳で、屈辱に下唇
を噛む。
「そんなに噛んでは切れてしまいますよ…」
心配したように近付いた顔が、苦笑から笑み
に変わった…いや戻った。
それを退ける事すら叶わず交わされた口付け
に、抉じ開けられた唇から入り込む舌が蠢き
咥内を犯す。
駄目だ、今は口吸いにすら戸惑う。
ろくに応えてやることも出来ずに、ただただ
生娘の様に思うがままにされているのが心底
悔しい。
互いの唾液が混ざり合ってたてる水音が耳に
入り、羞恥に頭がくらくらする。
此れがわざと音がたつようにしている訳では
ないのならば多少の水音にすら慣れない我に
も多少は否はあると仕方なく思うが、実際は
敢えて音がたつようにしているのだから情人
の質の悪さに腹が立つ。
だども、斯様にも狡童――ずる賢い童の様な
性格を持ち合わせている光秀を嫌いなわけで
はない。時には牙を突き立てて攻撃し、また
別の時には媚びる様に甘えてくる。
…いやそれでは童と言うよりも犬か。そんな
駄犬を好ましく思うなど、我もどうかしてい
るのだが。
流し込まれる唾液が収まりきらずに口端から
零れる。いい加減、卑猥な水音に耐えきれな
くて耳を塞ぎたくなり、両耳を手で覆う。
筈だった。
「…んぅ、んんっ?!」
自然に押さえたのはいつもの耳がある位置よ
り上の辺り、しかも触り覚えのある大きな耳
が付いている。ふわふわと柔らか毛はまるで
艶のある獣類の毛のようで、微妙に柔らかく
作り物にしては出来が良い。
そう気付き始めた辺りでやっと口が離れた。
「ん、はっ…な、何だこれはっ…!」
「耳ですが?
可愛い猫の耳」
「いやそれは触れば分かるっ」
――何故このような可笑しなモノが我の頭に
くっついているのだ?!
そう叫べばわたわたと動揺に視線を游がす。
頭がパニックして本来人間に付いている耳が
どうなっているのかという疑問は直ぐに消去
されていた。
「あぁ、もしかしたら、私が先ほど注射した
薬の効果かも…」
もしかしたらを強調していたが何も初めから
こうなると想定していたような顔つきだ。
それはさて措くも視界の端でゆらゆらと動く
茶色い尻尾が目に入り嫌な予感がする。
「可愛いですよ…元就公、因みに尻尾も耳も
本物ですから…」
…そんな馬鹿な話があるわけ無い。
―――――――――――――――続。
※現パロ。半獣化。甘めかも。
※にゃんにゃん戯れてるだけに近い(苦笑)
※裏的なエロ表現有り注意。
【猫耳ア・ラ・モード】1
世の中の連中の何割かが猫の日と騒ぐ。
その何割かに光秀も入っていたようだ。
そんな下らぬ日はとうの昔に過ぎておる。
運良く、ドイツの学会に行く序でに各大学で
講義をして欲しいと頼まれ各地を巡っていた
故、昨夜日本に着いて家に帰りそのまま疲れ
て寝むった時までは平穏だった。
だが、今朝むくりと起きてみれば何故か家の
中に居たのが光秀だった。
鍵を何処で手に入れたというのだこ奴は。
それより今日の光秀は紙袋を胸に抱えて満悦
の笑みを浮かべているのだ。
寝起きのぼうっとした頭ですら妙な胸騒ぎが
する。いや絶対に何かあるに違いない。
我の勘が危険信号を脳に通達しているのだ。
「来るな、貴様何や企んでいるであろう」
ベッドの上を後退りした。尚ニヤニヤと笑顔
を携えて光秀は接近しつつあり、少し大きい
セミサイズのシングルベッドとはいえ二人分
の重みには軋みを上げる。
「元就公、是非これを付けてくださ」
「拒否!」
「…言い終わる前に即答ですか…」
丸い輪先にふさふさとした三角の黒い獣耳が
付いた、俗に言う猫耳カチューシャというも
のと獣の長く黒色の尻尾を手に目を輝かせて
いる。
全く馬鹿馬鹿しい。
「じゃあせめて尻尾だけでも…」
「嫌だ」
取り出されたふさふさの尻尾を叩き落とす。
寝起き早々下らぬ会話をしてしまったと憂鬱
に額を押さえた。例え寝起きだろうと危険か
判断する器官は正常に作動するらしい。
全く何が楽しくて朝っぱらから騒がなくては
ならぬのだ。騒がしいのは好かぬ。
プルプルと怒りに震える光秀を目尻に、再度
眠りに就こうと布団を被った。
「こうなれば最終手段…元就公、貴方を後悔
させてあげましょう…素直に装備すれば
良かったと…ね」
ふん、出来るものならやってみろ貴様が我を
後悔させる事なぞ不可能に近――――
――ぼんっ
がさがさと袋を漁った音が聴こえたかと思え
ば急に不審な破裂音がした。
「…けほっ!おい、な、何だこの煙はっ…」
慌てて起き上がるも煙で前が何も見えぬ。
光秀は最終手段と言って、煙幕を投げ付けた
のだ。
即座に本能的な危機感を察知し、どたばたと
闇雲にもがいてみたが無駄足掻きとしかなら
ずに、馬乗りに乗られた挙げ句ちくりと腕に
針のような物が刺さる。
暴れて針が折れたら後が厄介だ、生死に関わ
るやもしれぬ。じっと、液体が投与されてい
く冷たさに耐えることしか出来ない。
「っ…何、を……っ」
針を抜かれても安心は出来ぬ。
目の前の情人が猟奇な嗜好を持った気狂いだ
というのは承知の上での付き合いだったが、
こうまでも強行手段に出るとは微塵にも予想
にしていなかった。
漸く煙が落ち着き、視界がはっきりと鮮明に
なったものの、注射器を片手に持ちニヤニヤ
と怪しい笑みを浮かべる光秀がじっと此方を
見下ろしていた。
「き、さま……何を…した」
投与された何かの液体が、効果を発揮する為
に体を巡る血液により体内を駆ける。成分が
何なのか分からぬが、じわりじわりと何かに
蝕まれるような感覚に焦りが募る。
「クッククク…さぁ…ね」
此方には全く目もくれずに、慣れた手付きで
注射器を仕舞う。
――しらをきるなど我を愚弄しておるのか。
とでも侮蔑の言葉を吐いてでも言い返してや
りたかったが、それをさせないかの如く突如
頭痛が襲う。
それに加えて更に厄介な症状が出た。
「う…はぁっ……は…っ」
――酷く、体が熱くなり始める。
即効性の速い何か怪しいモノを投与したな。
早まる動悸に、息もままならない。
腰の後ろ部分…確か恥骨という部分で人間に
まだ尻尾があった頃に尻尾が生えていたとい
う名残の辺りが熱を帯びて起き上がれない。
いや、そもそも上に光秀が乗っているのだか
ら元々起き上がる事は出来ぬと即座に気付い
たが。
「効き目は良好ですかね……あぁ、人体に悪
影響はありませんので、ご安心を」
何をどうしたら安心出来ると。光秀のことだ
どこか暗いルートから入手したに違いない。
そんなものが安心出来るとは思えぬ。
だが、今さらどう足掻こうと既に投与されて
しまった事実は変わらない訳で、屈辱に下唇
を噛む。
「そんなに噛んでは切れてしまいますよ…」
心配したように近付いた顔が、苦笑から笑み
に変わった…いや戻った。
それを退ける事すら叶わず交わされた口付け
に、抉じ開けられた唇から入り込む舌が蠢き
咥内を犯す。
駄目だ、今は口吸いにすら戸惑う。
ろくに応えてやることも出来ずに、ただただ
生娘の様に思うがままにされているのが心底
悔しい。
互いの唾液が混ざり合ってたてる水音が耳に
入り、羞恥に頭がくらくらする。
此れがわざと音がたつようにしている訳では
ないのならば多少の水音にすら慣れない我に
も多少は否はあると仕方なく思うが、実際は
敢えて音がたつようにしているのだから情人
の質の悪さに腹が立つ。
だども、斯様にも狡童――ずる賢い童の様な
性格を持ち合わせている光秀を嫌いなわけで
はない。時には牙を突き立てて攻撃し、また
別の時には媚びる様に甘えてくる。
…いやそれでは童と言うよりも犬か。そんな
駄犬を好ましく思うなど、我もどうかしてい
るのだが。
流し込まれる唾液が収まりきらずに口端から
零れる。いい加減、卑猥な水音に耐えきれな
くて耳を塞ぎたくなり、両耳を手で覆う。
筈だった。
「…んぅ、んんっ?!」
自然に押さえたのはいつもの耳がある位置よ
り上の辺り、しかも触り覚えのある大きな耳
が付いている。ふわふわと柔らか毛はまるで
艶のある獣類の毛のようで、微妙に柔らかく
作り物にしては出来が良い。
そう気付き始めた辺りでやっと口が離れた。
「ん、はっ…な、何だこれはっ…!」
「耳ですが?
可愛い猫の耳」
「いやそれは触れば分かるっ」
――何故このような可笑しなモノが我の頭に
くっついているのだ?!
そう叫べばわたわたと動揺に視線を游がす。
頭がパニックして本来人間に付いている耳が
どうなっているのかという疑問は直ぐに消去
されていた。
「あぁ、もしかしたら、私が先ほど注射した
薬の効果かも…」
もしかしたらを強調していたが何も初めから
こうなると想定していたような顔つきだ。
それはさて措くも視界の端でゆらゆらと動く
茶色い尻尾が目に入り嫌な予感がする。
「可愛いですよ…元就公、因みに尻尾も耳も
本物ですから…」
…そんな馬鹿な話があるわけ無い。
―――――――――――――――続。
甘味が似合うツンデレラ3(光就/就誕)
- 2010/03/14 (Sun)
- 戦国バサラ |
- CM(0) |
- Edit |
- ▲Top
★ 甘味が似合うツンデレラ3 ★
「どうした…?」
不思議そうに首を傾げ見ている元就の前、
光秀はおもむろに指先についた生クリームを
わざとらしく微笑みつつ、視線は元就に向け
ながら舐め取った。ねぶる仕草が何処と無く
なめかましく、身震いしかけたのは気のせい
で間違いだと思いたい。
「美味しいですね」
何か変わったコメントが来るかと思えば
至って普通な返答しか返って来ず、光秀なら
ば変わったコメント言うかとを期待した自分
が馬鹿だったと、元就は小さな溜息を吐き、
つまらなさげに肘をついた。
その様子に何を思ったのか、光秀は自分の
小皿に乗ったケーキの上にちょこんと乗って
いた真っ赤な苺を摘まみ上げて、元就の真ん
前、口元へと苺を差し出す。
此れは何の意味だ。
とは訊くまでもない。
「食えと」
にこにこにこにこ。阿呆な恋人同士がやる
ように食えと。こんな斯様に恥ずかしい行為
無様だ愚かだ恥ずかしいと呟いて、そっぽを
向いた。だがそっぽを向いたら光秀はそっち
に苺を持って来て明後日の方向へと顔を背け
れば無論その口元に苺を持ってくる。
どうにかしてでも苺を食べさせたい様子。
それならばと手で受け取ろうとしたのだが
やはりというか、すぐ手が引っ込められる。
やはり食うしかないのだろうかと思うと、
眉間に皺を寄せる程に嫌だった。
「ほら…元就公、あーんですよ…
まさか出来ないんですか?」
「なっ…その程度我とて出来るわ阿呆!」
言ってからしまったと口を閉じたが遅い。
「んふふ…ですよねぇ…さぁ、お口を…」
嵌められた。
こうなれば取り敢えず、いざ自分が餌付け
のような事をされる場面を想像してみる。
嫌だ、物凄く嫌だ。とはいえ光秀が此方に
伸ばしている腕が疲れてきたのかぷるぷると
震えているし、何や食わねば自分の方が悪者
で光秀が可哀想な気がしてきたのだが…と、
色々苦悩した挙げ句に渋々と口を開く。
「…………あー…」
「良い子です…」
放り入れた苺が口内に収まる。役目を果た
した指が引かれるのを、細目にした目で目視
してから、もぐもぐと咀嚼した。
「酸っぱい」
舌を狂わせそうなほどの酸味が、口内全体
に広がった。元就はこの酸っぱさが苦手で、
苺や蜜柑などの果実はあまり好かない。
とはいえ逆に林檎や桃などの酸味が少ない物
や甘味の多い物はそれなりに好きで、好んで
食す事もある。特に桃は出身県の特産品だと
いうのもあって、よく朝に朝食代わりとして
食すくらい好きだったりする。
「だが、美味しい」
「そうですか」
咀嚼した苺を飲み込んだ後に、仄かな甘み
が残った。優しい、甘みが。
「なぁ、光秀…」
食べさせることに成功してか機嫌の良さそ
うな光秀は、にこりとしたまま首を傾げる。
「はい?」
元就は言うべきか暫し言い淀んだ。だが、
言わなくとも後々分かることなのだしやはり
結局は言わねばならぬと思い口を開く。
「ホワイトデーの…用意出来なかった」
キッチンの惨状を思い出した。
「あぁ… いえ、良いのですよ
私はお返し目当てではありませんから…
ただ、貴方にあげたかっただけですので…
無理に用意する必要はありませんよ。
気持ちだけで充分ですから…ね」
――頂くなら貴方自身で、なんてね…
微笑がそれを冗談なのか本気なのか判断を
鈍らせる。最後は聞こえなかった事にして、
キッチンの惨状も一先ず措いておき、ケーキ
を食べる事に今は専念した。
「これ食べたら…どうしますか…?」
「…ふん」
年に一度の特別日。はてさてこの後はどう
過ごすか悩む双方であった。
―――――――――――――――――――完
2010/3/14
【甘味の似合うツンデレラ】
「どうした…?」
不思議そうに首を傾げ見ている元就の前、
光秀はおもむろに指先についた生クリームを
わざとらしく微笑みつつ、視線は元就に向け
ながら舐め取った。ねぶる仕草が何処と無く
なめかましく、身震いしかけたのは気のせい
で間違いだと思いたい。
「美味しいですね」
何か変わったコメントが来るかと思えば
至って普通な返答しか返って来ず、光秀なら
ば変わったコメント言うかとを期待した自分
が馬鹿だったと、元就は小さな溜息を吐き、
つまらなさげに肘をついた。
その様子に何を思ったのか、光秀は自分の
小皿に乗ったケーキの上にちょこんと乗って
いた真っ赤な苺を摘まみ上げて、元就の真ん
前、口元へと苺を差し出す。
此れは何の意味だ。
とは訊くまでもない。
「食えと」
にこにこにこにこ。阿呆な恋人同士がやる
ように食えと。こんな斯様に恥ずかしい行為
無様だ愚かだ恥ずかしいと呟いて、そっぽを
向いた。だがそっぽを向いたら光秀はそっち
に苺を持って来て明後日の方向へと顔を背け
れば無論その口元に苺を持ってくる。
どうにかしてでも苺を食べさせたい様子。
それならばと手で受け取ろうとしたのだが
やはりというか、すぐ手が引っ込められる。
やはり食うしかないのだろうかと思うと、
眉間に皺を寄せる程に嫌だった。
「ほら…元就公、あーんですよ…
まさか出来ないんですか?」
「なっ…その程度我とて出来るわ阿呆!」
言ってからしまったと口を閉じたが遅い。
「んふふ…ですよねぇ…さぁ、お口を…」
嵌められた。
こうなれば取り敢えず、いざ自分が餌付け
のような事をされる場面を想像してみる。
嫌だ、物凄く嫌だ。とはいえ光秀が此方に
伸ばしている腕が疲れてきたのかぷるぷると
震えているし、何や食わねば自分の方が悪者
で光秀が可哀想な気がしてきたのだが…と、
色々苦悩した挙げ句に渋々と口を開く。
「…………あー…」
「良い子です…」
放り入れた苺が口内に収まる。役目を果た
した指が引かれるのを、細目にした目で目視
してから、もぐもぐと咀嚼した。
「酸っぱい」
舌を狂わせそうなほどの酸味が、口内全体
に広がった。元就はこの酸っぱさが苦手で、
苺や蜜柑などの果実はあまり好かない。
とはいえ逆に林檎や桃などの酸味が少ない物
や甘味の多い物はそれなりに好きで、好んで
食す事もある。特に桃は出身県の特産品だと
いうのもあって、よく朝に朝食代わりとして
食すくらい好きだったりする。
「だが、美味しい」
「そうですか」
咀嚼した苺を飲み込んだ後に、仄かな甘み
が残った。優しい、甘みが。
「なぁ、光秀…」
食べさせることに成功してか機嫌の良さそ
うな光秀は、にこりとしたまま首を傾げる。
「はい?」
元就は言うべきか暫し言い淀んだ。だが、
言わなくとも後々分かることなのだしやはり
結局は言わねばならぬと思い口を開く。
「ホワイトデーの…用意出来なかった」
キッチンの惨状を思い出した。
「あぁ… いえ、良いのですよ
私はお返し目当てではありませんから…
ただ、貴方にあげたかっただけですので…
無理に用意する必要はありませんよ。
気持ちだけで充分ですから…ね」
――頂くなら貴方自身で、なんてね…
微笑がそれを冗談なのか本気なのか判断を
鈍らせる。最後は聞こえなかった事にして、
キッチンの惨状も一先ず措いておき、ケーキ
を食べる事に今は専念した。
「これ食べたら…どうしますか…?」
「…ふん」
年に一度の特別日。はてさてこの後はどう
過ごすか悩む双方であった。
―――――――――――――――――――完
2010/3/14
【甘味の似合うツンデレラ】
甘味が似合うツンデレラ2(光就/就誕)
- 2010/03/14 (Sun)
- 戦国バサラ |
- CM(0) |
- Edit |
- ▲Top
★ 甘味が似合うツンデレラ2 ★
消された電気、ゆらめく蝋燭。何処か陰陽
な、普段とは違う雰囲気をかもし出す。顔が
蝋燭に照らされ、光秀は普通に浮かべている
だけなのに不気味に怪しく見え、それに対し
元就の方は能面のように不機嫌な顔が、更に
怖い表情になっている。
カラフルな蝋が熔けていくのを無言で見つ
める元就に、もしや火を吹き消す事を知らな
いのでは、と些か不安に思っていたが、何の
前触れも無く蝋燭の火は吹き消された。
灯りを無くした室内に再び静寂が訪れる。
静寂には慣れているとはいえ、何とも言えな
い思い雰囲気はどうしたものかと、光秀は首
を僅かに傾げた。互いに相手の顔が見えない
中で、何を思うのか。
「電気、点けませんか…?」
耐えきれなくなったのは光秀の方だった。
苦笑気味な声が、部屋の妙な緊張を解す。
「…ふん」
闇のなか頷いたらしい元就は立ち上がり、
知れた部屋だと安心しきっていたのか何処か
にぶつけたような衝突音が闇に響く。だがそ
れすら元就は全く気にとめずに、スイッチを
押して部屋の灯りを点した。
その瞬間、闇に慣れてしまった目が久々に
光を取り入れた為なのか、暫し蛍光灯の光が
眩しく見えた。
元就を見れば、軽く涙目になりかけている
のはやはり先ほどの衝突音が関係しているの
だろうかと苦笑いしそうになる。だが正直に
大丈夫ですかとか痛そうですねと慰めの声を
かけようものならば彼はきっと、それを皮肉
の言葉と受け取る。元就はそういう人物だ。
別名ひねくれた性格とも云う。
故に光秀は、何事もなかったかの様に平素
を保とうとしている元就に合わせ、こちらも
何事もなかったかの様に微笑み続けて椅子を
静かに引いた。
「おや、ケーキを切り分ける包丁が無い…
それに小皿もありません…取ってきます」
キッチンへと取りに行こうとした光秀に、
元就はあっ!と慌てた声を荒げた。突拍子も
無くあげられた声に、何事かと半分腰を上げ
たまま元就を見る。
「あ…いや、切り分ける包丁と小皿だな、我
が取りに行く。光秀は待っておれ」
物静かな元就にしては珍しく、慌ててガタ
リと勢い良く音をたてて椅子から立ち上がっ
て、足早に彼は走っていった。
*―*****―*
一枚、二枚…と、二枚の取り分ける小皿を
食器ケースから取り出し、軽くお湯で温めた
ナイフを上に置く。
「あと、フォーク…」
引出しから、シンプルな物とファンシーな
愛らしい熊が柄の先端に付いているフォーク
を取り出した。可愛らしいフォークは無論、
元就が使う方ではない。光秀が使う。何ゆえ
こうも女々しい趣味をしているのだろうかと
思い若干引け目で見てしまう。
とはいえ他人の趣味にとやかく言うつもり
も無く、フォークと小皿、切り分けるナイフ
を両手で持ち愛しいケーキの元へ、いや光秀
の元へと戻った。
「ん」
ナイフを突きだし、いや差し出して小皿等
を机に置く。無言で目の前に迫ったナイフに
一瞬どきりとしたが、苦笑しながらも光秀は
それを受け取れば元就は椅子に座り直す。
「私にケーキを切れと…」
「当たり前だ。今日の主役は我だろう」
今日だからでなくとも二人の上下関係から
して何かさせられるのは光秀の方なのだが、
光秀はそれに大して文句もつけずに従う。
情人の有無も言わさぬ命令だからというの
もあるが、その従った分だけ、夜の情事にて
意地悪なり激しくするなり仕返しをしようと
疚しい反撃を腹の中で考えているから大人し
く従うのだが、それすらもきっと元就は承知
の上だ。
「じゃあ、切り分けますね」
こくりと頷いたのを確認し、光秀はケーキ
の上に刺さったままだった蝋燭を引き抜いて
から、ケーキの表目に刃を当て、まずは半分
に目安程度の切り込みを入れる。
何故そうするのだろうかと元就は首を傾げ
れば、その意を察した光秀がケーキに目安の
切り込み入れていきながら説明をする。
「計りを入れてから切るのは、いきなり切っ
て後から分が合わなくなってしまっては
困るでしょう?ですから、まずはこうして
目安の切り込みを入れてから切るんです。
大学を出た貴方なら分かると思ったんです
がねぇ…」
からかうように笑えば、真っ赤になって
元就は口をぱくぱくとさせて怒る。
「そ、それくらい我とて分かる!ただ計画性
の無さそうな貴様がそうやって、きちんと
計るのが珍しいと思っただけよ」
「んふふ…そうですか…」
そっぽを向きながら怒る元就に、やはり彼
はとても愛らしい反応をする、と光秀は内心
で呟き、だらしなく頬が緩んだ。一部始終を
他人が見ていたらそのほとんどはからかった
光秀に非があると答えよう。元就の非素直さ
を可愛いと答える者もいるだろうが。
切り分けたケーキを乗せた小皿を渡せば、
光秀にからかわれた事でむーっと不機嫌そう
に唸っていたはずの元就の目線がそれに向い
た瞬間、不機嫌が取れ仄かに笑顔を含む。
紅の苺が乗せられたオーソドックスな甘い
ショートケーキ。因みに今日の誕生日ケーキ
は光秀の手作り。
「…美味い」
一口食べた元就がそう溢した。その幸せそ
うな表情を見て、料理が得意で良かったと
思った。
料理が得意になったきっかけは、光秀が
大学を出てから暫くしてからだった。
全く働く気の無かった光秀は、大学を出て
から何処へ就職するわけでもなくふらふらと
していたのだが、それを見かねて声をかけた
のが光秀の従姉で監視役の濃姫だった。彼女
の幾度となる説得によって、その夫、織田信
長が経営しているドイツ料理を出す店で働き
始め、嫌々働いていたがなんだかんだで辞め
る理由も無く、もくもくと働き続けた結果が
自然と料理や菓子作りなどが得意になってい
たのだ。
初めそれを自慢すること無く生活していた
光秀が元就と出会って、様々な馴れ初めがあ
りこうして付き合う間柄になってから、初め
て料理が得意であって良かったと心から思う
様になった。作った料理を目の前で食べても
らえる事の喜び、そしてそれを、美味しいと
言ってもらえる喜びを、料理を作る者には
最高の喜びを元就には教えてもらえた。
「ありがとうございます、元就公…」
生き心地の無かった生活を変えた元就に、
感謝せねばと微笑み、光秀は知らずうちに礼
を言っていた。
「何だ、いきなり…」
無論唐突に礼を述べられた元就は、いきな
りのことで半分困惑気味といった表情で目を
まん丸くした。光秀が突拍子もない事を言う
のは日常茶飯だが、それでも何か裏があるの
ではないかと疑心感に囚われる。
「いえなんとなく、ね…
おや、頬にクリーム付いてますよ」
椅子を立ち、机越しに元就の頬に触れて、
ふっと指で掬い取った。
「なっ…」
赤くなる元就を余所に、光秀はしばらく生
クリームのついた指を眺めていた。
「?光秀…?」
――――――――――
next3へ
消された電気、ゆらめく蝋燭。何処か陰陽
な、普段とは違う雰囲気をかもし出す。顔が
蝋燭に照らされ、光秀は普通に浮かべている
だけなのに不気味に怪しく見え、それに対し
元就の方は能面のように不機嫌な顔が、更に
怖い表情になっている。
カラフルな蝋が熔けていくのを無言で見つ
める元就に、もしや火を吹き消す事を知らな
いのでは、と些か不安に思っていたが、何の
前触れも無く蝋燭の火は吹き消された。
灯りを無くした室内に再び静寂が訪れる。
静寂には慣れているとはいえ、何とも言えな
い思い雰囲気はどうしたものかと、光秀は首
を僅かに傾げた。互いに相手の顔が見えない
中で、何を思うのか。
「電気、点けませんか…?」
耐えきれなくなったのは光秀の方だった。
苦笑気味な声が、部屋の妙な緊張を解す。
「…ふん」
闇のなか頷いたらしい元就は立ち上がり、
知れた部屋だと安心しきっていたのか何処か
にぶつけたような衝突音が闇に響く。だがそ
れすら元就は全く気にとめずに、スイッチを
押して部屋の灯りを点した。
その瞬間、闇に慣れてしまった目が久々に
光を取り入れた為なのか、暫し蛍光灯の光が
眩しく見えた。
元就を見れば、軽く涙目になりかけている
のはやはり先ほどの衝突音が関係しているの
だろうかと苦笑いしそうになる。だが正直に
大丈夫ですかとか痛そうですねと慰めの声を
かけようものならば彼はきっと、それを皮肉
の言葉と受け取る。元就はそういう人物だ。
別名ひねくれた性格とも云う。
故に光秀は、何事もなかったかの様に平素
を保とうとしている元就に合わせ、こちらも
何事もなかったかの様に微笑み続けて椅子を
静かに引いた。
「おや、ケーキを切り分ける包丁が無い…
それに小皿もありません…取ってきます」
キッチンへと取りに行こうとした光秀に、
元就はあっ!と慌てた声を荒げた。突拍子も
無くあげられた声に、何事かと半分腰を上げ
たまま元就を見る。
「あ…いや、切り分ける包丁と小皿だな、我
が取りに行く。光秀は待っておれ」
物静かな元就にしては珍しく、慌ててガタ
リと勢い良く音をたてて椅子から立ち上がっ
て、足早に彼は走っていった。
*―*****―*
一枚、二枚…と、二枚の取り分ける小皿を
食器ケースから取り出し、軽くお湯で温めた
ナイフを上に置く。
「あと、フォーク…」
引出しから、シンプルな物とファンシーな
愛らしい熊が柄の先端に付いているフォーク
を取り出した。可愛らしいフォークは無論、
元就が使う方ではない。光秀が使う。何ゆえ
こうも女々しい趣味をしているのだろうかと
思い若干引け目で見てしまう。
とはいえ他人の趣味にとやかく言うつもり
も無く、フォークと小皿、切り分けるナイフ
を両手で持ち愛しいケーキの元へ、いや光秀
の元へと戻った。
「ん」
ナイフを突きだし、いや差し出して小皿等
を机に置く。無言で目の前に迫ったナイフに
一瞬どきりとしたが、苦笑しながらも光秀は
それを受け取れば元就は椅子に座り直す。
「私にケーキを切れと…」
「当たり前だ。今日の主役は我だろう」
今日だからでなくとも二人の上下関係から
して何かさせられるのは光秀の方なのだが、
光秀はそれに大して文句もつけずに従う。
情人の有無も言わさぬ命令だからというの
もあるが、その従った分だけ、夜の情事にて
意地悪なり激しくするなり仕返しをしようと
疚しい反撃を腹の中で考えているから大人し
く従うのだが、それすらもきっと元就は承知
の上だ。
「じゃあ、切り分けますね」
こくりと頷いたのを確認し、光秀はケーキ
の上に刺さったままだった蝋燭を引き抜いて
から、ケーキの表目に刃を当て、まずは半分
に目安程度の切り込みを入れる。
何故そうするのだろうかと元就は首を傾げ
れば、その意を察した光秀がケーキに目安の
切り込み入れていきながら説明をする。
「計りを入れてから切るのは、いきなり切っ
て後から分が合わなくなってしまっては
困るでしょう?ですから、まずはこうして
目安の切り込みを入れてから切るんです。
大学を出た貴方なら分かると思ったんです
がねぇ…」
からかうように笑えば、真っ赤になって
元就は口をぱくぱくとさせて怒る。
「そ、それくらい我とて分かる!ただ計画性
の無さそうな貴様がそうやって、きちんと
計るのが珍しいと思っただけよ」
「んふふ…そうですか…」
そっぽを向きながら怒る元就に、やはり彼
はとても愛らしい反応をする、と光秀は内心
で呟き、だらしなく頬が緩んだ。一部始終を
他人が見ていたらそのほとんどはからかった
光秀に非があると答えよう。元就の非素直さ
を可愛いと答える者もいるだろうが。
切り分けたケーキを乗せた小皿を渡せば、
光秀にからかわれた事でむーっと不機嫌そう
に唸っていたはずの元就の目線がそれに向い
た瞬間、不機嫌が取れ仄かに笑顔を含む。
紅の苺が乗せられたオーソドックスな甘い
ショートケーキ。因みに今日の誕生日ケーキ
は光秀の手作り。
「…美味い」
一口食べた元就がそう溢した。その幸せそ
うな表情を見て、料理が得意で良かったと
思った。
料理が得意になったきっかけは、光秀が
大学を出てから暫くしてからだった。
全く働く気の無かった光秀は、大学を出て
から何処へ就職するわけでもなくふらふらと
していたのだが、それを見かねて声をかけた
のが光秀の従姉で監視役の濃姫だった。彼女
の幾度となる説得によって、その夫、織田信
長が経営しているドイツ料理を出す店で働き
始め、嫌々働いていたがなんだかんだで辞め
る理由も無く、もくもくと働き続けた結果が
自然と料理や菓子作りなどが得意になってい
たのだ。
初めそれを自慢すること無く生活していた
光秀が元就と出会って、様々な馴れ初めがあ
りこうして付き合う間柄になってから、初め
て料理が得意であって良かったと心から思う
様になった。作った料理を目の前で食べても
らえる事の喜び、そしてそれを、美味しいと
言ってもらえる喜びを、料理を作る者には
最高の喜びを元就には教えてもらえた。
「ありがとうございます、元就公…」
生き心地の無かった生活を変えた元就に、
感謝せねばと微笑み、光秀は知らずうちに礼
を言っていた。
「何だ、いきなり…」
無論唐突に礼を述べられた元就は、いきな
りのことで半分困惑気味といった表情で目を
まん丸くした。光秀が突拍子もない事を言う
のは日常茶飯だが、それでも何か裏があるの
ではないかと疑心感に囚われる。
「いえなんとなく、ね…
おや、頬にクリーム付いてますよ」
椅子を立ち、机越しに元就の頬に触れて、
ふっと指で掬い取った。
「なっ…」
赤くなる元就を余所に、光秀はしばらく生
クリームのついた指を眺めていた。
「?光秀…?」
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